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休日出勤
異魔との戦闘を終え、二人は正に般若のような形相で事務所の奥に構える、そして、所のボスというにはあまりに幼い少女の元へ向かっていった。
「朝からお仕事ご苦労さん。日曜日の朝からとは精が出るね」
「部長が朝から呼び出したんじゃないですか。これで四週連続休日出勤ですよ」
「私も悪いとは思っているんだ。でも、来週こそ休みを保証する。この<響縁寺清伊>の名にかけてな」
いつもの口癖をトリガーに、お互いの温度差はさらに開いていく。
見ると、今にも殴りかかりそうな勢いで怜がドクロを手にしている。
「その怒りの矛先は、例の<色欲>に向けて欲しいな」
その名前が出た途端に場が静まり返る。緊迫した空気に、怜は思わず気圧されてしまう。
「<色欲>…他の異魔とは一線を画す強さを持った強敵だ。お前達には、掴んだ足取りを追ってほしい」
「私達二人の力じゃ倒すのは難しいんじゃないですか?」
「すぐに戦えとは言わない。まずは敵の拠点の内部を調べることからだ」
「なら今すぐに向かいましょう。場所はどこですか?」
すると、物をねだる子供のような顔で清伊が言い放った。
「場所は…カジノだ」