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おすはぴ!  作者: 美琴
17/64

会議続行




 シオンさんの魔力が回復したということで、再び仲良しの陣を張り直し、僕もシオンさんのお膝から離れてアーラの隣に戻る。

 あからさまにがっかりした顔してたけど、きちんとお仕事はする人みたいで、気を取り直して再び仲良しの陣を張り直し、維持してくれてるみたい。


「―――そうだ。再開前に、これを渡しておかないとな」


 本格再開前に、先生はセロさん達が持ってきた荷物らしい袋を一つ受け取って、右手を中に突っ込む。

 そこから取り出された箱は、明らかに袋よりも大きかった。


「ぴい?! なあに?! なんでそんなにおっきいのがでてくるの?!」

「うん? …ああ、これも魔道具の一種だ。見た目よりも多くの物を収納できるようになっている。これはA級だから、重さも半分ほどに緩和する品だ」

「ちなみにS級になると、更に軽くて中身の状態維持も完璧だったりするのよ。全冒険者憧れの品なのよね」


 なるほどー! そういうのもあるんだ!

 状態維持が出来るってことは、なまのものを入れてても鮮度が維持されるってこと? 物凄い事だよね、それ! 長旅をする冒険者は勿論、たべものやさんとかでも喉から手がでるほど欲しいものじゃない?

 品質が低いと重さは入れた物のままっぽいけど、かさばらないだけでもかなり助かるんじゃないかな?

 いいなーと思ったけど、必要かと言われるとハーピィ的には微妙かしら。


「それで、それなあに?」

「言っただろう、お前達への土産だ。ご機嫌取りというのもあるが、正直こちらからの要求と、お前達の要求は全く釣り合ってないからな。気に入った物があったら今後も対価として渡す為の、サンプルって事だな。……ああセロ、ここから記録再開してくれ」

「ん、解ったよ」


 なるほど。

 あるいは、最初から僕らがオス要求なんてするか解らなかったから、それが最初から案内の対価になった可能性もあるのかも。

 結局先生が袋から取り出した箱は5つもあって、その中身は全て食べ物。

 何がウケたかも記録しておかないと、後で困っちゃうだろうし、正式会議前だけど記録は再開されるみたい。気をつけよ。


「追加の対価には、魔道具や食物などを想定している。魔道具の方は怪我の治癒を促進するもの、水を清めるもの、温度を一定に保つもの、などを今後用意するつもりだ。他にもある程度は希望を言ってくれれば調達する、魔道具の調整や魔力の補充をする人員も用意しよう」

「うん。それは、ちょっとありがたいかな」

「食物だが、正直、人間とハーピィの味覚にどれだけの差があるか、未知数だからな。いくつか用意はしてみた、気に入った物があれば教えてくれ。万一口に合わないものがあっても、今回は容赦してほしい」

「まだまだぼくらは、おたがいをしらないから、しかたないよね。それじゃ、アーラ。たべてみて?」

「わ、私ですか?」

「え、ぼくがたべていーの?」

「喜んで毒見させて頂きます!!」

「でしょ? あ、みんなもいっしょにたべて。かんそう、おしえてね」


 僕も食べたいのはやまやまなんだけど、どう考えもこうなるよね。

 まさか毒が入っているとは思わないけど、人間にとって毒でなくても、ハーピィに悪い物である可能性もなきにしもあらず。

 大人なら耐えられても、雛の僕には耐えられない可能性だってあるのだ。

 ……食べたい、けどね。ああ、その焼き菓子美味しそう。うう、お菓子があるんだこの世界。食の文化はそれなりなのかな。

 最初は皆、恐る恐る。

 でもすぐに、危険は無いと理解したのか、パクパクと食べ始めた。初めてのものは先ず匂いを嗅いで危険が無いかは確認してるみたいだけど。


「これは、少し味が濃すぎるわ。ちょっと苦手」

「あ、これは美味しいわ! 木の実の味ね」

「やっぱり、薄味で自然の素材そのまま系がお好みなのかしら?」

「そのようだな。一応、あまり味覚に大差は無いようではある」


 箱の中には、保存がそれなりにききそうな物が殆ど。クッキーらしい焼き菓子とか、大きなパイみたいなのもある。

 基本は肉食だけど、果物を食べる事もあるので、雑食なのかな僕らは?

