相対
ドラゴン撃退の方針が決まったからといって、すぐに出発とは行かない。
何せ、相手は世界最強と名高いドラゴンさん。準備をしすぎて悪い事なんて何も無い。
幸いにも10日……あと9日も猶予がある。
ドラゴン撃退戦に参加する冒険者さんを募って、フォーメーションや作戦の練りこみもしなきゃいけない。
それに、万が一って事だってある。ドラゴン戦に向かわない冒険者さんは、いったん森の外の村まで避難する非戦闘員の皆様を護衛する役割となる。そのまま一緒に避難だ。
しばし空になる村の中の集落は、ひとまずハーピィの若鳥達数羽に待機していて貰う。そうすれば、動物に侵入され荒らされる事もないからね。
本当に万が一、僕らがドラゴンに負けるような時は、……負ける気なんてさらさらないけど、その時には若鳥と雛達にはこの森を離れなさい、と命じておく。
全滅だけは、絶対だめ。
せっかく産まれた卵も置き去りにする事になってしまうけど、今生きている若い子達の命が一番大事だ。
なので、ドラゴン戦に赴くハーピィはアーラを除いた成鳥と老鳥だけ。あ、勿論僕もね。
出来る限りの装備を揃え、作戦を確認し、出陣はドラゴンが提示した期限の一日前。
村に居た一般人さんは、マッチョさん以外は避難済み。その他、村の保守をしてくれる冒険者さん達と、ティリノ先生も村に残る。
先生は魔法使いだけど、実戦経験的なものはほぼない。特にドラゴンなんて、最低でもAランク以上の冒険者じゃなきゃ、なんてのを相手取るのは危険すぎる。
陣頭指揮経験だってないからね。それでも国の代表として責任者として、避難はありえないとここに残ることにしたみたい。
「すまない、肝心なときに役立たずで……」
「てきざいてきしょ、でーすよ、センセ♪ センセがいたからボクらはどうめいがむすべて、ドラゴンたいさくできるのてす♪ かんしゃしてまーす♪」
本当に、僕らだけで生きてたら、今頃どうしていたか。
結果として、カタラクタのお国や冒険者さん達には災難なのかもだけど、ほんと僕らとしては助かった。
……いや、国のすぐ隣にドラゴンの縄張りとかもなかなか恐ろしいよね。しかも迷いの森。対処大変すぎる気しかしない。
そうならずに済ませられるかもなんだから、持ちつ持たれつってやつですよ。
「……それはそうと、マッチョさんはひなんしなくていいのでーす?♪」
「小さな娘達を置いて、尻尾巻いて逃げるのはな。ただの俺の意地だ、気にしねえでくれ」
「ぱぱー……」
「心配するなサクラ! 大丈夫だ、王子さん達はちゃんと帰ってくるからな!」
「……ほんと?」
「本当だ! だから、今日は1日、パパといっぱい遊べるって日になるだけだ」
「……うん!」
サクラを始めとした雛達は、村に居残り組の皆様に預けることになった。
他の若鳥と一部の大人は卵の暖め係と、万一の時の連絡役。少しでも、多くの戦力をこれから運ぶためにも、子守り役を減らした結果です。
まだまだ雛達は片言だけど、簡単な意思疏通くらいはできるし、マッチョさんやティリノ先生にだいぶなついてる。そういう意味では、マッチョさんが残ってくれて助かった。
あの子達にも、最悪森を離れるかもしれない、と言い聞かせてある。不安がらせるのは可哀想だけど、本当に最悪の時にぐずられても困るので。
だからこそ心配そうな顔をして居たサクラに、マッチョさんはしゃがみこんで笑いかけ、撫で撫で。
おかげで、少しだけ安堵したようにサクラも他の雛も笑った。
「やーーだーーー!! フレーヌも行くのーー!!」
「グリシナもーー!!」
