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プロローグ

年季の入ったグラスは、過不足なく満たされた。

やがて注がれたものは余すことなく飲み干され、もう一度グラスが傾くことはない。


皆さん、初めまして。

この物語で当分の間の語り手を務めさせていただく、泉ケイです。

空馬(からま)高校1年、卓球部、男。

...僕としてはこんな大役に抜擢されながら内心穏やかでないというか、足下もおぼつかないというのが正直なところではありますが、皆さんの時間を頂く以上、少しでも楽しんでいただけるよう最善を尽くす心算(こころづもり)でございます。

......すぅ。では。


皆さんはシャンパーニュ地方をご存知だろうか。国はフランス。

パリの北東約150Kmに位置するワインの名産地であり、シャンパンの特産地である。そのブドウ畑の地下には長さ300Kmに及ぶ長大な洞窟が存在し、そこには超大で膨大な量のワインが所狭しと熟成までの期間を過ごしている...と言われている。

そもそもシャンパンというのは、この地方のアルデンヌ地域圏でのみ栽培される特定の品種のブドウを、ワイン法で規定された製法に基づき作られるものだけを指して言う。

全てが定められた、不確定要素のない一品。


俺はこのシャンパンの製造過程を知った時、ある身近な人物を思い浮かべた。

ー...祠堂(しどう) フブキ監督。

俺の所属する空馬高校卓球部の初代監督であり、そこから引き続き現監督も務めている。

フブキ監督は不確定要素を嫌う。

最善を行うために曖昧や余分を徹底的に排斥し、一見無計画に見える行動もすべて、計算と経験によって紡ぎ出された、限りなく確実に近い手段であるという。

いわば、偶然を除いた失敗のない指導。現代において完成された手法の結晶。

その確固たる導きで、俺の所属する卓球部は全国の舞台を悠々と足場においていたー...

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