 吃驚する程辛いや甘いという物は人間であっても人を選ぶ。そういった、極端な味付けの物は用意されてないみたいだ。うん、賢明。

 ただ、中に一つだけ、ハーピィ達が過剰反応するものがあった。


「! これ! これ、すごく美味しい!」

「本当?! 私にもちょうだい!」

「……! なにこれ、ほんとだわ! おいしい!」

「え、なあに? あれなあに?」

「……あれは…」

「あたしが作ったミートパイ☆」


 シオンさんお手製が入ってたんですかー?!

 突如、ハーピィ達が目を輝かせて食べ始める光景に、シオンさんは物凄く嬉しそうにダブルピースで答えてくれた。

 へえ、お料理も出来るんだ。あ、でもなんか魔女とパイって似合う……

 と。何故か、先生を始め男性陣3人が、微妙な顔をしていた。


「……セロ、訂正だ。ハーピィと人間には、味覚にそれなりの隔たりがある」

「うん……了解…」

「ぴ? ど、どゆこと?」

「いや、……というかシオン。いつの間に、自作の物を混ぜた……?」

「え? 出発前、ちょっと暇だったから」

「そういう勝手を、黙って、やるなと、言わなきゃ解らないのか?! 40間近にもなって、子供かお前は!?」

「ぎゃーーーー!!! 年の話はするんじゃないわーーーーー?!!」

「危うく毒殺の嫌疑をかけられる所だったんだぞ、反省しろ!!!」

「ほんと失礼ね?! 毒なんて入れてないわよ、心を込めて作ったし!!」

「毒を入れずとも毒物を作り出すから言ってるんだろうが!!!」


 ……。…シオンさんは、メシマズ??

 そして、ほんとあの人フリーダム過ぎて、なんか凄すぎる。


「ま、待って。ほら、もしかしたら、奇跡的に、本当に美味しいのかも……」

「俺よりも、お前の方が現実を知ってるだろうセロ! 夢を見るな!!」

「究極失礼ね?! じゃあ食べて見なさいよ?!」


 そろそろハーピィによって食べ尽くされそうなパイを、ちょっと失礼と一切れお皿に盛りつけて、ずいと差し出すシオンさん。

 見た目は、本当に普通に美味しそうな焼き色が付いたパイだけど?