……で、こちらはギリギリになってもぐずっているフレーヌとグリシナ。
二羽も若鳥なので、今回の作戦には参加させられない。
なのに卵暖め係でもなく村に居るのは、もしも夕方になっても僕らからの連絡がない場合、状況を確認して村に居る皆に退去するように伝えてもらう役目だからです。他の若い子と、アーラは長老木にいる。
9日目の夕方から急いで出立すれば、10日目が終わるギリギリ前には森を出れるはずだから。
ハーピィに関しては、森から離れる分にはひとっとびだから、そんな慌てなくてもいい。
勿論、そうならないつもりではある。
「なんども言うけど、だーめ♪」
「シスちゃんのいじわるー!」
「お兄ちゃんのけちー!」
「フレーヌもルー兄と戦うのー!」
「グリシナもー!」
「じゃあくなるこきひのりゅうと!」
「しっこくのそーどないとがつるぎをまじえるとき!」
「ほしのおとめフレーヌと!」
「つきのおとめグリシナが!」
「「ルー兄のぶらっくそーどにちからをあたえるのだー!!」」
「……ルストさん、せきにん取って下さいませんか♪」
「お、おう。いや、はい」
どうしてくれるの、これ。
二羽の語彙力が急上昇してるのはいいんだけど、早口言葉と滑舌が追いつかなくて、平べったくなってるのが更に笑える。いや、笑ってる場合じゃない。
まあね、言葉遊びする分には全然かまわないんだよ?
ただ、そのノリでまだ力が伴ってない二羽がドラゴンに突っ込んで行くとか、普通に命の危機だからね?
そんな宵闇の聖戦に巻き込んで命を散らさせないで欲しい。お願いだから。
僕の姉と妹を不必要な危険に晒さないでと笑顔で凄むと、ルストさんも流石に責任を感じているのか、案外素直に頷いた。
「フレーヌ、グリシナ」
「「ぴゃう!」」
「あー……、残念だが、此度の聖戦にお前たちを連れて行く事は出来ない。なぜならば……」
「なぜー?」
「ならばー?」
「此の戦いは、森を護る聖戦であると同時に……、我が闇の波動を更に高める、俺自身の試練だからである!!」
「しれん!!」
「ルー兄のしれん!!」
あ、そういうのなら食いつくんだ……
実の姉妹の筈なんだけど、最近二羽のツボがちょっとわからない。いや、たぶん二羽からしたら、雛の頃からわからなかったのは僕の方だろうけど。
「…じゃ、なんでねーちゃ達もイッショなの?」
「人はそれぞれ、負うべき宿命は違うものだ。ある者にとっては避けられざる試練でも、別の者には違うこともある」
「ちょっと、息吸うようにあたし達巻き込まないでくれない?」
「まあ、今更だから……」
「そして、今回はまだ、お前達の番ではないというだけだ。未熟なる闇と空の乙女達よ……。今は力を蓄え、自らの試練の時に備えるのだ!!」
「「ぴゃーーーー!!」」
なんかよくわからないけど、納得してくれたみたい。
いいんだろうか。まあいいか。
っていうか、僕のダメはぷうぷう言うのに、ルストさんには説得出来るって、これもしかして問題なのでは。
僕の長としてのカリスマ、カオスティック・スペルに負けてる?
……まあいいか。二羽の口ぶりに説得をルストさんに丸投げしたの、僕なんだし。結果円満に納得したんだから文句言うことじゃない。
「それではみなさま♪ ごじゅんび、よろしいでしょうか♪」
面白おかしい日常はここまで。
気を引き締めて、森の平穏を守るために、奮起しなければ。
僕の言葉に、ドラゴン戦に挑む皆様、ここで待つ皆様も、大きく頷いた。
さあさあ、参りましょう。
無作法な新参者には、おしおきですよ!!
