円卓の騎士団
円卓の騎士団。遠い異国の地で住んでいた彼らは、ランスロットの不倫をきっかけに崩壊の一途を辿った。
しかし、彼らは全員がかなりの強者であり、特にガウェインとランスロットの2人は騎士団の中でも飛び抜けている。王であるアーサーは2人よりもずっと強い。
これは、交わるハズのなかった猫と騎士の物語である──。
◇◆◇◆◇
「ふむ……なるほど。確かにかなりの実力のようだ」
男、ヒトヅマンスロット……ではなく、ランスロットは自分の王の名を冠する猫の姿を見て呟いた。
猫の騎士王、アーサー。
彼は、風見幽香すらも倒せる力を持っている。が、それ以上の力を持つ本物の聖剣士、ランスロットによって鍛えられていた。
「ふむ……メイスは専門外だが、それでも君の技術が高いのは分かる。なるほど、確かに君は強い。では、私と戦ってみようか」
ランスロットの言葉に、拒否権はもちろんなかった。
◇◆◇◆◇
猫のメイスがランスロットに向けて突き出される。
ランスロットは鞘付きの聖剣アロンダイトでそれを受け流すと、猫に向かって軽く打った。
「ぐぬぬ……」
「あそこの場面なら、武器を捨てた方が攻撃を回避できる。自らの体の小ささに怠けて回避を怠るようでは、まだまだだ」
ランスロットはそう言うと、メイスをアーサーに渡した。
「まだやるかい?」
「もちろんですにゃ!」
アーサーの威勢のいい返事を受け、ランスロットは再び剣を構える。
「にゃにゃにゃにゃ!!!」
ランスロットはアーサーの猛攻を捌ききると、鞘がついた状態で切りつける。
アーサーはそれを転がって回避すると、ランスロットの背後をとってタックルする。
ランスロットは振り向いてそれを受け流すと、アーサーによって喚ばれた頭上から迫る二匹の攻撃を剣で防いだ。
「アロン……ダイトォ!!」
ランスロットはスペルで円卓の騎士団を吹き飛ばした。
◇◆◇◆◇
「にゃ……ドラゴン、ですかにゃ?」
「アーサー。これは、行くべきでしょう」
「というか、行かないとお仕置きニャァ」
アーサーは桜から命じられた魔物の討伐依頼をこなす為、参謀であるマーリンと共に妖怪の山の山腹に来ていた。
「……アレかにゃ」
アーサーが目にしたのは、腹を出して仰向けに眠る赤いドラゴンの姿だった。寝返りをうち、大層気持ちよさそうに眠るその姿は、呆れるしかないだろう。
不意に、そのドラゴンが目を覚まし、体を起こす。そして、雄叫びをあげると、アーサーにブレスで襲い掛かる。
アーサーはそれを回避すると、円卓の騎士団を呼び出して戦いを始めた。
ドラゴンの頭上から、勢いよくメイスが振り下ろされる。それは容赦なくドラゴンの肉体を傷つけ、マーリンがドラゴン特攻の魔法を撃ち放った。
結果、ドラゴンは体に風穴を開けて倒れた。
「んにゃ……終わったにゃね」
そんなアーサーの言葉を誰1人として聞くことなく、人里に帰っていったが。どうやら、荷物運びはアーサーの仕事らしい。
討伐の証明としてドラゴンの死体を担ぐと、アーサーは来た道を帰って行くのだった。
アーサーの冒険は、まだまだ続く。