 差し出されたティリノ先生は、完全にドン引きしている。

 すっと視線を向けると、希望を口にしたにも関わらず、セロさんはさっと視線を逸らした。どんだけなの。


「…………ルスト」

「俺かよ!?」

「ここで、俺が動けなくなる訳にはいかない…。すまない、どうか、お前に頼らせてくれ。その漆黒の闇の力を以て、俺を救ってくれ……」

「! …仕方あるまい。これも闇の戦士としてのシェ=メイン……。我がゼーレに刻まれし暗黒の波動よ、今こそ仲間を救済せしめる光となれ!!」


 すっごい酷い物を見た。

 引きつった笑顔でパイを差し出すティリノ先生と、カオス部分を突かれて、嬉々として乗って行くルストさん。

 10秒後、彼は地に伏していた。


「やはり、即効性の猛毒だな」

「なんでさ?!」

「まあ、僕らにとって普通の食べ物でもハーピィには危険な物があるように、その逆も存在してる、って事なんだろうね」

「言ってしまえば、俺達が生肉をそのまま食えば危険だからな。同じことだ」

「げせぬ…。ねえシスちゃんも食べてみて! 美味しいから!」

「ぴ、ぴぃ……。…たべていい、アーラ?」

「……、一口だけですよ?」


 僕にまで来た。

 ちょっとどうかと思ったけど、アーラに聞いたらまさかのGOサイン。

 既に毒見は済まされているし、問題無しと判断されたらしい。

 先生の向こう側で地面に倒れて痙攣しているルストさんを見ないふりしつつ、やたら嬉しそうな笑顔のシオンさんに、一口分だけフォークであーんしてもらう。


「……。……おいしい!」

「ほらー! シスちゃんだってこう言ってる!」

「お前、もうハーピィ専用のコックにでもなれ。俺は止めない」

「あ、それいいかも」


 いいんだ。

 さておいて、どきどきしたけど、確かにパイは美味しかった。生地はさくさく、中に詰まったお肉は生とは違う良い香りがして、あふれる肉汁がたまらない。

 これが毒物扱いされるなら、人間とはどれだけ味覚に隔たりがあるんだろう。

 ついでに、さっき美味しいとされてた木の実のクッキーもほんの少しだけ貰ったけど、これはこれで美味しい。でも、ミートパイには敵わないなあ。


「おにーちゃん、ずるい!」

「フレーヌも! たべるー!」

「アーラさーん! この子達だけ仲間外れは可哀想です! 一口! 一口だけですから!!」

「……本当に、一口だけだからね」

「はーい! ささ、どうぞ! あーん!」

「ぴい! あーん!」

「グリシナも、グリシナもー!」

「はいはい順番ね、あーん」

「あーーん! …ぴぃ、おいしい! おいしい!」

「おねーさん、もっと! もっと!」

「あああ、幼女があたしを求めてる……!」


 ここぞとばかりに、寄ってくるフレーヌ達と、きらきら瞳を向けられ悦に入るシオンさんである。

 ……幸せそうだなあ、彼女。

 もっともっとと美味しい物をせがまれ、あげそうになるシオンさんを制し、ぶーぶー文句を言う二羽は他のハーピィに抱っこされて、離された。

 シオンさんがとても悲しそうな顔をしていたのは、言うまでもない。







 お土産物パニックが収束し、ほぼ出来レースな会議が再開して、しばらく。


「では、森に入る事を許可される数は、ひとまずは15人程度、様子を見て増減は今後あり得る。ただし、この中に資材や物資の運搬要員、護衛要員は含まない。で如何か」

「んー、とりあえずはいいかな。それから、たいざいするひとは、いちどはいったら半年はでることをゆるさないよ。どうしてもってりゆうがあるなら、もうしでてほしいな」


 結局、入る以外にも出る事も縛る事にした。

 さすがに、資材運搬用の人はそうもいかないし、護衛役をするのは兵士さんや冒険者さんだろうから、そこは縛っては気の毒なのでやめておく。

 森の中の安全保障に関しては、『僕らは人間を襲わない』というだけのこと。野生の獣から守る約束は、最初からしていない。

 一応、してもいいけど、その場合に狩った獲物は僕らが貰う、としておいた。

 毛皮や肉が欲しいという気持ちもあるだろうから、まあ護衛をつける事になるんじゃないかな。


「……繁殖期に、一時的に森から出るという事を防ぐ為か」

「まだ、あなたたちをしんようしたわけじゃないから。…そうだ、やくそくをやぶったときの、ばつのおはなしもしましょうか?」


 にっこり。笑うと、先生はちょっと意表を突かれた顔をした。

 けど、すぐに頷き返し、了承の意志を示す。


「…ハーピィの、縄張りに『入れて貰う』訳だからな。ルールを破った際の罰は、当然覚悟しておくべきということか」

「もちろん。それは、ニンゲンさんたちの国でも、おなじでしょう?」

「仰る通りだな。で、何を許さないと判断する? 俺達の基準で言えば、違法に暴利を貪る事か」

「んー、おかねもうけをめあてにはいってもきにしません。ぼくらにおかねはひつようないから、きめられたはんいないでとったものを、そとでどんなねだんで売ったとしても、ぼくらにはかんけいありません、おすきにどーぞ?」

「では、……今回で関係ありそうと言えば、女性に対する暴行などか」

「メスがめあてでくるのであれば、むしろぼくらはだいかんげい。ただし、ぼくらはまものだから、こうげきされればまよわずはんげきするよ。そのばあいのあんぜんは、ほしょうしかねます」

「それは正当防衛だからな、当然だ。つまり、ハーピィ達への傷害なども当たり前に報復が来るという事だな。それは、主に護衛役に強く言い聞かせよう」

「ぼくらがゆるさないのは、ぼくらのしんらいをうらぎること。すなわち、ぼくらとむすんだやくそくを、まもらないこと。やくそくよりも、おおくしざいをもちだすこと。それは、ぼくらのもりをこわすこと。それをぼくらはゆるさない」


