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佐藤快②

「さあ、広場に行こう。……っと、その前に私の名前を言い忘れていたね。私の名前はアズハ。アズハ・スカーレット。しがない旅人さ」


 女……アズハは快にそう言うと、カードで会計を済ませて外に出た。


◇◆◇◆◇


「よし、ここでいいね」


 アズハはそう言うと人里の中心、広場で拳を構えた。アズハの雰囲気が変化したのを感じ取った快も、同様に戦う構えを取る。


 アズハの拳が迫る。それを快は呼吸を感じ取り、動きを先読みして冷静にしゃがんで回避すると下から一点を狙うように拳を突き上げる。

 アズハの顎へのアッパーカット。


 アズハはそれを先読みしていたのか、脚に力を込めて高く跳躍する。

 さらに、アズハは下にいる快に向かって斬撃を飛ばした。快はそれをバックステップとバク転を用いて回避すると、拳を突き出す。


 肉鎧と斬脚、衝撃玉砕の応用技。

 指鎧を拳銃とするなら、これは大砲が如き威力を得る空気の拳。


 アズハはそれに対して、同じような拳で撃ち返す。

 快の拳はアズハの拳に打ち負け、快に迫る。

 快はそれを横に転がって回避すると、さらに空気の拳……空拳を撃ち放つ。


 アズハはそれに対して空歩で回避すると地面に着地し、快に向かって一直線に駆け出した。

 快よりも速く、それは縮地すらも圧倒的に超える速度の動き。『(またたき)』と名付けられたその動きは、アズハのオリジナルの技だ。10メートルという距離制限の代わりに、縮地を圧倒的に追い抜くスピードで駆ける技だ。あまりの筋力に、空歩やそれらの応用技との併用は不可能。


 快はその速度に腹を殴られた。肉鎧を使って防御を試みるが、防御貫通攻撃である衝撃玉砕によって容易く食い破られる。


「ガフッ……!」


 背中から飛び出した血飛沫が、快の口から漏れ出した血が。快の敗北を、赤く、緋く、紅く、彩った。


◇◆◇◆◇


「わかったかい?」

「え?」

「もう……コノハの時の二の舞じゃないか」

「あ、はい。そのことですね。見えてました」

「そうかい。わかったかい?」

「ええ。ありがとうございました」


 快のお礼に、アズハは満足げに頷くと体を反転させ、快に後ろ手を振りながら去って行った。


「……どちら様だったんだろう?」


 快のその言葉に、答えは既になかった。

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