それぞれの始まり
少し時間が空きましたが連載中です
久し振りに書いているので誤字脱字が多いのでちょくちょく修正しております。
では、本編です
現在と過去と未来の話に
「そういえばこの服は?僕の服は何処にありますか?」
「お?その服は騎士団の団員の予備で嬢ちゃんの服…というか霊装は濡れてしまったから干してあるぞ?いくら霊装とは言え濡れたままでは風邪を引いてしまうかもしれんしな?……大丈夫じゃ盗まれん様に監視は付けとるしいま行軍中の奴らに嬢ちゃんを害そうとするものはおらんよ!」
服は無事みたいだが、いま来ている服がひらひらしていて落ち着かない
取り敢えず、自分の視界に映る急に伸びた銀髪をかきあげ、ふと、疑問に思っていた事を口に出す
「ありがとうございます。…………何か落ち着かない………何か足りない様な?
長くなった髪以外にも違和感を感じて悩んでいるとグレンガルさんが何か勘違いしたのか、柔らかい表情でやんちゃ盛りの子供を見る様な目で僕を見ながら
「あー……緊急時とはいえ…歳頃の"女性"の裸体を見てしまった事は謝っとくぞ?治療は女性の団員達が行ったから儂以外の男達には見られてはおらんが……」
「……え?!?」
と、言ってきた
言葉の意味を理解するのに時間がかかり、まさか!と思いながら身体を両手で弄る
先ず胸、筋力はあまり無かったがこんなに盛り上がっているのはおかしいとは思っていた……右手が自分の胸に触れ、口から
「…ん!…」
と、自分とは思えない声が出た
続いて腰の下方へ眼を向けると今までは多少の膨らみが見えていた場所はぺたんとなっており、恐る恐る左手を近づける
「大丈夫じゃ!何もしとらん!それに嬢ちゃんはまだ"嬢ちゃん"のままだから大丈夫じゃ!」
グレンガルさんが僕の左手を慌てて掴むと意外と力が入っていたのか左手に痛みが走った
「痛っ!」
「すっ、すまん…嬢ちゃんが呆然としたかと思ったら急に自分の身体を弄るもんだから驚いてな?嬢ちゃんの状態はうちのヒーラーが確認しとるから気になる様なら呼んでくるぞ?」
その後はよく覚えていないけど……どうやらこの身体は男ではなく女の子?のようで身長も170サントから140サント位まで縮んだ様だし……
体重も70キリから40キリに減っている
何より"アレ"が無くなって……BWHという数値が追加されている……
「そんなに悲観しないで?貴女くらいの歳なら今からが成長記なんだからこれから"色々"大きくなるわよ!」
グレンガルさんが退出するのと入れ替えに入って来た女性は、ぼーっと説明を聞いていた僕を見て白衣整えながらグレー色のストレートヘアーをたなびかせそう励まされた
その女性に間違った方向に励まされ、小声で御礼を言うと女性は
「私は第2騎士団のヒーラー筆頭アリシアって言うの、えっと?名前は覚えてる?」
「あ?えーと…………アシュリーと申します。
申し訳ありませんが、先ほどの魔法の影響か記憶が曖昧なところが多くて……」
アリシアさんと言う名前だと言う、そういえば名乗っていない事を思い出した僕は咄嗟にアシュレイをもじってアシュリーと名乗った
「アシュリーちゃんね!覚えた!後1時間くらいで王都ラドクリフに着くし、着いたら起こしてあげるからまだ寝てなさい?」
僕はアリシアさんにそう促されて、ガタゴトと揺れ続ける荷馬車の中の簡易ベッドで横になり布団をかけられるといつの間にか寝てしまった
「副団長、あの娘アシュリーちゃんって言う名前だそうですよ…私たちが不甲斐ないばかりにあの子の記憶が…」
「む?名前は覚えとったか…あれだけの魔法使いじゃ…"教会"か"ギルド"に確認すれば分かりそうな気がするがのう?」
「では私が教会に行って確認してきます。副団長は娘さんのお便り確認に行くでしょうからギルドでアシュリーちゃんの名簿確認をお願いしますね、副団長ならアイザックさんも断らないと思いますし?」
アシュリーが寝たのを確認するとアリシアは荷馬車の外へと顔を出してグレンガルに確認をとる
