彼女の事情
まだ4人組の冒険者さん達は起きないみたい。
そりゃ、僕とフレーヌグリシナで3倍がけ眠りの呪歌をかけた訳だから、1時間やそこらで目覚めて貰っては困る。なんというか、ハーピィの沽券に係わる。
なんとかシオンさんの暴走も止めて、まだトリィさんが治療中の医療小屋へと戻ってきた。
「ああ、お帰り3人とも。…目、覚めたみたいだよ?」
解毒と治療を終えたセロさんが僕らを出迎えてくれた。
それを聞いて、シオンさんは慌ててまだベッドに横になっているトリィさんに駆け寄る。僕はまたお外から回って、先ほどと同じ窓枠へと飛び上がった。
「トリィ! 大丈夫?!」
「……シオン?」
まだ焦点がしっかり合っていなかったけれど、声で認識できたみたい。
ぼんやりした青い瞳で、トリィさんはシオンさんを見て、名前を呼ぶ。
わあ、改めて見ると、この人綺麗だなー。
加齢の影響とは違う真っ白な髪。まつ毛も白くて、それだけで神秘的な雰囲気がある。
血がつながってないだけあってシオンさんとは全く似てない。
シオンさんは明らかに可愛いタイプだけれど、このお姉さんはとても美人だ。ハーピィと並んでも、遜色ないかも?
「どこか痛いとこない? この手、何本に見える?」
「……両腕合わせれば、二本だな」
「そこは普通指だろう」
恐らく素ボケだと思うけど、指を二本立ててそんな事を言うシオンさんに、トリィさんは生真面目に答えるし、ティリノ先生は即座に突っ込む。
ていうか、見た目の綺麗さ・繊細さと反して、声がちょっと低めというか、口調が、口調が本当に男性っぽい…
「…すまない、少々現状が飲み込めないのだが。私は、どうなった……?」
「ああ、そうよ! なんでトリィが追われてたわけ?! しかも毒矢まで撃たれるとか! 事と次第によっては、お姉ちゃん全力であいつらを生贄にするわよ?!」
「何へのだ」
「シオン、魔術のだとしても、それかなりアウトなやつだから控えて」
神様だとしたら、かなりの邪教だね!
もう、体の痛みはないらしい。横たえていた体を起こして、軽く頭を振るトリィさんにまたシオンさんがマジメな声でむしろ聞き返す。
その質問で、意識を失う直前を、思い出したのだろうか。トリィさんは少し顔を下に向け、考え込んだみたいだった。
後ろに居るから、僕にはどんな表情をしているのかは見えない。
「……ああ、そうか。また、助かったんだな」
ぽつ、とそんな事を呟いた。
本当に本当に小さい声だったから、シオンさん達には聞こえなかったかもしれないけど、ハーピィであり耳の良い僕にはしっかり聞こえた。
それは、まるで。
……助かりたくはなかった、とでも言いたげで。僕は、微かに首を傾げた。
「トリィと言ったな。俺はティリノ、カタラクタ王国の第7王子で、今はこの迷いの森の集落の代表をしている。すまんが、お前に何があったのかを聞かせて貰えるか」
意識もはっきりしているし、怪我の後遺症もなさそう。だから、事情聴取は可能だと判断したんだろう。
先生がシオンの横まで来て、トリィさんに問いかける。
彼女は素直に顔を上げると、先生を見て、こくりと頷く。
「ああ……。改めて、私はトリィと言う、こちらのシオンの義理の妹だ」
あ、別にそれ、トリィさんも普通に認めてるんだ。
軽く会釈し、もう一度顔を上げるトリィさん。
雰囲気も落ち着いているし大人っぽいから、シオンさんの主張を尊重して、彼女を立ててあげてるのかな。
「一応、冒険者をしている。ランクはB4。…すまないが、荷物を殆ど森の外の村に置き去りにしてきてしまった上に、冒険者証も落としてしまって、手元にない」
「あらー。そんな切羽詰まった逃げ方したの?」
「そうだな……奴らに拾われ処分されていなければ、村に居た時点で落としたから、向こうにあるとは思うんだが」
「奴ら、というのはお前を追っていた冒険者達でいいか?」
こくん、とトリィさんは頷いて肯定を示す。
むう、追っかけてた4人も、自分の冒険者証以外は所持してなかったみたいだしなあ。まだ落ちてるか、どっかで捨てられちゃったのかな。
「私の他にも、入れ替わりの日を待っている冒険者はいくらか居たが、私は一人だったから狙いやすかったのだろう。…流石に、理由は知らない」
「ああ、それに関しては向こうを聴取する」
