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おすはぴ!  作者: 美琴
13/64

合流




『センセ! センセ!』


 皆との話がまとまったところで、木の麓にいるティリノ先生の檻まで飛んで降りて行く。

 ついでにアーラや他のハーピィもいくらかついてきた。

 やっぱり、先生は逃げ出してはいなかった。大人しく、若干手持無沙汰な様子で檻の棘の無い部分に触れている。

 逃げる気は無いけど、何かのきっかけさえあれば反撃しようとか、くらいは思っているのだと思う。

 さすが先生! それくらいじゃなきゃ!!


『シス?』

『オハナシ、オワリ! センセ、ダイジョブ!』

『終わりって……、俺を繁殖用に使うのをやめたって事か?』

『ソウ! ニンゲン、テツダイ、スル!』


 にこにこ笑顔でそう告げたら、先生は信じられないって顔をして、少し口元に手を当てて考え、まだ安心はしていない表情で改めて僕を見た。


『ちなみに…、じゃあ、今年に迫ってる繁殖期は、どうする気だ?』

「ぴ?」

『ハーピィに限らず、子を……卵を産みたくなるのは本能的な物だ。俺を諦めて、交渉を始めたとしても、お前が言っていたオスの用意はすぐ出来るものじゃない。来年はなんとか出来ると思うが、今年はどうする?』


 ……。そういえばそうだ。

 今から細かい事を決めて、先生は一端国に戻って、あちらの許可とか決まりとか色々決める事はあるのは間違いない。

 2か月を切った繁殖期までに、それが間に合うとは思えない。

 となれば先生を解放する以上、他のオスを捕まえるか。

 ただ、そういう流れになったとうわさに聞いて、では早速と入り込む人間がいないとは限らない。僕らにとっては構わないけど、それで結局餌食になったら、イメージ的な問題があるよね…


「……アーラ。はんしょくき、ことしだけでも、ガマンできる?」


 一応、聞いてみる。

 ただ、どうしてもそれは本能的なもので、危機的状況や栄養不足でない限り、どうしても繁殖はしたがるもの。

 でも今までだって、卵を産めないメスは居た訳だし。

 決して理性が無いわけじゃないし、絶対無理! 産む! とはならないと、思うんだけど……


「我慢、は…できなくはないです。ただ、繁殖期が過ぎるまでは、どうしても皆、攻撃的になるでしょう」

「あー、そうだよね」


 本能の抑え込みは、野性が強い程難しい。

 それとほど遠い人間だって、たまに本能を抑えきれなかったとかのたまって、犯罪起こす人が居たくらいだ。ハーピィに穏やかに抑えろ、は無茶だよね。

 とはいえ、繁殖期が終わって落ち着くのを考えると、向こう4か月ほどは危険な状態が続いてしまう。

 せっかくの交渉が、伸び伸びになるのも避けたい……


「んー、なんとかみんなに、おちついていてもらえることって……」

「はーい! おにーちゃん、グリシナしってるよー!」

「フレーヌもしってるー!」

「ぴ? なあに、フレーヌ、グリシナ」


 腕を組んで、…いや組めてないけど組んでるつもりで考え込んだら、まさかのフレーヌとグリシナが、元気にばさりと翼を上げた。

 まさかこの二羽が入ってくるとは思わなかったから、驚いた。


「おにーちゃんがうたうとね、みんなふにゃってなるのー!」

「たまごうめなくておこってたオトナもね、ふにゃってなるのー!」


 ……え?

 ねー! と笑顔で言う二羽の言葉に、首を傾げた。

 僕が歌うと?

 僕が歌の練習してる時ってフレーヌ達も一緒だし、他のハーピィもついて一緒に歌ってるし、その時そんなことになってなかったけど?

 一羽で歌うのは朝の日課の時くらい?


