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影幻和樹×春夏秋冬活躍

 幻想郷、中心部である人里の巨大な広場。

 そこには、二人の人物が拳を構えていた。週に一回程度で行われる、快主催の催しである。

 もちろん、霊斗が元々言っていたことを快が実現しているだけであるが。


 この世界は賭博関連のストレスの解消は少ない。スロットやカジノなどは霊斗がなるべく遮断しているので。ただし、闘技大会のようなイベントは別である。

 闘技大会に出場する闘士達は、己が力を鍛え、それは次の儲けへと繋がる。


 強い世界を目指す霊斗にとって、闘技大会はあるべきだったのだ。

 まあ、闘士が闘技場を使うほどでない場合は人里の広場で催しが行われるのだが。


「いくぞ!!」

「こい!!」


 二人が同時に叫び、拳をぶつけ合う。

 その衝撃に後退りながらも、二人は再び武力による相手の制圧を試みた。

 今回の闘技イベントの内容は『弾幕禁止』


 己が身体能力と技術で競い合う、本来の闘技大会だ。

 二人は、超技術の縮地で高速で移動しながら殴り合う。あれほどの素早さなら、回避で動く距離も相当である。


 何かのアニメのようにハデなその戦いに、民衆は盛り上がっていく。

 ちなみに、オッズはかなり活躍に偏っている。


 不意に、浜姫の妖怪である影幻和樹の拳が対戦相手である春夏秋冬活躍の顔に命中した。

 活躍はきりもみ回転しながらも、地面に四肢をつけて着地すると和樹に高速で迫る。


 圧倒的な身体能力の応酬。結末は、あっけなくつく。それが闘士の闘いというものだ。

 活躍の拳が和樹の鳩尾に命中した。

 崩れ落ちる和樹、両手を上げる活躍。

 その瞬間。活躍は予想外の回し蹴りに意識を奪われることになる。


◇◆◇◆◇


「いてて……腕を上げたな、和樹」

「いえ。いい教師がいてこそです」

「おおー!! お前、ごまするのが上手いんだな!」


 活躍の問いに対する和樹の答えに、和樹を指導している「風見穂花」はアホっぽく喜んだ。まあ実際、彼女は相当なアホ、つまりは天然である。


 穂花は風見幽香の娘であり、超技術は悪名憚る妖怪の実力者の中ではかなり高い方である。当然穂花を慕う、さらには風見幽香を慕う妖怪もいるがために、穂花は人里では悪い妖怪の頭領と思われることも少なくない。

 その影響か、和樹もこの人里ではかなり評価が悪いのだが……彼はそのことを知らない。


「おーし、飯でも作るかー!」


 活躍は突然思いたったように立ち上がって叫ぶと、異世界の住民達の住む共同住宅のキッチンへと歩いて言った。

 活躍の料理の作り方は見るからに危ないが、彼らはもうツッコむ気も失せたらしい。味はそうとういいのだが……。


「みなさん!!」


 そんな折、人里の甘味処で研修をしているハイドが共同住宅の扉を勢いよく開けた。龍人という種族柄の怪力で、重圧な鉄扉はグシャリと曲がったが。ハイドの研修期間は伸びそうである。


「帰り方が分かりましたよ!!」


 その言葉に全員が、料理をしている活躍までもが意識を持っていかれた。だから、彼は気づかなかったらしい。

 小麦粉をバッドに入れる中で、勢いよく動いたために飛び散ってしまうことなど。その小麦粉は、フライパンを温めているガスコンロに着地──その瞬間。


 粉塵爆発、塊では爆発しないものが粉となることで一気に可燃性を増す現象。表面積の違いによって起こる現象だが、活躍はそれを実践した。


 大爆発実験である。


◇◆◇◆◇


「ほら、次は配達ー!!」

「ヒィーーー!!!」


 活躍たちは現在、忙しすぎるバイトに追われている。この幻想郷なら、仕事はありすぎて人手が足りないほど。当然、働いて周囲への損害分を返すしかないのだった。早い所、ハイドから聞かされた大切なこと実践したいものである。

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