「そうしてくれ。…ただ、私に一切近付かず、夕食に何か細工……恐らく遅効性の眠り薬か何かを混ぜられるような、協力者は他にも居たと思う」
「という事は、本来は部屋に戻り眠っている所を盗み出すつもりだった訳か」
「そうだろうな。気分が悪くなって、外の井戸で顔を洗っても治らない辺りでおかしいと思い、携行していた解毒薬を飲んでしまったから……」
なるほど、盛った眠り薬を無力化されてしまったけど、幸いと言っていいか、トリィさんが宿から一人で出てしまったから。
無理やりでも許可証を奪い取ろうとされて、荷物を置き去りの状態になったと。
「まるで、私が泥棒であるように先んじて叫ばれてしまい、無関係の者にまで追い立てられて、森に逃げ込む他に無いと思ってな」
「普通ならば、浅い領域でも夜にわざわざ踏み込まんからな、殆どはそれで諦めたが、そいつらにとっては渡りに船だったと」
「そうなる。…これでも一人前だと思っていたのだが、恥ずかしい限りだ。申し訳ない、救助して戴き、感謝する」
「いや、お前を助けたのは俺達じゃない、治療をしたのはセロだが。追われるお前を見つけて助けたのは、そっちの彼だ」
ぺこりと感謝を述べ頭を下げるトリィさんだったけれど、先生は直接助けたのはそっち、と僕を示す。
背後が壁であり、あるのは窓だけだと解っていたのだろう。
首を傾げるトリィさんは、素直にこちらを振り返る。
……どうやら、僕が居る事に気づいていなかったみたい。
窓枠に僕が止まっている事に気付いたトリィさんは、驚きに目を見開いた。
「こんにちわ♪ ごぶじで何よりです、おねーさん♪」
「……あ、あ。ハーピィが、私を助けてくれたのか」
「シスとお呼びくーださい♪ たまたまうちの子の目にとまったのでーすよ♪ 良かったですね♪」
フレーヌやグリシナが見つけなければ、本当に危なかったと思う。
シオンさんの妹とは思いもよらなかったけど、そういう事ならば助けられて本当に良かった。
しばし戸惑った様子だったトリィさんは、すぐに気を取り直したみたいだった。ベッドの中で出来る限り僕に向き直り、改めて頭を下げる。
「有難う。君のお陰で、命拾いした。心から、感謝する」
「うふふ♪ どういたしまーして♪」
魔物の僕に、ためらわず頭を下げられるお姉さんに、とても好感を抱いた。
偏見を持たない、多少あったとしてもあるべき態度と言葉を向けられる人は、ポイント高いですよ。
……ただ。さっき、助かった事を理解した瞬間、ほんの少しだけ、それを喜んでいないような口ぶりだったのが、気になるけれど。
「ていうか、なんでトリィってば森に入る申請したの? あたしが言うのもなんだけど基本ソロだから、森をうろつくの危ないでしょ?」
「それをシオンが言うのか? ……お前は、何年里帰りしてないと思ってる」
シオンさんの質問に、トリィさんはやや呆れた口調で問い返す。
確かに、一人で森に入ろうとしていたとしたら、ちょっと不思議。
行きや帰りはハーピィがついてくれて安全としても、最中に採取にしても狩りにしても、一人では出来る事がかなり限られる。ただでさえ、危険な獣だって結構居るのだ。
まさか採掘目的とも思えないし、この森ではパーティ単位での行動の方が、どう考えても安全。
だからシオンさんの疑問は理解できたのだけど、トリィさんの言葉にシオンさんは一回首を傾げ、考え込み、思い当たったのかとてもバツの悪そうな顔をした。
「もう5年目だ。そうだろう?」
「そ、そう、でした……。いや、でも手紙は出してるし!!」
「毎年顔を出せと母さんに言われていただろう、私もお前も。とうとうしびれを切らして、様子を見てきてくれと言われたんだよ」
「もー! 子供じゃないんだから、毎年里帰りする冒険者なんて居ないわよ!」
「魔女の基準で言えば充分子供だ。あとそれから、いい加減手紙に何度か書いているセロという子との仲が進t」
「あーーーーーーー!!!!!!」
すらすらと続く言葉がシオンさん的にマズイと察知したのか、大慌てで大声を上げてトリィさんの言葉をかき消す。
突然名前を出されたセロさんが、え? という顔をしたけど。
流石に姉妹の会話に突っ込んでいくほど、彼は度胸がない様子。
「……って居るなら、孫の顔の一つも見せに来い、と母さんが」
「あーーー!! あーーーー!!! トリィのばかーーーーー!!!!」
Σ大声でかき消されている最中も、話を中断していない…!!