「ああ! そうですね、王子が朝、長老木の頂きで歌う声を聴いていると、皆とても心地良くて、落ち着いた気分になります」

「そうなの…? みんなといっしょにうたってても、何もなかったよ?」

「そうですね、何故かは解りませんが……。元々、呪歌は歌い手の心に左右される部分が大きいです。朝の歌は練習ではなく、王子がお好きで歌っているものですから、それで何らかの呪歌になっているのだと思いますよ」


 …そーだったの。

 確かに、朝は一羽でるんるんで歌ってるから、その間下の皆がどうなってるかとか、知らないし気にもしてなかった…

 あ、もしかして前に歌った後すぐ下に降りたらババ様がうつぶせてたのって、そのせいで脱力してたのかしら。


「じゃあ、イライラってしてきたら、ぼくのとこにきて? そしたら、おちつけるようにうたってあげる!」

「はい……それなら、もしかしたら」

「落ち着いて、今年の卵を我慢できるかもしれません」

「来年は、約束通りオスが用意されるのですよね?」

「いきなりぜんいん分はムリかもだけど、いっぴきよりはおおくなるように、がんばっておねがいする!」


 歌で解決するのなら、問題はない。

 朝以外にその効果が発揮された事は無いけど、つまりはるんるん気分で好き勝手に歌えば伝染するって事だよね?

 大丈夫、やれます。

 というか、呪歌って結構ゆるゆるなんだ。もしかして、やってみたら他のも歌えたりするのかな?


『センセ、ダイジョブ! コトシ、タマゴ、ガマン!』

『本当か…? 我慢しすぎて、本当の意味で襲われても困るぞ?』

『ダイジョブ!』

『ならいいんだが……。じゃあ、ここから出ても、平気か?』

『ウン! イマ、コワス!』

『待て、外から壊されても危なそうだし、自分で出る。ちょっと離れててくれ』

「ぴぃ? みんなー、センセがおりから出るから、はなれてだってー」


 しっかし、ヒアリングは出来るんだけど、ほんと喋るの難しい。

 接続詞なんかも、解ってはいるんだけどね。どうしても、言葉を減らしてしまいたい。発音難し過ぎるから!

 さておいて、自分を閉じ込めている檻を、出して貰わず自分で出るとは。

 やっぱり、脱出自体は出来るんだね。どれくらい離れたらいいのか解らなかったけど、皆に距離を取って貰う。


『風よ、我を脅かす者を弾け、飛ばせ。トルネード!』


 ティリノ先生のそれは、きっと魔法の呪文なのでしょう。かっこいい!

 言い終わるや否や、先生を中心にゴウっと強い風が渦を巻き、元々そんなにしっかり組んでいた訳でもなかった木と茨製の檻は半分くらいバラバラになって、がらがらと崩れ落ちた。

 風が先生起点だったから、中に居た先生は無傷。


『スゴイ! センセ、スゴイ!』

『はっはっは、そうだろうそうだろう』


 ぱたたと飛んで近寄り、翼を広げて賞賛すると、解りやすく得意げな顔をして僕の頭を撫でてくれた。

 先生もちょろい。


「気安く王子に触るな! 王子は私達の長なんだからね!!」

『? …なんだよ赤毛』

『サワルナ! サワルナ!』

『やかましいわ! 文句言いたいなら、もっと語彙をふやしてから出直せ!!』


 …数少ない言葉が通じる間柄なのに、会話が通じそうにないなあ…

 やっぱり、人間語を習っといて正解だ。

 アーラの僕至上主義が、とうとう名実ともに認められたような部分あるしね…


「アーラ、おこらないのー。ティリノセンセもおうじさまなんだよ、ぼくとおんなじー。なでてもわるくないの」

「うぅ……。王子がそう仰るのなら…」

『なんだお前、こんなチビに言い負かされるのかよ……』

『ウルサイ! ダマレ!』

『チビ、チガウ!!』

『ああ、シスには悪かった。謝る』

「貴様、本気で喰い殺されたいのか!!!」

『うるさいのはそっちだ!! 鳥声でキンキン鳴くんじゃない!!』


 だめだ、この人達は。

 そもそも、先生を捕まえたのはアーラだしね、死ぬような目に合わされたって意味では仲良くならないかもしれない。

 …それを先生が知っているかは、解らないけど。


『ケンカ、ヤメル! ボク、コマル!!』

『……ああ、うん。悪い』

「……申し訳ありません、王子」


 話が始まらないよ!!

