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吾輩は猫では無い  作者: 六月
12/15

猫は学園の友と邂逅する

 アナグラム領から王都まで何事も無く無事到着、母様と別れて学園の敷地までたどり着いた、別れる際に離れたくないと駄々を捏ねる母様をメイド達に預けるまで随分時間が掛かった。


「にー様、ここはひろーいです」


 ユーリは学園の広さや建造物に驚いていて何度か転びそうところを助けていた、俺とユーリの後ろを静かに歩く人が一人はメイドのフーで、ユーリの世話役と母様の連絡係等をするため一緒に学園まで来ている、俺にはお世話するメイド達は付かない、親が俺を冷遇している訳では無くこの六年で自分事は自分で出来る様になっている、少々面倒くさいが折角の学園での生活を俺は自由な時間を確保したいために一人で生活することを選んだ。


「フー、俺とユーリの寄宿舎の場所は何処だ?」


「ネコ様、先ほど荷物を搬入した者達から話を聞きましたら、ユーリ様は女子の123番で、ネコ様は男子の311番と鍵をお預かりしています」


 部屋の番号を聞いたユーリは振り返って世界が終わるよう顔をしていた。


「ネコにー様と同じ部屋じゃないの!?」


 ユーリには部屋の事を今の今まで黙っていた、聞いたら絶対に駄々捏ねるのは火を見るよりも明らかためこのままフーにユーリを連行してもらう力技出ることにした。


「それじゃフー、ユーリの事よろしくね、ユーリ、大人しく過ごせよ」


「畏まりましたネコ様、健康にお気をつけてお過ごしください、何かございましたらお呼びくださいませ」


「今日は身の周りを整理させてくれよフー」


「了解しました、ネコ様失礼します」


 騒ぎ暴れるユーリを肩に担いで行く、メイドとしてどうかなと思ったがユーリを宥める手間を考えるとフーに任せよう。


 俺は軽やかな足取りで自分の部屋の前に立った、フーから受け取った鍵で扉を開けると3DKの間取りでなかなか広いと思うが、これが前世十万前後物件だとなかなか良さげだがここの学園に入学する貴族様にしてみれば狭いと認識させるだろう、まあユーリに関しては大丈夫だろうアナグラム家では質実剛健をモットーに生活しているので必要以上の贅沢はしない事になれているから、ユーリと俺の寝室同じだったからむしろ広くなっているな、部屋に運び込まれた荷物を確認して荷物の一つを取り出す。


 探していた荷物はジュエルケースだ、ケースを開けると中に入っている物を見る、中にはイヤリングが片側だけ入っている、俺はイヤリングを取り出して耳に付けると玄関の扉がノックされた、玄関を開けると誰もいない扉を閉めるとまたノックされたので扉を開けるがやはり誰もいないので閉めようと声がした。