シオンさんの突拍子もない行動言動には、慣れっこという事でしょうか。なかなかにお強い…!! 少なくとも、空気は読んでない!!
途切れ途切れに聞こえた言葉に内容を察したのか、先生はこめかみ抑えてる。
最終的に大声を出しすぎて、ぜえぜえと肩で息をし始めたシオンさんを、トリィさんは首を傾げてみている。
空気読んでないんじゃない、空気読めてない……?!
「何をそんなに取り乱しているんだ」
「トリィのせいですー!! 実家の家族の話なんて、他人に聞かれたら恥ずかしいものなの!!」
「そういうものか」
「そういうものです!!」
トリィさん、クール…!
というか、天然?
「と、とにかく、トリィはあたしの様子を見に来たのね…。よし、じゃあ目的は果たしたよね帰ろうか!」
「え、いやシオン? せっかく久々に会ったんだよね、そんな急かさなくても」
「部外者は黙ってる!!」
「Σすいません!」
ああ、セロさんにとんだとばっちりが……
ともあれ、冒険者さんは出入りに制限がないから、入ってきたばかりのトリィさんが森から出ても特に問題は無い。
荷物だって、外に置き去りにしてきちゃってるみたいだし。
「いや、荷物は一旦取りに戻るが……まだ帰らんぞ?」
「にゃ?! なんで?!」
「彼女に、命を救われた訳だからな。借りを返さねばなるまい。母さんには、手紙できちんと伝えておく」
あら、随分と義理堅い。
別に助けてと乞うた訳でもなく、僕にも利があり気まぐれもあって助けただけだから、貸しを作ったつもりはないのだけど。
シオンさんは、微妙に困った顔してる。
「だ、だってトリィはソロじゃない! 森で一人で出来る事ってかなり限られるわよ、そりゃあその、強いけど……」
「…そういえば、お前らは姉妹なんだよな。何故別行動している」
「最初のうちは一緒に行動してたわよ? B1になるくらいまで」
「元々、魔女の村を出て冒険者になろうと思っていたのは私で、シオンは着いてきてくれただけだからな。あまり付き合わせるのも悪いと思って」
「別に構わなかったんだけど、あたしもあたしであちこちフラフラするのが楽しくなっちゃって、なんとなーく、流れでソロ同士に……」
気まぐれというか、気ままに行動したがるのは、姉妹共通かな?
本来一年に一度里帰りがどうの言ってたから、シオンさんがセロさん達にくっついて行動するようになる前は、頻繁に会ってたのかもね。
「確かB4ランクと言ったか。魔法を使えないと聞いたが、何をどれほど使う?」
「基本的には剣を。どれほどかは、そう、だな…。あまり他人と比べた事はないが、1対1ならば、そうそう負けるとは思っていない」
「難しい表現だな。…シオンから見て、トリィはどれほどだ?」
「え、ゴブリンキングをソロ討伐出来るくらい」
「ぶ?!」
先生が判断に困ってシオンさんに聞いたら、なんかとんでもない返答だったらしくて、先生もセロさんも吹き出した。
ゴブリンキングって、ゴブリンって前に見たアレだよね。アレ。
あれの王様。やっぱりハーピィの王子って呼ばれる僕が多少他のハーピィよりも能力が高かったり賢かったりするように、ゴブリンキングもそうなのかな?