 森の中で、決められたルールで行動する分には、構わない。

 約束の範疇内で手に入れた高価な魔石を、外の国でぼったくって売ったところで僕らには関係ない。それで巻き起こるかもしれないトラブルは、僕らの知った事ではない。

 メスハーピィ目当てで来てくれるのなら、むしろ大歓迎です。

 繁殖期以外で襲われても困っちゃうけども、森の中のハーピィに1対1でも勝てるような腕利きが、わざわざそんな事目当てにやってくるとか、阿呆らしい。そんな強い冒険者さんや兵士さんは、そもそも女性に困ってないのではないかと。

 僕らが護って欲しいのは、僕らとの約束を護る事。


「ニンゲンさんは、おかねがだいすき。ぼくらのもりのいろいろなものは、あなたたちにとっておかねになるんだよね? すきなものがたくさんほしい、はわかるけど、でもこのもりはぼくらのだいじなすみか。それをわすれないでね?」

「……もしも、約束を破る者が現れたら?」

「さいしょは、やぶったヒト。たくさんのヒトがくりかえすようなら、もりにはいったすべてのヒト。ぼくらにくわれるか、もりにのまれるか。すきなほうを」

「安全保障と、道案内を無しにする、という事だな」

「あなたたちがまもらなかったやくそくを、どうしてぼくらがまもるの?」

「……道理だな。だが、即座に命に係わるのは、少し厳し過ぎはしないか」

「それが、もりというもの。もりはめぐみをあたえるけれど、よわいものや、ルールからはずれたものは、よりつよいものにくわれるものだよ?」


 弱くても、強い他の生物の庇護下に入る事で、生き延びる者も居る。今回森に入る人間達は、その法則で護られることになる。

 だけど、その庇護している生物が、気に入らない行動をとったなら?

 あっさりと見捨てられる。当たり前でしょう、それが自然というものです。

 郷に入っては郷に従え。つまり、そういうこと。


「もちろん、はんしょくきのきょうりょくしゃがよういされないのであれば、そちらも……、…んー、そっちはもりをこわすことにはつながらないから、たべるのはやめよっか。ただし、つぎのとしのしざいのもちだしを、はんぶんにするよ」

「そこから、反省せずにこぞっていつも通りの量を持ち出せば、先ほどの全ての人間の制裁に行く事もあり得る訳だな?」

「そうなるね。ぜひとも、ぼくらとのやくそくをやぶらないようにおねがいね。ぼくらとしても、オスがまいとしよういされるなら、ラクでいいもの」


 本当は、それこそが僕らの求める事だけど、表現は楽でいい、にしといた。

 勿論嘘ではない。いちいち来ないオスを探し求めて、狩るのはとても大変なのはそうなんだし。

 嘘じゃないけど、表現を軽くしただけ。

 まるで、人間が提示した対価に、まあそれなら楽になるから手を結んでもいい、くらいのニュアンスでこの交渉が実現したように。


「……こちらは、立ち入らせて貰う側だからな。国で言うならば、相手の法を守るような物か」

「きっとそう、ただニンゲンさんとぼくらでは、きじゅんがすこしちがうだけ」

「了承した。…ところで、俺達以外にあなた達に接触してきた人間はいるか?」

「ん? まだいないね、あなたたちがいちばんのり」

「では、今後あるかもしれない他国との交渉を、受ける意志はあるのか?」


 ああ、さっきのアバリシアだっけ。来るかもしれないっていうか、ほぼ来ると思われる次の国の交渉。

 なるほど、両方受けるって道もなくもない?

 ただ、正直めんどくさい。二つの国と別々にとなったら、入るヒトの数が増えるし、集落も二つになっちゃうかもしれない。


「なんども言うけど、ぼくらはひつよういじょうにもりをこわしてほしくない。ふたつの国をうけいれたら、そのぶんヒトがふえるよね。今のところは、きょかをするのはひとつの国だけ」

「では、こちらと正式に手を結んだら、他国と同盟を結ぶことはないと、約束して貰えるだろうか?」

「いいでしょう。ただし、あなたたちがやくそくをやぶったときは、べつのニンゲンの国とあたらしくてをくむかもね」

「俺達が、ルールを守る限り、この森の資源の入手権を持つ国は、俺達だけという事で良いな?」

「うん。……ああー、もうひとつ、いいかな?」

「なんだ?」

「しょーじき、いろんなヒトがとっかえひっかえ、あれこれ言いにくるのをきくのがめんどくさいの。あなたがだいひょうで、ぜんぶまとめて言いにきて」


 にこっと笑って、代表はティリノ先生にして、と発言し、セロさんにもしっかりと記入して貰う。

 これは大事。うっかり、交渉役を他の人に挿げ替えられては困る。

 僕としても、きっと先生としても、ね。


「俺に、今後もあなた達との交渉役となれ、と」

「うん、ぼくはあなたがきにいったの、ティリノ。はんしょくきがちかいのをしりながら、ぼくらのきょうりょくをもとめてふみいってきたゆうきも、ぼくらにつかまってもなおこうしょうをよびかけたきもちも。あなたとのはなしあいなら、ぼくはよろこんでするよ!」


 嘘じゃなーい。でしょ?