「すいません、下でこっちです」


 俺は目線を下げると足下に小人が立っていた、俺と目が合った小人はお辞儀をして自己紹介を始めた。


「小人族のヤー・ノーです312の部屋を使っていますよろしくお願いします」


「俺はネコ・アナグラム、見ての通り猫獣人だよろしく」


 小人ヤーを見ると三四歳ぐらいに見える幼い顔で大体この位成長したら死ぬまでこんな感じだから年齢確認してみるかと考えているとヤーは驚いた顔をしている。


「アナグラム家ですか!?、王国で有数ある中でここ数年で上位まで上り詰めているとお話を聞いています」


「ああ、そうらしね、俺は養子だからあんま関係ないし、それよりもヤーは今年で何才だ?」


「あ、すいません」


「いや、養子の事は気にしていないからさ」


「あ、ありがとうございます、年齢ですか僕は八才になります、小人族は年齢より身長で入学遅れてしまって、それで僕も妹がいるだけど妹も今年入学なんですよ」


「年上だったですか、俺も妹と一緒に入学なんでよろしくお願いします」


「敬語はいいよ、同級生なんだし君は領主の息子だろ、僕の方が敬語で喋らなければいけないです」


「いや、俺はさ、そこんところあんま気にしないからさ普通にしゃべってくれよ」


「助かるよ、小人族はあまりしゃべり方は気にしない種族だからさだから、じゃあ僕もネコって呼ばせてよ」


 差し出された手を握手で答える握手しても違和感が無いのは耳に付けたイヤリングの力である、変化イヤリングと呼ばれていて着用者の任意部位を変化すること出来る物で本来は耳や瞳の色等を変える変装用の道具であるが、俺は元は人間なので手の形は今の方が使いやすいので違和感は無いのである、と脳内説明をしているとヤーの腹の虫が鳴る、ヤーを見ると頭をかいて照れている。


「強行軍で今し方到着してさ荷解きも程々でさ、ねえネコ君、この辺りで食事出来るところを知っていないかい?」


「すまん、俺も今日到着してこの辺は地理に詳しくないだ・・・良ければさ、今から飯作るけど一緒に食うか?」


「いいのかい?」


「構わねえよ、一人分も二人分も変わらないからさ」


「ありがとう、何か手伝える事があれば言ってよ」


「いいよ、いいよ、飯が出来るまで部屋の片付けしていてくれよ、出来たら呼ぶからさ」


「それじゃ悪いよ、何か無いか」


「気にすんなって、だったら今度なんか奢ってくれよ」


「・・・分かったよ、今度お礼をさせてもらうね」


「ああ、じゃ出来たら呼ぶよ」


「よろしくね」


 ヤーと別れて部屋の台所を漁ると一週間分の食料が備蓄されていた、適当に食材を取り出して調理に掛かった。


 しばらくして料理が出来たのでノーの部屋を叩くと、部屋からノーが出て来ると飯が出来たことを伝えてるとノーの後ろにもう一人いることに気が付いた。


 ヤーの後ろにいる人物を見るとヤーと同じぐらいの背丈で目がクリッとして可愛い女の子だった。


「ネコ、僕の妹でノー・ノー、さあ、ノー挨拶して」


 ひょこっとヤーの陰から顔を出したが俺と目が合うとびっくとヤーの後ろに隠れてしまった。


「ごめんネコ、ノーは人見知りが激しくてさ慣れてきたら話か出来るから、でさネコ悪いんだけど僕の分を半分ノーに食べさせてくれないかな、ノーはお腹がすいて僕の部屋に来ちゃったんだ」


「大丈夫だ、ヤーがどれだけ食べるか分からないから結構多めに作ったから問題無いよ、さあ行こう」


「重ね重ねありがとう」


 一緒に俺の部屋に入るとヤーとノーは驚いていた。


「いい匂いだね、でも領主の息子が料理できる事が驚きだよ」


「よく屋敷から抜けでして冒険者達から料理を習ったんだ、簡単に作れて量が出来るからよく作るよ、冷める前に食おうぜ」


「そうだね」


 ヤーとノーを椅子にするのを手伝ってやる、ヤーは問題なかったがノーはびっくと身体を震わせたが食卓に並んだ料理を見ると笑顔になった。


 三人分の取り皿を準備して食事を始めるとヤーは並んだ料理を一通り食すとご馳走様をしたがノーは俺と同じぐらい?食べたと並んでいた料理が空になった、この小さい身体の何処にあれだけの量が入るんだ!?としげしげとノーを見てしまった。


「ご・・ごちそうさまです」


 ノーは赤い顔をしながら声を出した、一瞬驚いたがなかなか良い声だったなと思いながらノーに笑顔を向けて。


「おう」


 それから食後のお茶を飲んでからヤーはノーを女子寮に送るとお礼を言って帰って行く、俺は後片付けをしてから風呂に入って寝る、明日は入学式だったなと思いながら疲れた身体を布団預けて瞼を閉じる。






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