「待て、そんな化け物がどうしてB4ランクだ……」
「一人だと、受けられる仕事も限られるからな。……あと、ソロ討伐は言い過ぎだ。あの時は、シオンが他のゴブリンを薙ぎ払ったから出来た事で、私一人で王が率いた群れを討伐する事は不可能だ」
「懐かしいねえ……何年前だっけ」
「冒険者になって2年後だから、10年前だな」
「おまっ……お前ら、そんな駆け出しの頃に何をしてるんだ、何を?!」
「だって、バッタリ会っちゃったんだもん」
「流石に焦ったな。だが、おかげで一気にランクがCの上位まで上がった」
「今の話、ルストには内緒にして欲しいな、張り合いそう…」
なんか怒り出すティリノ先生と、悪びれのないシオンさんとトリィさん。
セロさんは頭痛がしている様子。
しかし、広範囲魔法で雑魚を薙ぎ払えるシオンさんと、単体であれば相当な力量を持っている様子のトリィさん。
つまり、冒険者を志す前からすでに強かったって事だよね、ランクは実際、本人の実力を表す訳じゃない事もあるんだなあ……
「……まあ、いい。つまり、実力はルスト並かそれ以上、という事だな」
こほん、と咳ばらいをして先生が場を纏めようとする。
基本一人行動というスタンスのせいでランクが上がらないだけで、実力的にはAランク相当。って事みたい。
って、ルストさんも取り巻きがいなければ、ゴブリンキング倒せそうなの??
「そういう事ならばトリィ、お前も俺に雇われてくれないか」
「えー…やっぱそうなっちゃうー…?」
「私も、という事は。今のシオンの雇い主は、貴方なのか」
「ああ。依頼内容は俺の護衛と、この集落周辺の警護。野生の獣が寄って来た時は撃退を頼むし、集落内に良からぬ行動を取ろうとする人間がいないか、目を光らせる事、と言った所だ。報酬は…」
事務的なやりとりが行われ、トリィさんは先生が出した条件で頷いた。
相変わらずお金の価値なんかはよく解らないので、僕は聞き流す。
長期契約で、月ごとの更新って感じみたいだ。シオンさん達は、年単位になっているけれど、トリィさんはパーティの一員じゃないし、いつ森から出ると言い出すか解らないからね。
この最中、やっぱりシオンさんは乗り気ではないみたいだった。
んー、なんだろ? 仲が悪い訳では全然無いみたいなのに、なんかトリィさんがここに滞在する事を歓迎していないみたい。
……あ、さっきの空気読んでない発言をいつするか、心配なのかしら。
「では、今は病み上がり……というか怪我も治りたてだし、そもそも荷物が外の村にあるのだろう。こちらに来る冒険者達にもってきてもらうように頼んでおくから、それまではゆっくり骨休めでもしていてくれ」
「了解した、気遣い感謝する。……そういう訳で、しばらくお世話になる。君には借りがあるからな、もし私に出来る事があるのなら、なんでも言ってくれ」
「まあまあ、ありがとうございます♪ たよりにさせてもらいまーすね、トリィさん♪」
なんでも、なんて言ったらいけないよ、おねーさん。
まあ、もちろんシオンさんの大事な家族であるトリィさんに、無茶振りなんてしませんけれども。シオンさんに嫌われたくはないからね。
「ん、敬称などつけないでくれ。君は命の恩人なのだから」
「そうでーすか?♪ ではトリィ、よろしくおねがいいたしまーす♪」
笑顔を向けてくれるトリィさん……トリィに、僕も可愛く笑顔を返す。
成程、シオンさんの男前でいい子、という表現が理解できる。一環してきりっとしていてクールだし、綺麗であるという以上に、恰好良い印象。
それでいて、よく笑ってくれるし、親しみやすさもある。
あれだね、女性にモテるタイプの女性だね。
勿論、女性である以上、ハーピィにはモテないでしょうが。
「王子!」
「ぴー?」
ぱささっと軽い羽音を立てて、僕の背後にアーラが舞い降りた。
……と思ったら、アーラだけじゃない。クラベルに、他にも3羽も。
なんだろう。少々物々しい、こんなに一気に僕の所に来るなんて。
「…どうしたの?♪ なにかあーった?♪」
「はい、どうもエルフの集団ガ、森に入ってきたようデス」
「んん…?」
エルフ? エルフって、エルフだよね?