■
雛達と若鳥を中心に、村の待機組や卵温め組、連絡担当と配分したので、残る成鳥や老鳥で一羽につき一人、ぶら下げて運ぶ。
僕は飛ぶことはできても、まだ人を持ち上げられるだけの物理的な力がないから、その限りではない。
結果、ドラゴン戦に挑める人数は、全部で13人。
これが心許ない数なのかどうかは、基準が解らないので判断しようがない。
ただ、来てくれた人達がとても頼もしいことだけは、解る。
「もーすぐとーちゃくでーす♪」
「はい。先ずはお話を試みる、で宜しいのですね?」
「ええ♪ 少しおまち下さい♪」
ドラゴンさんの位置は、偵察を出すのが怖かったので、僕が風の精霊さんにお願いして見つけてもらった。
いくらドラゴンだって、精霊に手出しはできない。……たぶん。
僕の言葉に、確認を取ったのはラティオさん。
戦闘行為に不馴れなティリノ先生に代わり、作戦総指揮を取るのは彼となる。
元々、経験豊富な冒険者だったんだそうです。怪我をして前線を退いたと聞いたけど、どこに怪我したんだろう?
少なくとも膝に矢を受けたんじゃないと思う。いつも普通に歩いてるし。
さて、ドラゴンさんの居る場所が近づいた辺りで、先ずは僕は彼? に聞こえるように大きく鳴く。
単に勝つだけなら不意打ちを狙うべきなんだろうけと、先ずは直接お話がしたいのです。
縄張り争いは避けられないだろうけど、僕は出来れば、可能な限り争いを回避したい気持ちがある。
僕の大事なハーピィに、これ以上怪我なんてしてほしくない。そう言う意味では、アーラを殺しかけたドラゴンに思うところは多大にあるけど、復讐の為に全面戦争とかはしたくないのです。
いやまあ、侵略者をボッコにしたい気持ちもあるけど。
「ドラゴンさーん♪ お休みのところ、しつれいしまーす♪」
存在を知らせ、奇襲の意思がないことを示してから、僕はドラゴンさんが寝そべる広場へ降下する。
広場……、うん、元々こういう開けた場所だったんじゃなくて、ドラゴンさんが居心地いいように周囲の木々をなぎ倒してスペース作ったみたいだ。
その作業に炎を使った形跡はなくて、ほっとする。焼け野原が落ち着くなんて言われたら、元々ない話し合いの余地がゼロを通り越してマイナスになる。
皆をぶら下げてたハーピィ達は、広場の端の方へ皆を下ろした。
僕に声をかけらたドラゴンさんは、猫のように丸まり横たえていた長い首を持ち上げ、僕に視線を向けた。
《───ほう。この森のハーピィの群れには、王の卵が居たか》
頭に直接響くようなその声は、思ってたよりも静かで、理性や知性といったものを強く感じさせた。
少なくとも、想像してたバトルジャンキーでオラオラな印象ではなくて、ちょっとびっくり。
「おたずねした用件はおさっしでしょうが♪ 一応、おはなしさせて頂いてもよろしいですか♪」
《良かろう。他の種族であっても、その中の強者たる王には、敬意を払う》
す、と首だけでなく、体も起こし、ドラゴンさんは僕を正面に相対するように、伏せの体勢になる。
ほんと、想像よりも理性的なひとだなあ。話をするのを望んだのは僕だけど、正直意外です。
そんでもって、実際見るとめっちゃでかい。
4階建てのビルくらいある……? って感じ。
体高の三分の一くらいは首だろうとは思ってたけど、思ってたより手足がすらっとしてて長い。立ち上がったら、案外フォルムはトカゲより犬に近いかも。尻尾も割と細長い。
頭の角は大きく、鹿のように途中で枝分かれした、立派なもの。それ以外にも、背中や翼部分にもいくつもトゲトゲがあって、下手にさわったらそれだけで怪我しそう。
……これで、まだドラゴン的には若者なのかあ……
「あなたがこの森にすみつきたい、ということをとがめる理由は無いのです♪ ですが、そのためにボクらを追い出す、というのは道理がとおらない♪」
《そうか? なにかが棲み付く領域に、他者が踏み入り棲み処と望む。であれば、そこに争いが生ずるは自然であろう》
「例えあなたの巨体であっても、この森全てがひつようですか?♪ あなたが生きるにひつようなだけのかてを、得るためには森全てを手にしなければ、たりないのですか?♪」
そんな筈はないよね?
