猫は学校に行く
ユーリが六歳の年になった、俺はギルドに行ったりしてランク上げや人間になる方法を模索したり訓練などをして過ごしていた。
家を歩いていると居間の方からユーリの叫び声が聞こえてきた、居間の中か聞こえてくる声は親父と母様とユーリの様だがなにやらユーリは興奮した状態の様だった、何事かと居間に入ると三人は部屋に入って来た俺を見る・・・なんか嫌な予感がする。
「猫にー様、学校に行きましょう」
唐突にユーリは言ってくる、学校?・・・ああ、ユーリは今年から学校に入学が決まっているが何故そこに俺が学校に行くことになる?
俺は居間の扉を閉めて四足歩行から二足歩行になって、ユーリの側の椅子に掛けて親父の方を見る、俺が親父に秘密にしていた事がばれたのは親父はユーリと遊んでいる時にサプライズ的に帰って来た時にしゃべっている所を見られた、その際壮絶な追いかけっこをさせられてたのでこの屋敷にいるメイドや執事などは俺の秘密を知ったが、親父に説明をして箝口令だした、まあその際に秘密を言いふらしたら家を出て行くと言ったらアナグラム家に携わる全員で引き留められた時は引いたが、おかげで屋敷の中では気楽に過ごせるようになったので良かったと思っている。
「ネコよ聞いてくれ、ユーリはお前と一緒で無ければ学校に行きたくないと言い出したので今説得していたのだ」
確かユーリが通う学校はアナグラム領から三日ほど離れた王都に有る王宮聖栄学園でこの国でエリートを育成するのを目的に設立された学園だったはずだ、この国で従事するのならば誰しもが入学を希望するが俺個人的にはのんびり生きたいでそんな学園に興味は無いし学園に入学せずとも俺の今の学力は転生前の知識とこの六年でこの世界の知識を手に入れているので今更であるから一緒に行くことは論外である、そんな学園にユーリが入学する事は予定調和なのだがユーリが拒否するのはこの学園は入学者の全員は寄宿舎住まいする事を義務づけられていて夏と冬の帰省帰還を除いて卒業まで十年間家から遠ざかるのであるからだろう。
「ユーリ、六歳にもなって兄離れしたらどうだ?、そもそも今更俺が入学出来ないだろう」
そうユーリが入学するまで後二週間をきっているのだ。
ユーリは親父を上目遣いで見つめる。
「・・・父様、にー様を入学する事出来ないですか?」
ユーリの上目遣いを受けた親父は身震いしてからとんでもない事を言い出した。
「パパに任せろなさいユーリの為にネコの入学を勝ち取ってくる」
そんなことを口走って屋敷から飛び出していった、居間に残された俺達は兎に角ユーリを説得する事にした。
「ともかくユーリ、入学しても俺がいない事が多いだから俺がいなくてもいいだろ?」
「そうよユーリ、二人共この家からいなくお母さん寂しくて死んじゃう」
母様、論点がずれているよ。
「母様には父様がいるです、ユーリにはにー様必要です、もしもにー様が入学出来ないならユーリも行きません」
丁度いい落としどころを見つけないと何時まで立っても平行線だな。
「分かったユーリ、親父が俺の入学させることが出来たら一緒に行ってやる、出来なければ一人で入学しろよ」
「・・・分かりましたにー様、ユーリは父様を信じるです」
「母様もそれでいいですか?」
「ええ、分かりました、全てはあの人次第ですね」
それから三日が過ぎて親父は早馬車での強行軍で家に帰って来たて居間に飛び込んで来た。
「ユーリ、パパはやったよ、ネコの入学をねじ込んできたよ」
マジか親父、強権を発動させやがったな、王国に置いてアナグラム家の発言権は上位属しているので学園側に無理を通しやがった。
「ネコにー様やりました、これで一緒です」
「あなた、ネコまで家から出て行くなら私も王都に行きます」
「え・・・なら自分も」
「だめです、貴方は領主なのですから必要以上に領から出てはいけません」
その言葉を聞いた親父は膝から崩れ落ちる、俺は肩を叩いて慰めてやる、顔を上げて俺に飛びついてくるがそれは避ける、そもそもにして親父が悪いのでこれ以上は慰めてはやらない。
それから慌ただしく入学に間に合うように準備と王都にアナグラム家が有する家に持って行く諸々を用意する母様、ギルドに王都に活動を移す手続きや挨拶回りなどをして過ごすとあっという間に王都に行く日になった。
「嗚呼、パパは心配だよ、今からでもパパも行こうか?」
「貴方、往生際が悪いですよ、休みになったら帰って来ますからそれまで待っていてください、皆留守の間この人の事を宜しくね」
「畏まりました奥様、万事滞りなく行います、奥様、ユーリ様、ネコ様お身体を大事にお過ごしくださいませ」
執事長が代表で挨拶を済ませ馬車が走り出た、ここから三日掛けて王都を目指して到着後は母様は王都内の家に従者達を連れて行き俺とユーリはそのまま入学する手はずになっている。




