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第二十五話『ラスボス』


 不敵に、大胆に、残酷に。

 二人のアルマ(・・・・・)は、ケタケタ、ケタケタと笑い声を上げた。

 そして、やがて巨大な光の塊……霊斗の知る、女神へと姿を変えた。


「テメェ……!!」

「久しぶりだな博麗霊斗!」


 霊斗とその光の塊は、共に神格第二級を持つ準主神だ。

 だが、光の塊の方は主人である『旧神アルズレイマス』との制約により、神格EX級と変わらぬ力を保持する。


 ルシファーの神格EXにも匹敵するその神格は、ルシファーを動かすには十分だった。

 ルシファーの願いは、最古神である主人が旧神に奪われたこの世界を取り戻すこと。

 その主人、最古神カオスの持つ神格EX2により、ルシファーは神格EXへと引き上げられていた。


 それにより、ルシファーと光の塊は一時的な主従関係をとり、共闘していた……が。


 今のルシファーは、光の塊と全く同じ神格を持つ。だがしかし、ルシファーは光の塊に敗北した。

 そして、霊斗は言わば、光の塊と同じ神の元で働く派閥違いのようなもの。


 光の塊に敵対する理由があった。

 光の塊……時空神クロック・レイフンは空間の穴を作り出しそこから何人もの人型を引きずり出した。


「な……!? あなたたちは倒したはず! それに……父さん!?」


 第二陣として到着した妖緋が、驚きの声をあげた。


「絢斗! とりあえず今倒れてる全員を復活させてくれ!」


 絢斗の能力により、ルシファーにやられた何人もの人間が息を吹き返した。


「磔!」

「あれ……俺は……って絢斗に快!? なんで泣いてるんだ!?」


 最初に磔が起き上がり、快と絢斗は起き上がった磔に抱きつく。


「ん……」

「え……っと」

「あれ? 俺は一体……」

「目を覚ましたようだな」


 霊斗が桜と蒼、優一に声をかけた。


「絢斗、零は?」

「……無理だった。俺の能力で復活させられるのはあくまで肉体的な死だけだ」

「そんな……!? 兄さんはまさか!?」


 神姫と呼白が絢斗の言葉に哀しそうな声を上げた。


「……いや、大丈夫。私の中に、零の魂は入っている」


 神姫と呼白に対して、ルシファーは声を上げた。


「絢斗。君なら、私の中に入れるハズさ」

「……お前を信用しろっていうのか?」


 絢斗の言葉に、ルシファーは俯いた。


「……もう、私にお前たちと敵対する理由がない」

「……絢斗、大丈夫だ。ルシファーと上下関係にあるってことは、レイフンもカオスの関係者だってことだ。そのカオスの関係者に殺されそうになったってことは、カオスにお前は捨てられた……そうだろ、ルシファー?」


 霊斗の言葉に、ルシファーは顔を両手で覆った。


「絢斗。まずはルシファーの肉体を復活させてやれ。その後に、零の魂を取りに行けばいい」

「……分かった」


 絢斗は霊斗の言葉に従い、ルシファーの肉体を復活させる。


「んで、ルシファーちゃん。俺はどうすればいいんだ〜?」

「……黙っていろ。私の中にお前を送り込む。自分に対する能力の使用を止めたら、その瞬間お前は消滅するから気をつけろよ。呼白、それから神姫と魔晴。お前らは私に干渉して、絢斗の補佐だ」


 ルシファーはそう言うと、ワープホールのような物の中に絢斗を送り込んだ。


「……これは一体、どういう状況なんだ?」

「状況だけ言うなら非常にマズい。多分なんとかなるとは思うけどな」


 戸惑いを隠せない優一に霊斗がそう応えると、時空神クロック・レイフンが引きずり出した人型たちが、前に出てきた。


「こいつらは……志郎、夜月、和樹、ファウル、活躍、玉木、茜の七人か」


 霊斗のその言葉に応えるように、黒装飾を纏った七人は各々の武器を構えた。


「……みんな! やるぞ!」

『おう!!』


 ──最後の戦いが、始まる。


◇◆◇◆◇


「活躍!! 先ほどは遅れをとったが、次はそうはいかない!」

「望む所だ黒狂!! 今までの俺だと思うなよ!」


 活躍と黒狂はお互いにそう言うと、さらに黒狂の背後にリクがやってくる。


「俺にも……やらせてくれ!」

「……よし」

「何人増えようが、関係ないぞ!!」


◇◆◇◆◇


「父さん!!」

「ハハ……あははははは!! 妖緋! お前には父親として教育してやろう!!」


 妖緋の前に志郎が立ちふさがり、そう宣言する。志郎の手には、愛刀である風斬落……ではなく、黒塗りの漆黒の剣があった。


「父さん……風斬落は?」

「ハハ!! 何を言っている!? これが風斬落だよ、妖緋!! あははははは!!」


 違う……。妖緋は、剣士としてそれを感じていた。

 その剣は、穢れの塊のような剣だ。決して、高潔な力を纏う風斬落ではない。それとも……風斬落が、原型を留めぬほどに志郎の感情に汚染されたのか?


