いくら美少女でもアレはない
高校受験を無事に乗り越え、志望校に合格した僕は高校生としての道を歩み始めた。そして、迎えた入学式。これから始まる高校生活への期待に胸がいっぱいになったせいか、通常の登校時間より一時間以上早く学校に着いてしまった。
掲示板に貼り出されている自分のクラスを確認し、教室へと向かうが運動部の朝練の掛け声が聞こえるぐらいで新入生らしき生徒は自分以外に居そうにない。教室に着いたら何をして時間を潰そうか、クラスメイトが来たらどう話しかけようかと可愛い女の子はいるのかなと学校生活をどう過ごすか妄想しながら歩いていると気付けば教室の前に着いていた。妄想から現実に戻ってきた僕は、何の気負いも無しに教室のドアをガラッと開ける。その瞬間、教室の奥の方からがたっと物音がし、音の先に目を向けた。僕の視界には、信じがたい光景が写しだされた。
窓際の席に座り、こちらに目を向ける美少女がいたのだ。それもただの美少女ではない。 鮮やかで吸い込まれるようなエメラルドグリーンの瞳、絹のようにきめ細やかで透き通った白さの肌、腰まで伸びた艶やかで白金のように輝く髪、ほっそりとした身体からは豊かな双丘が強調され、丈の長いスカートからはしなやかな足が伸びている。教室から差し込む朝日と相まって幻想的な美しさを見せる彼女は絶世の美少女と呼ぶに相応しい容姿だった。
だが、それら全てをぶち壊すかのような存在が彼女の口元と手元にあった。艶めかしく開かれた彼女の口からは数十センチはある灰色がかった蛙の舌のようなグロテスクなものが伸びていた。更に腹部に置かれた彼女の両手には50センチはあるだろう丸々太った毒々しい色をした芋虫のような何かが蠢めき、それに対して彼女の口から伸びたグロテスクなものの先端が吸い付き、管のように何かを吸い上げている。それに合わせて芋虫のような何かは耳に残る甲高い鳴き声を上げる。
その光景に理解の追いつかない僕の他所に彼女は喉を嚥下させていく。それに合わせてぐちゅりぐちゅりと噛み付くような音が聞こえ、教室内には形容し難い匂いが広がり、胃からは朝食がせり上がってくる。やがて芋虫のような何かはぴくぴくと痙攣をして縮んでいき、最後に弱々しく鳴くとやがて動かなかくなった。彼女はそれを確認すると手に持ったそれを机に置かれたビニール袋へとしまい、口から伸びた何かをじゅるりと飲み込みと口元に付いた青紫色の液体を制服のポケットから取り出したハンカチで上品に拭いた。
そして、ほっと一息つくと、心を溶かされるかのような甘い微笑みを浮かべ、口を開いた。
「お見苦しいところをお見せしてごめんなさい。お腹が空いたものだから食事をしていたの」
食事、彼女は確かにそういった。あの異様な光景を食事だと。未だ、脳が正常に機能していない僕に彼女は耳をくすぐるような声で続ける。
「そういえばまだ名乗っていなかったわね。私は、今日からここに入学するラーナラング星から来たリーベ・ブルローネよ。あなた達から見たら俗にいう宇宙人ってやつね。これからよろしく」
彼女はそう名乗って微笑み、ぺろっと小さい尖った歯がついた蛙の舌のような何かの先端を出した。それを見た僕の背中は粟立ち、脳も処理の限界を超えたのか、視界が真っ暗になり、後ろへと倒れた。
遠のいていく意識の中、確信した。いくら美少女でもアレはないと……
この物語に続きは……ない!!キリッ
構想も何も考えず、指が勝手に動いてできた作品なのでこれ以上続かないと思います。
追記10/9 修正