 喜んで、の言葉も添えて、このままティリノ先生が担当するなら、新たな要望も通りやすくなるのでは、という期待も持たせていく作戦。

 これで、先生をこっそり排除したいとか、そう思ってる人達に彼を外せないのだと容認させるきっかけになるでしょう。


「その若さで、ハーピィの長を務める王子にお認め頂き、光栄だ。国に今後もこの勤めを続けられるよう、願い出てみる」

「ぜひとも! あなたじゃないなら、つまんなくなりそうだもの。くれぐれもよろしくねって、国のヒトにもつたえてね!」


 倍プッシュしていくスタイル。

 今のところは、向こうがこちらに取り入りたい訳だから、現在僕に気に入られてるというのに、わざわざ別の人を据えて機嫌を損ねるリスクは犯さないだろう。

 今回とりあえずで決めた制限を、場合によっては増やすか減らすか考える、とわざわざ何度も言ってあるのだから。

 真っ当な頭を持った人ならば、取引先の機嫌を取って、気に入られそうなお土産や担当者を用意しようと思うのは当たり前のこと。外交だって、同じでしょう。


「森に入る人間に出す許可は、こちらで選定して構わないのか?」

「かまわないよ。でもできれば、みてわかりやすいきょかしょうでも、つくってほしいな。そこにおかねがはっせいしても、ぼくらにそのりえきはいりません。おすきにどーぞ」


 森の資源回収を、全て国が指導し人を集めて行ったら、かなり大変になる。

 だから、きっと許可証は希望する団体や個人が申請して、国が審査し許可を出す事になる。確実に、そこには金銭のやり取りが発生する。

 とってきた物に税を課すなり、許可証の値を吊り上げるなり。やろうと思えば、国に利益はいくらでも狙える。

 そういうのは、僕らには関係ないお話。この中のルールを守ってくれるのなら、好きにやってればいいんじゃないかな。


「……あなたは、本当にハーピィなのか。とても、森に住む魔物とは思えないが」

「うふふ、みてのとおりのハーピィだよ? ただ、ちょっとだけほかとはちがうみたいだけど」

「王子は、我らが王の再来だからね! 貴方達の事も、お見通しなのよ」


 えっへん、とアーラはとても誇らしそうに胸を張って言い切った。勿論、話の途中でちょんちょんとアーラをつつき、さっきの設定の発言催促をしている。

 なんせさっき口裏を合わせた事であるので、表情は誰もそう変化なし。

 ただ、後でその文書読む人、吃驚するんだろうなあー。


「あなたが王子、オスのハーピィなのだとは先ほど聞いた。が、真実かつてこの森に居た、森の王なのか?」

「さあ? メスたちはそう言うけど、ぼくにはよくわかんない。でも、ぼくがオスで、あなたたちのことをなんとなくしってるのは、ホントのこと」


 だから、騙そうと思っても、簡単にはいかないよ?

 今は先生がその前にガードしてくれそうだから、ちょっとご安心だけど。

 こんな感じでいいの? と視線で先生にお伺いを立てると、満足そうに笑って頷いた。これで正規文書に記載されましたよっと。

 さて、想像通りにお国の偉い人たちも、これで僕らが一方的に利用できる訳じゃないと、肝に銘じてくれるかーな?

 ま、ここまでのお話を見た時点で、普通のハーピィならざる子がいるってことは理解できたと思うけどね。







 いつまで話してんだろう(確実に脱線が長い)


 どうやら、人間とハーピィは味覚が違う様子。

 重なる部分はあるようですが、何かが決定的に……

 っていうか、シオンにはどれだけ設定が上乗せされていくのかしら←


 こんなはずじゃ(ry




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