 妖緋はそう疑問を重ねながら、妖緋の持つ最強の剣であるアーサー王より受けとった、エクスカリバーを構えた。


◇◆◇◆◇


「玉木!! 正気に戻りなさい!」

「元主人か。残念ながら、それはできない相談だぞ!」


 玉木はほとんど普段と変わらない様子で、桜のことを元主人と呼んだ。

 それに対して桜が動揺するのを引き止めるように、蒼が話しかけた。


「桜さん! 気持ちは察しますが今は彼女を倒しましょう」

「……そうね。蒼! 手伝ってちょうだい!」

「もちろんです!」


 桜と蒼が二人で玉木に向かって突撃していった。


◇◆◇◆◇


「茜!」

「アンタ……シルクね。まったく、あんた達バカどもにはもううんざりよ!! 私はあの方の元についた! あなたにはもう縛られない、止めさせない!」


 茜を引き止めるシルクに対して、茜は手に持つ刀で斬りつける。

 それはシルクの前に躍り出た幻真によって受け止められる。


「今すぐ私の前から消えなさい、雑魚!!」

「雑魚の力を見せてやる! 雑魚には雑魚なりの戦い方があることを見せてやる!」

「……幻真くん、よろしく頼むよ」

「おう!!」


 幻真が剣を受ける間に、シルクは茜に対して銃を構えたまま距離を置いた。


「茜……!!」


 ──その顔に、友を想う悲しみを浮かべながら。


◇◆◇◆◇


 ファウルが爆弾を創り出し、投げつけようとしたその瞬間。

 それらは一斉に爆発する。


 爆炎の中から、一人の男が突っ込んでくるのをファウルは感じていた。

 爆弾で地形を変えることで時間を稼ぐと、ファウルはその男から距離を置きつつ、向きなおる。


「特に因縁はないが……あいつらには手出しはさせねぇぜ!!」

「……まあ、良いだろう。全力でやらせてもらうぞ!!」


 ファウルが再び爆弾を創り出す。

 宏大はそれを炎で燃やすと、爆弾は毒ガスを噴出した。


「ゲホッゲホッ……」

「科学爆弾、DO2000はどうだ?。さァ、楽しもうじゃないか!!」


◇◆◇◆◇


「どうした!? 『進化し続ける金神』! 佐藤快! 貴様はその程度か!?」


 二人がかりで攻撃する夜月と和樹に、快は翻弄されながらも攻撃を回避し続けていた。

 だが、決定打を打ち込めるタイミングが中々できない。

 隙を作ってしまえば、一人は倒せてももう一人にやられる。そんな状況だ……が、それを崩すように新月朔が乱入する。


「快さん! 手伝わせていただきますよ!」

「お願いします!」


 そう言って、二人は和樹と夜月に向かいあった。

 快と朔が、同時にスペルを宣言する。


「「気符『超本気モード4』!!」


◇◆◇◆◇


 遠くから、弓が射られてくるのを俺は手で掴む。


「これは……!?」


 次の瞬間。俺の体は、何かに殴り飛ばされていた。


「霊斗!?」


 磔が驚いた声を上げつつ、そいつの剣を真楼剣で受け止めた。


「ぐ……! 重すぎる!」


 しかし、磔は力負けしたのか、俺の方に吹き飛ばされた。


「うわあっ!」


 優一はそいつの振り下ろす剣に対して無限結界でガードするが、結界にヒビが入り始めた。


 俺と磔は結界が割れる前に、そいつの剣に自分たちの剣をぶつけて抑え込む。


「お前は……!?」

「我ガ名ハ『災禍王ゼルクフリート』。主人ニヨッテ複合サレタ英雄ナリ」


 そいつ……ゼルクフリートはそう言うと、剣を捨てて俺たちに片手を向けた。


「波動『空間周波』」


 俺たちはその波動に吹き飛ばされた。


「ふふ……私の最強の兵士、ゼルクフリートに勝てるかな!?」


 そう言って、クロック・レイフンは不敵な笑みを浮かべた。


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