異世界ってこんなとこ。
まあなんというか、異世界は遅れた国だった。道行く人はみな歴史の教科書とかファンタジーアニメに出てきそうな服を着ているし...
そこでなんとなく、一緒に連れてきた死神をまじまじと見る。そいつは死神と言えないくらい華奢な少女であった。まあ、曲がった大鎌を持ってるしかろうじて死神と言えなくもないような、といった具合だ。僕はこの瞬間まで死神と言うのを生で見たことが無かったのでまさかこんなロリっ娘だとは想像もしていなかった。さっきは「ごめんなさい!なんでもするからお願い!帰してぇ!」と喚き散らしていたが今はあきらめておとなしくなった。
まあ、そんなことよりこの文明の遅れた異世界に来たのである。死神は「ねえ、これからなにするの?」とこっちを見ている。幸運にもこの死神ちゃんは自分を巻き込んだことに対して怒るそぶりもない。死ぬ前にいた日本では、異世界転生して戦おう的なゲームが結構ある。それらをプレーしてきた僕の経験だとこれはまずギルドというところに行って仕事を見つけながら仲間を増やしたりするのだ。
ただ、地図が無いとギルドの場所がわからない。迷っていると、他人にぶつかった。と思ったが、ぶつかったのは人ではなかった。人の体の形をした豚である。なんだこれは...いや、限りなく豚に近い体型の人だ。紛らわしい…りあえず、この豚がなにか知ってるかもしれない。ギルドについて聞かなければ...でもなんと切り出せばよいか...などと考えていると、死神が目を輝かせながらいきなり割り込んできた。「この町は一体どんな町なのですか?とてもきれいですね!」豚は「普通の町だよ。お前らはここに来たばかりなのか?」と言う。勇気を出してやっとこさ言えたのは「仕事ってどうするんでしょうか...」と云う質問だった。それも声が震えてしまった。コミュ障の弊害である。豚は「職安にでも行っとけ。馬鹿かお前」と笑いながら言い、立ち去った。結局、ギルドの存在は確認できなかった。なんなんだこの異世界。そしてなんなんだあの豚。勇者の集うギルドがあって、モンスターを倒しながら...っていう展開じゃないの?!
職安を探して歩き回っていると、なにやら怪しい建物にたどり着いた。なんだここ。って、よく見たらギルドって書いてあるじゃねえかよ!!
やっと見つけた嬉しさと何やら得体のしれぬ不安が入り混じる不思議な感情を抑え、中に入っていく...
中はまるで役所であった。「○○課」などと書かれた札が天井から下がっており、その下に窓口が設けてある。まずは、「新入手続き課」みたいなところを探す必要があるだろう。