森に入ってくる人達は人間ばっかり(一部魔女)で、未だにそれ以外の種族を僕は見たことがないのだけど、話だけは知っている。
人間よりもずっと自然に親しむ性質で、綺麗な水がある場所に住みつく事が多い。必然的に、大概森に住んでいる。
この森はハーピィ以外はエルフでさえ迷ってしまうから、居ないけど。
「しゅうだん…、ぜんいん、エルフなのでーす?♪」
「そのようニ、見えたそうでス」
ただ、『集団』っていうのが解せない。
エルフはあまり森から出ないのだそう。出ても僕らのように生きられない訳ではないけれど、あまり心地良い環境ではなくなる。
勿論、中には変わり者がいて、冒険者になったり街に住んだりするそうだけど、それは全体から見ればほんの一握り。
それが、集団で森に入ってきている?
まさか侵略者だとは思えない、エルフは自然と共に生きる種族だし。
なんだろう……? 今日は色々起こる日だなあ。
「んー、べつに、かってに入ってきたってかまいませーんが♪ ちょっとヘンなかんじでーすね、少しようすを見にいきましょうか♪」
「シス、手は要るか?」
「どうでしょ、まだわかりませーん♪ もしも何かありましたら、よろしくおねがーいしーまーす♪」
あんまり好戦的ではない人達の筈だけど、何をしに来たんだろう?
それによるから、ティリノ先生達の手助けが要るかは、まだ解らない。
もしもの時は宜しく、とお願いして、ちょっと忙しくなりそうなので失礼しますと言おうと、外のハーピィ達から、中の先生達の方を振り返る。
案の定、何事だろうと怪訝そうな顔をしているティリノ先生、シオンさん、そしてセロさん。
ただ、トリィだけは。
「…………」
僕と、外に居るハーピィ達のうち、誰を見ているのだろう。
なんだか、なんて言えば良いだろうか。
……痛そう? 羨ましそう? 悲しそう??
そんな感じの感情が少しずつ混ざったような顔をしていた。それを、出さないようにしている気もする。
「トリィ、どうかしまーした?♪」
「! あ、いや、なんでもない。こんなに沢山のハーピィを、一度に見るのは初めてだったからな。驚いてしまった」
問いかけると、パっとトリィは何でもない顔をして、笑った。
むう。やっぱり彼女は大人だ。
都合の悪い事は簡単に隠すし、さっと誤魔化して追及をさせない。
……ま、別にそんな突っ込むことでもないか。
僕らが森では危険な魔物だなんて今更だし、それが間近に複数居て、人間的にはドン引き案件なのは解っている事だし。
たぶん、彼女もそのうち慣れるでしょ。
「それでは、ちょっと行ってきまーす♪ アーラ、あんないしてくーださい♪」
ぱさぱさと翼を手の代わりに振って、アーラ達と一緒に空へ舞い上がる。
さあ、次はなんの案件かなー。
起こる時はいっぺんに起こるモンです。
トリィは色々思うところもあるんですが、今は関係ない話。
基本的にはいいひとです。
あと、シオンは魔女基準では、やっぱりまだ子供です。実家の両親も心配してます、がおおらかな人達なので、深刻ではありません。
心配してるっつーか、お前彼氏と上手くやってんの? 的な意味ですね。
トリィは律儀に年1で帰っていたようですが、今後はどうかなー?




