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第二話 死相

 少し昔話をしよう。


 黒き鷹は俺とハンスで立ち上げたパーティーだ。

 俺たちは二人揃って戦争孤児。

 小さい頃、生まれた村は魔族に焼かれ、俺たち二人だけが隣村まで逃げ延びた。


 魔族が攻めてきたとき、俺たちは二人しか知らない秘密の遊び場で遊んでいた為に難を逃れた。


 隣村では村全体で育ててくれた。寝食はボロい教会だったが、村の皆が野菜や肉などを持ち寄って俺たちを食わせてくれた。

 言ってみれば、村人全員が親みたいなものだ。


 十五才になった時、俺たちは職分けの儀式に参加する。

 そこで判明したのが、

 俺は狂戦士。

 ハンスは支援術士。


 俺としては村で農家をやっていても良かった。今まで世話になっていた恩返しに農業を手伝っていたので勝手は知っている。

 だが、冒険者として大成すれば稼ぎは莫大である、とハンスが持ちかけたので一緒に冒険者となった。


「金を稼いで村に送金しよう」

 これが俺たち二人が冒険者になる動機だ。


 ――そういや、こんな一番最初の重要な事はハンスが決めたんだっけか。

 

 そこからは二人で頑張った。受ける依頼やどう戦うか、攻めるのか、退くのかは全部俺が決めた。

 何故なら、俺には死相が見えるからである。

 もって生まれたものなのか、狂戦士のスキルなのかは分からない。とりあえず、敵の顔を見ればすぐに分かるようになった。


 死相があるのか、無いのか。


 複数の敵を相手にする場合、死相が濃い敵から倒せばまず間違いなく勝てる。

 逆でいうと敵に死相が浮かんで無い場合は即撤退。

 

 俺は依頼を受ける前にこっそり下見して、達成出来る依頼かどうかを見極めていた。

 その甲斐あってか連戦連勝。二人の評判があがるにつれて、仲間も増えていった。


 僧侶のミミ、魔術師のカリア、盾役のガースン。

 これに狂戦士の俺、支援術士のハンスの五人で黒き鷹が揃った。


 黒き鷹結成後も俺たちの評判はうなぎ登り。

 ついには王家の目に留まり、王家御用達の特級冒険者へと駆けあがる。


 だが、そこで問題が生じる。

 

 特級冒険者は国家を揺るがすような強敵が現れた時、王家の指名で討伐に向かう。

 要するに依頼を選ぶことはおろか、拒否すら出来ないのだ。


 まみえる敵は強敵ばかり。

 次第に敵を見ても死相が浮かばなくなっていた。それでも、仲間に特殊なスキルでもあるのか、何らかの力の影響、もしくは互角の強さなら出ない等の条件があるのか、敵に死相が無くても何とか倒すことは出来ていた。


 しかし、俺の精神は削れていく。


 当たり前だ。今まで勝ちが確定している敵としか対峙してこなかった。チートスキルを使っていたようなものだ。


 そして、いつの日か衝撃の現象が起こる。


 仲間に死相が現れたのだ。

 ずっと敵にしか現れなかった死相が味方に浮かんだのだ。


 その時、俺はパーティーを崩壊させる事に決めた。

ここまでお読みいただきありがたやー。

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