 一応、無駄に突っつきあってる自覚はあるようで、怒ったらすぐ止まった。

 でも、たぶん今後もこんなんなんだろうなあ。困った人達。


『センセ。オハナシ、スル』

『ああ、正式に俺達と……国と、になるんだが。手を結ぶって事で、いいのか?』

『ウン!』

『リーダーの許可、貰えたんだな?』

『ウン! ボク、リーダー!』

『……は?』

『モラッタ! リーダー、ボク!!』

『……本当に?』

『ソウダ』


 アーラに確認取られちゃった。ま、仕方ないか。明らかに子供だもんね。

 信じられないとばかりに尋ねる先生に、アーラがしっかりと頷くと、再び口元に手を立てて考え込んだ。


『……普通は無いよな。てことは、本当にお前、オスのハーピィなのか』

『ウン!』

『そうか、そりゃあ、大変に困る……』

「ぴぃ?」

『ああ、気にするな。困るのは俺じゃない。国のクソ野郎どもだ』


 にぃぃ、と物凄く悪い笑顔を、ティリノ先生は浮かべた。

 わーい、先生本気で国が嫌いなんだねー?

 元々好きではなかった、が、今回の件で嫌いに変わった感じかなー?

 僕らにとっては都合が良いので、何も突っ込まないけど。


『伝承が本当だって言うなら、オスのお前が子供の身でメス達を従えて、人間と長期にまたがる交渉をしようなんて、そういうのも不思議じゃないって思う』

『ボク、スゴイ?』

『ああ、俺はお前がオスだって信じるし、それが良い交渉材料にもなる。単なるメスハーピィだけの群れなら、あいつらは上手く騙して二束三文の対価で森の開発に乗り出しただろうよ』

『ナンダト?!』

『人の話聞け。シスがいるなら、話は別だって言ってるんだよ、黙ってろ赤毛』

「アーラ、ちょっとしずかにしてて」

「お、王子まで……」


 プライドと保護意識が強いのは解ってるし、そこも好きだけど、話が進まないからちょっと黙ってて。

 他のハーピィは人間語での会話が出来ないので、大人しく様子を見てるだけなんだけどね。

 先生と僕の2人がかりで静かにしろと言われ、ショックがってるアーラを、悪いけどちょっとほっておく。

 肩を落としたところをシャンテがそっと近寄ったから、たぶん大丈夫。


『森の覇者、オスのハーピィの伝承ってのは結構有名だ。勿論、かつてこの森がその王国だったから残ってる話なんだろうけど』

「ぴぃ?」

『あれ、知らないのか? てっきり直系の子孫だと思ったが』

『マエ、リーダー、トオク、カラ。ココ、キタ』

『へえ…。まあ、いっときは全ハーピィが支配下だったらしいし、子孫がどこの群れにいても不思議じゃあないか』


 へえー、ここが昔の僕らの楽園だったんだ。

 じゃあ、ハーピィだけが満足にここで暮らせるのは、その時代の名残だったりするのかしら?

 どこかに迷いの魔法の起点があるのか、それとも森自体がそう作られているのか……ちょっと気になる。確かめようがないし、知らない方がいい気もするけど。


『でな、これから色々な話をするが。その前に……俺が友達と、仲間とここに来たっていうのは、言ったよな?』

『ウン』

『俺が連れてこられたのが一昨日の夜なら、まだ探してくれてると思う。そいつらを、ここまで連れてこさせてくれるか?』

『ヒツヨウ?』

『お前らへのお土産とか、地図とか荷物を置いてきてるし、あいつら自身も今回の交渉と、国に帰った時の資料作成に必要なんだ』


 ふうん?

