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第4章 愛と選択

私が次元の裂け目に足を踏み入れた瞬間、アルトの「必ず迎えに行く」という言葉が耳の奥に残った。目を閉じたまま、一歩、また一歩と進む。背後に広がる世界が遠ざかり、前方には未知の景色が広がっているように感じた。


目を開けたとき、私の周囲は白い光に包まれていた。ここは「調和の空間」と呼ばれる場所。破壊者である私が安定するための唯一の安全な場所だった。しかし、それは同時に孤独の象徴でもあった。



---


1. 別世界の日々


白い光に満たされた世界で、私は自分の力を制御するための修行を続けた。時間の感覚は希薄で、日が昇り沈むこともないこの場所では、ただひたすら自分と向き合うしかない。


「アルト、ルナ……」


二人のことを思い出すたび、胸が締め付けられるようだった。特にルナの温もりが恋しかった。彼女の柔らかな毛並みと、無言の励ましがどれほど私を支えてくれていたか、今になって思い知る。


しかし、この世界ではルナもアルトもいない。ただ静寂だけが存在する。



---


2. ルナとアルトの旅


一方、アルトはルナと共に旅を続けていた。彼の目的は一つ——別世界へ通じる道を探し、私を迎えに行くこと。


「ルナ、きっと彼女は寂しがってるよね」


ルナはアルトの言葉に応えるように、低く喉を鳴らした。二人は険しい山を越え、古代の遺跡を巡り、次元の裂け目に繋がる鍵を探し続けた。


彼らの旅は決して容易ではなかった。アルトが調律者としての力を使い、裂け目を開く方法を見つけるには多くの試練が伴った。ルナもその小さな体でアルトを支え続けた。



---


3. 再会


長い時が経った。私にとっては無限のように感じられる孤独の中、突然、光の中に一筋の影が現れた。


「……アルト?」


私は信じられない思いでその影を見つめた。影はやがて鮮明になり、アルトが私に向かって微笑んでいるのが見えた。そしてその足元には、懐かしいルナの姿があった。


「迎えに来たよ。約束通りね」


アルトの声は変わらず明るかった。私は言葉を失い、ただ彼とルナを見つめていた。ルナは真っ先に私の足元に駆け寄り、私の膝に飛び乗った。


「ルナ……」


ルナの柔らかな体の感触が、涙となって溢れた私の感情をそっと包み込む。


「アルト……どうやってここに?」

「君を迎えに来るために、全力を尽くしたんだ。僕たちで一緒に、君の力を本当に活かせる世界を探そう」



---


4. 新たな旅路


私はアルトとルナに導かれ、再び別世界へと旅立つ決意をした。この世界では破壊者としてしか存在できなかった私だが、別の世界では違う可能性があるかもしれない。


「私、本当にやり直せるかな?」

「もちろん。僕とルナがいる。君がどんな選択をしても、必ず支えるよ」


アルトの言葉に勇気をもらい、私は次元の裂け目を進んだ。その先には未知の世界が広がっていたが、私はもう孤独ではなかった。


ルナの優しい眼差しと、アルトの力強い決意が私の未来を照らしてくれていた。



---


物語はここで幕を閉じるが、彼らの旅はまだ続いていく。破壊者と調律者、そしてその間を繋ぐ小さな猫。三者の絆が、どんな未来を切り開くのかは誰にもわからない。ただ、彼らが共に歩む限り、その旅路は希望に満ちているだろう。

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