それを踏まえると…王都に着いたら騎士団長に報告、報告書、身元確認、などやる事が山積みだなぁ……と馬の手綱を操りながら嫌そうな顔で呟いた
その頃同大陸 辺境の地 ザラハッド
「…………!此…処は…………はっ!……おい!皆無事か!………………くっ!教皇軍の連中は全滅か?いったい何があったと言うんだ………」
警備隊副長のホウケンは何故かぼろぼろにされた怪我が完治している、少し気になったがそれよりも周囲の様子が違う事に気を取られて辺りを見渡す
周囲には白い軍服を着用した教皇軍の死体と瓦礫や機械の残骸が散らばっていて乱雑としている
「くっ……駄目だ全員死んでいる…………アレは……まさか!!!」
一人一人の生存確認をとるが生きているものは誰も居なかった
一通り周辺の調査をしていると見慣れた建物を発見して全力で走りだす
「…………やはり此処は!!」
自分の所属する第1警備隊の管理する新兵器開発施設が建物ごと存在していた
「入り口のガラスは割れていない……何故ここだけ目に見える破損が何処にもないんだ?……ん?レベッカ?!大丈夫か!」
入り口から入ろうとするといつもの様にI.D.カードを要求されたのでいつも通りにスキャンする
ロビーに入ると何処も荒れておらず綺麗なままの施設を不思議に思いつつ内部を探索していると倒れている人影を見つけ知ってる人物だったので抱き起こした
受付を担当している警備隊員のレベッカは、通常勤務をしていたが今日に限っては来客予定が全く無く暇を持て余していた
「……暇です……癒しも無ければ……副長も居ない……隊員も今日に限って荒くれ者しか居ませんし……暇です……」
本来なら来客予定が載っているバインダーを、チラッと横目で覗き込むが何度見ても来客予定ゼロ
何時もなら、一緒に受付を担当している後輩のラフィちゃんも今日は何故か休み……そして
「おーい!レベッカァ?聞いてるぅ?暇そうだし俺の相手してくれよぉ〜」
「お前の馬鹿面なんざお呼びじゃねえ、それより俺と……」
今現在、待機という名の同じく暇人達が絡んでくる現状がとても……ウザい!!!
「私は名簿の整理や会計処理をしながらですが、あなた方は本当に暇なんですか?副長から必要経費の申請書を出す様に言われていたはずですが未だ提出されていないんですが…………要らないんですか?」
完全にサボりモードの目の前の男どもにジト目で言うと男どもは急に大人しくなり
「…………あーー…そういや俺ドリラーの点検しようかと思ってたんだっけ?……いやー忙し忙し!!」
「おっと、俺も射場の掃除しようかと思ってたんだった!」
と、口々に言い訳を言いながら離れていく……経験上、ただサボっていると副長に怒られる為、何かしらの仕事するので本当にその作業をするのだろうが……
「本当になんで書類の一枚が書けない……そんなに嫌か?書類書くの……副長〜〜早く帰って来て〜〜」
こんな事を呟きながら端末で事務作業をしていた
「…………あれ?……副長……お帰りな…さい?」
いつのまにか意識を失っていた私は憧れの副長に抱き起こされていた……
「?!?!いや!副長?!寝てないです!本当に!本当なんです!!」
「!?いや…そんなことより怪我はないか?他の隊員は居るか?」
「怪我?…………大丈夫みたいです…他にはアルベルトとかイーストさんとかはさっき?迄受付に居ましたが……」
副長はそれを聞くと私を抱えたまま施設内部に入っていった。
同時刻 ラドクリフ王国某所廃墟
「………………わ……私は…!「壊せ!潰せ!犯せ!殺せ!滅せ!」あ…アァッーーー!!!」
ぼろぼろの白い白衣を纏った女性は廃墟で目覚めると急に頭を抱え頭の中で響く声に思考を侵された
「壊す……全てを……潰す……邪魔な物を……犯す……尊厳を……殺す……奴等を……滅す…………」
ふらふらと立ち上がった女性は一瞬だけ見えた黒い影から聴こえる声に意識を囚われてぶつぶつと物騒な言葉を呟きながら歩き出す
その姿は先程までの白衣とは正反対の黒い露出の多い扇情的な格好をしていた。
裏設定警備隊
転移?したのは独り身の親兄弟家族のいない元戦災孤児だけ