 荷物が置き去りなのが困るのは解るけど、先生以外に必要な人材ってなんなんだろう。残り三人は、普通の護衛か何かだと思ってたよ。


「アーラ」

「ここに直接連れてくるのは、おやめ下さい。王子の決めた事とはいえ、ここは我らの大切な住処。万一焼かれでもしたら…」

「そうだね、ぼくらのあんぜんはだいじ。ちょっとはなれたトコで、おはなしすることにしよう」


 先生がそんな事を今更するとは思いたくないけど、万一その三人に悪い事を考えている人がいないとも限らない。

 長老木がなくなったら困る。ハーピィ全員の巣が作れるような大きな木はここだけだし。散らばればいいのかもだけど、そもそも頂上にいるババ様はもう飛べないんだから。逃げられずに……なんてなったら、僕がどんなに言っても、もう人間達との交渉とか、無理だろうから。

 自分達の防衛は、おろそかにしちゃいけない。


『センセ。バショ、カエル』

『ここじゃダメなのか?』

『ココ、ボクラ、ダイジ。ニンゲン、イッパイ、コマル』

『……ああ、そうだな。まだ明確に同盟締結した訳じゃないし、自分達の喉元に知らないヤツを呼び込むのは問題か』


 察してくれたみたいだ。さすが先生。

 ここが僕らの巣である事は一日見ていれば解るだろうし、自分がここに連れてこられたのは、それこそ帰す気が無かったからだろうと理解している。

 誰だって、自分達のプライベート空間に、不必要に他人を呼び込みたくはない。ましてや、敵かもしれない相手なんて、お断りってこと。


『で、どこへ行けば良い?』

『コイ』

『ああ、って、うおあ?!』


 ばさ、とアーラが翼を広げた。

 そのまま飛び上がると、先生の両腕をがしりと足で掴んで、空へ舞い上がる。

 なんて手っ取り早い。


『いや歩くわ?! 迷いの森なんだから、小一時間も歩けば俺には方向なんて解らな、ひいぃぃぃぃ高えええぇぇぇぇ?!!』

『ウルサイ。アルク、オソイ。トブ、ハヤイ』

『センセ、ガンバレ!』

『シスまで容赦ないな?!』


 容赦ないよ。だって、絶対この方が早いもん。

 大丈夫だよ、アーラの足の力は強いから、落とさないよー。落そうと思わない限りは。そして、今は思っててもやらないと信じてる。

 前回は意識が無かったので、先生にとってはこれが初めてのハーピィフライト。

 思わず悲鳴も上がるでしょう。わかります、僕も最初のフライトは、本当に怖かったからね!







 結局、長老木から歩いて1時間ほど離れた所にある小さな広場に、先生を降ろす事となった。

 木が少し途切れてるからここからでも長老木は見えるんだけど、歩いて近寄ろうとしても、人間には無理だと思う。

 だいたい、これくらいが安全距離ってことで、いいのかな。

 で、先生の仲間の三人だけど、どうやらはぐれた時に生存確認と方向確認が出来るようにと、決まった時間に木に登って合図を上げる、という方法をとる約束になっているそう。

 まあ、先生は木に登れないそうなので、アーラとシャンテが木の上に座って確認して貰う事にしたけど。


『センセ! ソレ、ナニ?』

『これか? これは、時間を示してくれる魔道具だよ。時計って言うんだ』

『トケイ!』

『まあ、これは小さいから、15分刻みでしか解らないけど。王都にあるでかいのだと、1秒単位で正確な時間が解るんだぞ』

「ぴぃ!」

『……ま、森じゃあ1秒単位の正確な時間が解ったところで、特に関係ないだろうけどな』


 それもそーだね。

 割とゆるゆるとしたスローライフ的なとこあるからね。これが僕らの天敵とかがいたら、もっと緊張感あるんだろうけど。

 しばらく時計を見ていた先生は、少しして広場の中心、空がよく見える場所で右手を上にあげる。


『ちょっと危ないから離れててくれ』


 注意されたので、数歩先生から離れる。

 上で見ているアーラ達にも、危ないから今飛ばないようにね、と声をかけてから先生は真上に一直線に雷……火花? の魔法を放った。

 わー、綺麗! 花火みたい!!

