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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

おばさん百合

作者: 葛

貴女は何を考えますか。同性から告白された時に。

キタノさんの事が好きなんですと7歳下の同僚に言われるまで自分の性をちゃんと考えた事は無かったのかもしれない。


37歳が女子じゃないとは言わないしこれから結婚とかじゃなく恋そのものにエネルギーを向けられる子達は素直に尊敬してるけど、それでも最後に付き合った男は年収110万を越える気が爪の先程も無いのが分かってたし、長くなる程こっちじゃなくて手元のケータイ見てた。

そう、まだケータイだった。

スマホでずっとゲームしてる世代すら知らないまま残業も昇給も無い仕事を辞める理由の無い人生に突入したんだなと思うと砂糖を入れたつもりのブラックコーヒーに口を付けたみたいな気持ちになるけど、水を飲むだけで流せるものだった。

ウォーターサーバーを置くくらいの金はあるよ。

解約も面倒で。


指の関節の間にも皺ってあるでしょう。

そんな自意識過剰なつもりはないけれど、世の中はまだまだ白魚の様な手が何を指すのか誰もが知ってるくらいには居場所が無いのかなという気持ちにならないこともない。

使わなきゃいけない言葉が自分に合ってないなってずっと思ってた。

派手なチークじゃだめなの?派手めって何?


「キタノさんは綺麗だしかっこいいし仕事もできてすごいなってずっと憧れてて……でも、憧れだけじゃないって、気づいて……その……」

困惑とかよりも、惰性で生きてきた人生を無邪気に評価される事もあるんだって、この子があまり言葉に気を使わないだけかもしれないけれど、でも気持ちって言葉にできないと存在できないものなのかな。

途中私がどんな返事をしていたのか、覚えていないと言うよりはただの無意識だったけれど。


「いいよ」

と。


遊びに行く事になった。

その時になって初めてその子の手を見て、硬そうだなと、思った。

30歳ってまだ子供なのかもな、とも。


面白い所があれば評価をお願い致します。

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