その巨体に相応しいだけの、食事が必要なのは解る。それは今の僕らの数全てよりも、多いのかもしれない。
縄張りとは、自らの安全と、自らを生かす糧を得るための領域。自分を守り生かすために必要なそれを、奪われまいと争いが起こるのは当然だ。
でも、この森は広い。
例え彼が必要なだけの縄張りを構えたとして、それが森全域に及ぶというのは不自然だ。
そんなコストパフォーマンスの悪い生き物ならば、もっと広域を陣取られたと言う被害が起こっても不思議ではない。
そもそも、『島』を基本の棲み処とするというのなら、複数居るであろうドラゴンに対し、必要な広さを考えると、そんなの島とは呼べない。立派な大陸だ。
必要がなくても、ただ『欲しい』という理由で手にしたがるような、そんな性格って可能性もあったけど、こうして対面してみるとそうとも思えなくなった。
「この森は広いですし、森には色んなな生き物がすむのが自然です♪ あなたがあなたのなわばりを、ボクらがボクらのなわばりを、まんぞくするほど得ても、あつれきは生まれないはずです♪」
更にエルフさんの生きる場所を割いても、それでもまだまだ、土地はある。
迷いの森という場所柄、今まで僕らが森の頂点だったけど、問題なく住めると言うなら別に構わない。助け合えれば一番だけど、望まないのなら手を出さないくらいは。
《ほう。群れの一羽を燃やされた割には、冷静だな》
「さいわい、あの子は命を拾いましたので♪」
僕らが僕らしか居なかったら、あるいはあのままアーラが死んでしまってたら。僕は、こんな風にドラゴンさんと共存できないの? なんて話はできなかったと思う。
彼を間違っても受け入れなかったし、なんとしても追い出すか、可能であれば殺したいと思ったかもしれない。
そうなった僕は、もしかしたらもう、今までとは違う考え方になって、違う僕になったかもしれないね。
考え方や思想は経験で変わるものだけど……、そんな変化は今現在の僕にとっては好ましくない。改めて、皆に感謝です。
意外そうに金色の瞳を瞬かせるドラゴンさんに、僕はにこりと笑う。
数秒置いて、彼は口元を引いて牙をちらりと見せる。笑ったんだろうか?
《さて、困ったな。こうも冷静に問われてしまえば、儂はこう答えるしかない。……人と魔物が共に居る光景に、興味が湧いた》
「と、申しますと♪」
《弱い魔物が、人に下る、あるいは飼い慣らされるということはあろう。しかし、ハーピィはそこまで弱い種ではなく、むしろ人を狩る側であるはず》
確かに。
かつてのハーピィの王も、人と敵対はしなかったようだけど、他種族と協力し同盟を結んだとか、そういうのは無かったみたい。
なら、世界的に見ても、正式に人と手を結んでいるハーピィ、というのは僕らだけなのかもしれない。ドラゴンさんすら興味を持つほどの、レアケース。
《弱き種であっても、力を研鑽し、知恵を絞り、役割を定め、数を束ねれば驚異となる。時に、我らの同胞を屠ることもあろう程に》
「……、見たこともない協力かんけーをきずくボクらの力がどれほどかと、知りたくなりましたか♪」
《いかにも!》
……なるほどね。
最初から僕らに出てけと言うつもりだったかどうかは解らない。
ただ、想像だにしなかった、人とハーピィが友好的な関係を築く光景、そこに生まれる『強さ』に、彼にとっては未知のそれに、興味を引かれてしまった。
ドラゴンらしく。それは、自らの力を高める戦いになりうるのでは、と。
要するに……アーラを焼いたのも、森から出ていけといったのも。僕らに、自分に対し怒りを向けさせ、挑ませるために喧嘩を売ってたわけですね?