 すっかり明るいのに、オレンジ色の火花はしっかり目立つ色で、離れた所からでも確認できたと思う。

 気付いてくれたかな、先生のお友だち?


「王子! あちらの方で、青い雷が上がっていました!」

『センセ、アッチ、アオイ、カミナリ、アッタ』

『それだ。悪いが、連れてきて貰えるか?』

「アーラ、シャンテ、あと……クラベル。センセのなかまがそこに三人いるハズだから、つれてきて。ケンカしないようにね!」

「はい、王子!」

「かしこまりました!」

「少々お待ち下さいませ、王子!」


 アーラとシャンテの他、もう一人の青髪のハーピィに、お使いをおねがいする。

 いきなりハーピィが来て、着いてこいと言ったら驚くと思うけど、先生がとりあえず無事であろう事は確認してくれたと思うし……

 アーラも先生の名前は知ってる筈で、そこへ連れてくといったら、運ばれてくれる、…かな、……よね?

 一緒に行けば良かったかなと少し心配になった。

 僕らが先生を連れてそっちに行けばよかったかもだけど、木が密集する森のど真ん中で、交渉会議するのもなあ……

 ここ、珍しく日当たりよくて、地面でも居やすいし。


 ……暫く待ったら、無事に三羽は三人の人間さんをぶらさげて帰ってきた。

 双方に怪我がない事を見て、ちょっとホっとする。

 良かった、喧嘩っぱやい人達じゃなくて。ハーピィが怪我するのも心配だけど、それでキレたアーラが三人を恐慌で散らしてしまわないかとドキドキした。

 そんな事になったら、先生もキレるし、もう一度探すのも手間だよ。


『ティリノ君、無事で良かった……!』

『ティリノー! 良かった、もう食べられちゃったかと思った!』

『ホントだよ、心配させないでくれ、…いや、呪歌で眠らされた俺達のせいだよな。護衛役で来たのに、悪かった』


 地面に降ろされると、三人ともすぐさま先生に駆け寄って、口々に無事を喜び、誘拐を止められなかった事を謝罪する。

 あ、良い人たちっぽい。

 服装から察するに、お国がつけた護衛とかじゃなくて、普通に冒険者さんなのかな?

 王子様に対するにはだいぶ気安い感じだし、ほんとにお友だちなんだね。国からの護衛の立場とかがあるなら、もうちょっと自重があると思う。


『センセ、シンパイ。ゴメン、ネ』


 てとてと近寄って、かくりと首を傾げる。

 昨日一日、ティリノ先生が居ないと気付いてから、彼らは気が気じゃなかったんだろう。唯一の女性である桃色の髪の女の子は、目に涙さえ浮かべて居る。

 僕らにとっては渡りに船とは言え、気を病ませたのは申し訳ない。

 ハーピィの代表として謝罪したら、三人はこちらを見て……

 僕が小さなハーピィだという事に驚いたのか、男性2人は目を見開いて。

 そして何故か、女性はびしっと石化したように、体の動きを止めた。


『え、こんな小さな子が、もう人の言葉を話せるのかい?』

『いや待てセロ、それどころじゃ……!!』

『……あ! しまった、シスちょっと離れろ!!』

「ぴ?」


 金属製の鎧を纏った男の人は、単純に僕が喋る事に驚き、革製の肩当と胸当て程度の軽装の男性は、何故かどこか慌てた声を上げ。

 そして、ティリノ先生もそれに今気づいたとばかりに、離れる事を指示した。

 何事なのか理解出来なくて、もう一度首を傾げると。

 バっ!! と何かが真正面から僕に飛びついてきていて、一瞬で視界が真っ暗になった。







 次回、肩透かし()


 ちょっと読みづらいかもしれませんが、普通の「」がハーピィ語、『』が人間語となっております。

 もう少しシスが人間語を喋れるようになったら、「」を人間語、『』をハーピィ語に統一したいなーと思う次第です。




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