僕に秘められた能力…?
「おい、いつまで寝てるんだ!椅子ごとひっくり返すぞ!」
食堂の親父のバカでかい怒鳴り声で目が覚めた。凄い効果のあるが全く有難くない目覚ましである。現在時刻は5時30分。いつも7時10分に起きていた僕にとっては早すぎる朝だ。
「泊めてやったし、飯代もツケてやってるんだ。手伝え!」と強引に掃除の手伝いを押し付けられた。死神さんと一緒に掃除をしながら、自分にはどんな能力があるのかと想像を膨らます。
異世界に飛ばされてこんな酷い扱いを受けている可哀想な僕だ。きっとチート級の能力があるんだろう…
「おいゴルァ!ボケーっとしてたら朝飯食わせねえぞ!」
本当にやかましい親父だ。そして本当に可哀想な僕だ。
掃除を終えると、貧相な朝ごはんを食った。こんなので働ける訳ないだろうが。
そして迎えた朝9時。僕の秘められし能力が目覚める時である!
「おはようございます。キタノさん。あの食堂の長ベンチはこのギルドに来たばかりの人がみんな1度は寝るところなんです。そう考えるとそんなに悪くないでしょう?」フランツィスカさんが何やら水晶球の様な物を持って、こっちに向かって歩きながら声をかけてきた。
あの水晶球が僕の能力を目覚めさせる道具なのだ…