「つまり、例えボクらと森を分け合うのがかのうであろうと……、あなたののぞみは、先ずはたたかうこと、ですね?」
《それが、ドラゴンの一員たる、儂の本懐故に》
「……こまったいちぞくでーすね♪ ですが、それがあなたのおのぞみであれば、他に道はなさそうです♪」
結局、彼を下すか僕らが逃げるか、その二択だ。
逃げ出した者に彼は興味を示さないだろうから、無事に逃げ切れるだろうけど、戦わずして安住の地を明け渡すほど、僕らも物わかりは良くない。
「であれば、ボクらもすみかを守るためにも、仲間をきずつけた相手に対するとーぜんのていこうとして、あなたにたたかいをいどみます♪ ……おこっていないわけでは、ありませんので♪」
怪我させられたのは怒ってますとも。
ただ、それに関しては襲いかかったのはアーラからだから、思い直して共存を選んでくれるなら、なんとか飲み込もうと思ったんだけど、まあないか。
トリィ曰く、力を示さずして考えを変えることはないと、解ってはいたから別にいい。
なら予定通り、事を運ぶだけです。
あなたの望み通りに戦いましょうと笑顔を向ければ、先程よりも大きく口元を引き、ぎらりと光る鋭い牙を剥き出しにした。
……たぶん、これも笑顔なんだろうな。
「みーなさまー! せんとーじゅんびでーす!」
ひゅんっと飛んで、ドラゴンさんの真正面から下がる。
僕らの話がシオンさん達に聞こえるかわからなかったから、僕は人間語で話してた。だから、半分しか聞こえなくても、だいたい内容はわかってただろう。
僕らが話してる間に、既にフォーメーションは展開されているし。シオンさんも何かの魔方陣を敷いている。
それを確認し、僕は皆のやや後方辺りでくるりとドラゴンさんの方を振り返る。彼も伏せの体勢から、四肢を伸ばし地を踏み締めたところだった。
「さあさあみなさま、たちむかいましょう♪ てきは大きくつよいけど♪ ボクらがそろえばこわくなーい♪ けんをとって、地をかけて♪ しょうりをえるのは、ボクらです♪」
皆に聞こえるように、僕は高らかに歌い始める。
いつもの頑張れソングよりも、もっと強く、勇ましく。目の前のドラゴンに怯む気持ちなんて、吹き飛ばせるように。
ただのハーピィの歌は、相手を惑わし操るもので、ハーピィ以外は敵味方関係なし。それは、この場では使えない。
でも、王子の僕の、更に応援歌なら。
皆の心に、勇気を灯すくらいしか出来ないけど、心一つだって、戦いの中ではとても大事な要素だ。
蛮勇は良くないけど、怯えは足をすくませ、死を招き寄せる事もあるのだから。
《ほう! ハーピィの歌は敵を惑わす物ばかりと思っておったが、王族ともなれば、味方を鼓舞するか! クカカ、面白い!!》
ぎらんと、金色の瞳に凶悪なまでの戦意が灯る。
……うん、やっぱこのひと、バトルジャンキーの一種なんだろうな。単に、きっちりオンオフが出来るタイプなだけで。明らかに、さっきまでよりテンション上がってるもん。
《儂の横暴を飲み込めぬのならば! 世界の中で最も強い、ドラゴンが一匹! 儂の力を跳ね退けて見せよ!!》
グオオォォォン、とドラゴンさんも高らかに咆哮を上げる。
ビリビリと肌が震えるような音圧に、それでもシオンさん達もハーピィ達も、怯んだ様子は見られない。
みんな、頑張れー!! 歌ってるから、その気持ちは歌に目一杯込めておく。
……え、僕? 僕は凱歌を歌うので手一杯です。
まだ子供なんだから、そりゃあ後方支援でも不思議じゃないでしょう?
ていうか、支援だって大事だよ。
ドラゴンさんも、その役割分担に疑問を抱いていない。明らかに小さいし、僕。
ま、とりあえず今は、だけどね。ふふふ。




