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第3話 覚えること多すぎる

神聖力の使い方、についてはもう本人がなんとなく感覚を掴むしかないらしい。

俺は女神の生まれ変わりだが女神だったのはもう何百回も生まれ変わる前だという。

神聖力を使えるのは女神の生まれ変わりのみなので俺は前前前世くらいの自分の書いた引き継ぎノートを読んで学ばないといけない。

ちなみに言葉も妙に通じるなとは思ったけど日本語に聞こえるし日本語に見える。ある意味チートみたいな感じなんだろうか?転移特典?

とりあえず暇だからとベッドに寝転がりながらノートを読みつつ足をプラプラさせているが、内容が頭に入ってこない。


「あの女の子、死んじゃったのかな……」


この世界に来る前、俺が川に落ちた原因。

俺が助けようとした女の子…。あの子が一体どうなったのかは本当に気になっている。

自殺することが目的だったとはいえ、助けてあげたかった。俺のエゴだけども。

どうにか調べる方法はないかとアッチの状況を知れないか聞いたところ、やっぱり無理らしい。

でも魔王軍には時空渡りができる魔族がいるとかなんとか、ワンチャンソイツ誘拐して聞いてみます?とか言われてやべえと思って止めた。


ちなみに神話についてもまず必要だと教わった。

俺の前前(ry世は世界を統治する光と人間の女神セラフィムで双子の妹冥府と闇の神ケルビムと一緒にこの世界を守っていた。

魔王という存在は人間の負の感情が凝縮された存在らしく、何百年に一度ランダムで生まれるらしい。

今回はたまたま悪魔族の王だったが、人間の王が魔王になった例もあるとか。

それも必ず王族が魔王になる。だから魔王なんだとか。王族は魔力が強いから厄介だ。

だから予め予測したり、本人の希望で被害を出さずすぐに浄化ころせたできた例もあるとか。

この世界では魔族だからどうとかはないらしい。

元々のシステムみたいなのにバグができたせいで魔王が生まれるようになったらしく、それの対応に神子が生まれるようになったとか。

それからは居なくなったセラフィムのぶん、ケルビムが世界を管理している。

この世界の神様は神子の前前前世セラフィムも含めて六柱いる。

セラフィム、ケルビムに加え二人が世界を形作る際に生み出した二対の四柱の神…。

大地と炎の神、オファニムと水と精霊の神、ドミニオン。

動植物の神、エクスシアイと魔物と魔族の神、デュナミス。

まあつまり、双子の神様が三組ってことらしい。

それで双子の子供は神聖とされたりもする。


魔物や魔族は悪いやつだから倒せ!ではなく、魔王の瘴気に充てられたり(主に魔物)、人間が嫌いだから魔王に賛同したり、魔王自ら人間を殺すためだけの生物兵器を生み出したりと倒す対象は様々で良識ある魔族は今の魔王の国からは魔王が封印から蘇った時点で魔王の弟の計らいで退避が住んでいるらしい。

だから魔族なら倒すって訳でも無いと。


ちなみに魔王が人間を強く嫌うのは人間の負の感情を持つ…まあつまりは人間に酷いことされた人間の怨念みたいなのを持っているから、らしい。

因みに犯罪者の汚れた魂も魔王に還元される。

つまり魔族の人たちからしたらとばっちりみたいな話だ。だから人間が滅べば魔王は今後生まれないって極論振り翳す人もいるらしい。その過激派が魔王軍だ。


そして、いまの魔王が封印されていたのは魔王が生まれた時に何故か神子が生まれず、勇者だけで対応したから。

魔王もその時はわりかし正気で封印を受け入れたけど封印から蘇った魔王は完全に正気を失い暴虐の限りを尽くしている。

魔王は神子にしかとどめを刺せないので周りも従うか逃げるしかないらしく、魔王に賛同する過激派か逃げられない魔族が主に国に残って国自体が混沌としている。

魔王の瘴気に当てられ凶暴化した魔物が国から溢れて襲ってくるのを食い止めたり、戦争になりかねない状況を魔王の弟である宰相とギリギリのところで食い止めているのが現状らしい。


「そりゃ歓迎もされるよなぁ…」


この状況をなんとかできるのが俺一人ってんだから驚きだ。

魔王さえなんとかなれば魔物の凶暴化は止まるし、過激派も宰相が抑えてくれる(今は魔王に従うフリして穏便になるよう仕向けるしか出来ない)。

魔王の力は強大らしく、魔族の中で逆える者はいないとかで、向こうも良識ある魔族は困っている。


現在被害としては近くの小国が一つ潰されてしまったり、各地でいくつか教会や村が滅んだとか…。

特に酷いのは魔王の1番目の息子で魔王が蘇るや否や威光を笠に着るがごとく好き放題している。

ぼんくら息子ってどこにでもいるんだな。

いや、魔族は性別がないらしいので、はっきり息子とは言えないけど。

魔王には他にも息子はいるらしいがその辺詳細はわからない。


とりあえず時間は稼げてはいるのでしっかり神聖力の扱い方を学んで下さいとのこと。

俺が死んだら世界が滅ぶくらいまずいので被害が広がるのを承知で慎重にことを進めたいらしい。


まずは世界に慣れる…それから体力を戻さないと。


「神子様」


「ほぎゃぁ!?」


突然声が聞こえて驚いて本を放り出して叫んだ。

十センチくらい飛び跳ねた気がする。跳ねてないけど。

声の主……、シエラはとくに俺の奇行を気にする様子はない。

吹き飛んだ本を彼女はノールックでキャッチした。


「御昼食をお持ち致しました」


確かにシエラが持ってきたお盆にはサンドイッチが乗っかっている。しばらくは部屋で食べていいってリディア皇女も言ってたしな、助かる。

しかし全く足音がしなかった。気配も。これが元暗殺者なんだろうか。怖すぎる。


「御昼食は投げ飛ばさないで頂けると」


「え、あ、はい……」


ベッドに座ったまま、お盆を膝に乗せた。

俺がもぐもぐ食べている間にシエラは紅茶を淹れている。

穏やかな時間が流れる…と思ったらドアがバーンと勢いよく開いた。いやこれデジャヴ!?


「私の姫ちゃんどこかな!???」


「んぶぐっ…!?んぐっごくん…」


驚いて吹き出しそうになった俺はよく我慢したと思う。なんとか飲み込んで咳き込むとシエラが紅茶を手渡してくれた。

てか、姫ちゃん?リディア皇女探してる?


「レムール卿ですか、ノックをしてください。こちらは神子様の部屋ですよ」


「神子ちゃん?マジ?どこ?」


どこか軽いノリ。レムール卿と呼ばれた青年は長い金髪に碧眼のイケメンだった。

なんかチャラそうだし頭が残念そうだ。

関わりたくない。


「こちらの方です」


レムール卿が俺を見た。なんか緊張。

やっぱり初対面は苦手だ。どうもと会釈をしながら挨拶するも口篭ってしまった。

その間、彼はただじっと俺を見つめていた…。


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