表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
片翼の堕天使  作者: ハオ
8/12

第8話「量産型天使兵」

戦場に投入された新戦力は、静かだった。


白い装甲。


無駄のない動き。


それは一見すると、かつての“彼女”と同じ存在に見えた。



だが主人公は、すぐに気づく。


違う。


これは彼女ではない。



動きは完璧だ。

判断も、射線制御も、戦術処理も正確。


だがそこに“揺らぎ”がない。


いや、正確にはこうだ。



「揺らぎを削除された存在」



無線が流れる。


「量産型天使兵、展開完了」



主人公は息を呑む。


(量産……?)



戦場が動き出す。


だがその動きには、圧がない。


敵を圧倒しているのではない。


ただ“処理している”だけだ。



敵軍は一瞬で異常に気づく。


しかしその反応は早すぎる。



「……違う」


敵司令部の通信が途切れかける。


「これは“彼女”ではない」



その判断は正しい。


そして、致命的に遅い。



戦場の空気が変わる。



敵側に“本物”がいる。



それはまだ出ていない。


だが誰もが理解している。



この戦場には、まだ終わっていない“中心”がある。



量産型は崩しきれない。


戦況は均衡する。


いや、正確には——


押され始める。



主人公は後方でそれを見ていた。


(負けてる……?)



そう。


初めて、この戦場で“敗北”が発生している。



敵は学習していた。


量産型の限界を。


天使演算体エンジェル・ユニットという“現象”の不完全な再現を。



そしてその先にいる。



“本物を超える何か”を。



通信が乱れる。


「前線崩壊!押し返されている!」


「再編間に合わない!」



量産型が倒されていく。


静かに。


確実に。



主人公の胸が締め付けられる。


理由は分からない。


だが理解できてしまう。



(これが……“違う彼女”の死か?)



違うはずなのに。


同じ形をしているだけなのに。



痛みだけは本物だった。



戦場は崩れ始める。


軍は劣勢に回る。



そしてその瞬間。


主人公は理解する。



この戦争はもう“勝てる構造”ではない。



彼女がいた頃だけが、

唯一の均衡だった。



今は違う。


敵の方が、強い。



だからこそ——



彼女の“本体”が必要になる。



だがそれは、もう存在しない。



あるいは、まだ存在しているのかもしれない。



戦場は崩壊へ向かう。


そして主人公は気づく。



(俺は……ここで初めて“使う側”になる)



その瞬間から、

記憶はさらに削れ始める。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