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時関  作者: 空端 明
7/13

探す日曜日

 それから僕は、そのまま数学のワークの続きをを解こうとしたものの、二問目にして集中力が切れた。はっきり言って元々集中などしていなかったが。

 時が止まった中にいるのは、何度経験しても慣れないし落ち着かない。どうして僕は動けるのか。それ以前に、なぜ時間を止めたりできるのか。家系なのは分かっているが、それ以外の理由はなにも知らない。知りたいとは思うけど、誰かに訊けるものではないし、インターネット上に載るようなことでもないだろう。

 あれ、というか、この状況下で、パソコンは動くのだろうか。いや、パソコンだけでなく、家電全般ダメな気がする。

 椅子から立ち上がり、それと同時に感じる圧にびっくりしてから、水道まで移動。

 ためしに、「出ろ!」と願いを込めて蛇口をひねると、予想に反して水が出たが、一緒に出た疲労感のほうが、衝撃が強かった。思わず手を離すと、水がそのまま空中で止まった。

 これも意志の力なのかな?

 このまま忘れると大変なことになりそうだから、仕方なくもう一度触れて、蛇口を閉めた。


 …………。

 もうよく分からない。空中で水が止まったのは時が止まったからで、ではなぜ止まったのかというと、僕が原因なのは分かるんだけど?

 こういうときは、調べよう! 実は、当てがあるんだ。ちょうどさっきいろいろ考えているときに思い出したのだが、我が家の物置には、お父さんが大事にしていた諸々の品が大半を占めている。何かあるとしたらそこ。なかったら、もはやどこにもない。


 承認、承認とアホみたいにつぶやきながら、例の物置に入った。一見片付いているように見えるものの、やはり物置なので、たいして広くない空間に、かなりの数の箱やら、旧い家電やらが所狭しと積み重なっている。

 ちなみに僕がこの部屋に入るのは初めてだ。別に入るなと言われていたわけではないけど、なんとなく大人しか入っては駄目な気がしていただけ。何の理由もないね。

 手前から探すつもりだったが、ここら辺はどちらかといえば新しそうなものばかりだったから、がんばって奥まで進み、そっちから探すことにした。こっちは、数年前ここに引っ越してきたときのままのようで、段ボール箱の中に入ったままのものが大半だった。

 どうかありますように!


 比較的古そうなものから中身を見ていくと、四つ目の箱にそれらしいものを発見した。

 この箱全部がそうなのかな?

 表紙に、時間がどうのなどと書かれているものもある。あからさまだな。その中でも、これまた古そうなノートをパラパラとめくってみる。

「! あった……ふぇ……ヘックション!!」

 ノートや箱全体にかぶさっていた埃が、僕に触れるかなんかで舞ったようだ。だが困ったことに、一歩引いてみると、埃は舞ったその場でそのまま停止。当然ながら、床に落ちることもない。普段なら換気をして収まるのを待ったりするものだろうが、窓を開けても風は吹くはずがない。そして、ノートや他の本を取ろうとしたら、僕の鼻を攻撃。

 なんだこの修羅場は!!


 仕方がないので、結局マスク装備でなんとかリビングに箱ごと運んだ。上のものを降ろしたり動かしたりして、結構な重労働だった。

 よし、これでようやく続きが読める。

 僕が最初に見つけたノートは、日記のようだった。お父さんが日記なんてつけていたのかと一瞬驚いたが、書いたのはもっと昔の人みたいだ。いついつの日に何分間時間を止めて何をした、といった記録的な内容や、今日は息子が何々をしていたとか、役に立つのか立たないのか微妙なことも書いてある。

 うん、次!


 上から次々と見ていったが、特に気になるものは少なかった。実体験を綴ったものや、親から子へ、という形式のものもあったが、読むのにものすごい時間がかかりそうだったので後回し。もっとまとまったものはないのかな。

 そう思って次の本を取り出す。これまた古い。というか読みづらい。黄ばんでいるし、文字がくずれている。

「せ……世界を……ん?」

 目を細めたり、本自体を近づけたり離したりして、ようやく読めた。

「世界を人として見た者とその子孫へ……?」

 ?

 ??

 急に話が壮大になったな。それに、こんなものを書いたのは誰だろう。しかし、ペラペラとめくってみると、どうやらこれは僕の求めていたものだと分かった。

 表紙が著しく傷んでいる割には、中の文字はちゃんと読めた。始めに、時の力については、まずこれに問うこと、とある。

 立ち読みも疲れるし、ソファに座って続きを読むとしよう。


この話で折り返しですよ!

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