猫と妹と夕飯
「お久しぶりですネコ様」
フーはお辞儀してから親愛のハグをしてくる、このフーのハグはネコの毛並みを触る為にやっているので引き剥がす、名残惜しそうに「あん」と声を上げる、やめくれ変な誤解されるから、と言うか既にユーリとノーが何故か睨んでくるし。
「は、配膳するから座ってて」
ユーリとノーから逃げるように調理場に行こうとしたが・・・
「ネコ様、私目が致しますのでお座りになってお待ちください」
「え、いや、ほら、ここはオレの部屋だからさ、それにフー何処に何が有るか分からないだろ!」
とりあえずはなんと言われても撤退して間を開けなければ。
「大丈夫です、アナグラム家に仕える者達が引っ越しの際にユーリ様の部屋と同じ物の置き方してありますので」
おおい~、ちょっと優秀過ぎるぞ召使いさん達、少しは手を抜いてもオレは怒らないから、って、あれれ、ユーリさんそんな笑顔でオレの肩に手を置いてどうしたんですか!?
あ、痛い、ゆ、指が肩にめり込んで来てます。
「ネコにー様、配膳はフーに任せて座りましょう」
ユーリに引っ張られて六人用テーブルの椅子に座らせられる、オレを座られると右側にユーリが左側にノーが座り、ノーの奥にヤーが座ったらフーが食器や料理を手際よくテーブルに並べユーリの隣に座る。
「じゃ、頂こうか」
各々食事を始める、やはりノーの食欲旺盛でびっくりだ、ユーリは親の教育の賜物なのかテーブルマナーは完璧だったはずなのだが、オレに向けてフォークを差しだしているのはどうしてだ?
「ネコにー様、あーん」
やっぱりこれか、六歳のユーリは気にしないと思うが、こっちとら前世合わせるとたぶん成人越えているんだが、そんな免疫が無いオレにはハードルが高すぎるので目線でフーに助けを求めるとフーは頷いた。
「お待ちくださいユーリ様」
フーがユーリを止めてくれて助かったと思ったのもつかの間、何故かフーがフォークを差しだしてきた。
「ネコ様は私から食べさせて欲しいとの事」
いや、違うし、全然伝わってないね、ユーリとフーはどちらが食べさせるか言い合っている、それを見てヤーは苦笑しているし、ノーは食べながら此方を睨んでいるし、ゆっくり飯ぐらい食わせてくれ。
そんなこんなで登校初日の夜が更けていくのであった。




