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時関  作者: 空端 明
6/13

止まった日曜日

 そのまま僕は眠ってしまったらしい。


 気がつくと、布団の中にいた。とりあえず無意識ながらベッドに行ったことは、我ながら褒めておこう。起き上がって周りを見回し、まだ明るいと安堵したのもつかの間、時計を見てひっくり返った。いや、本当に。壁にぶつけた頭が痛いです。

 なんと時計は、僕に八時をお知らせしていたのだ。

 秋も深まったこの季節、八時で明るいというのは残念ながら午前しかありえない。もちろん、昨日の午後でも同じくひっくり返ったと思うが。

 テレビを確認すると、平日とは違う番組で、ニュースキャスターが日曜の日付をアナウンスしたところだった。おはようございます……。

 どうしてこんなにも眠ってしまったのだろう。昨日になってしまった一日を振り返る。たしか僕はお昼ごはんを買いに行って、黒関という男にいろいろされたり教えられたりして……お昼?

 そういえばお腹が空いたな。

 軽く着替えてから、テーブルの上に放置していたおにぎりを食べつつ、昨日食べ損ねた夕ごはんのカレーを温めた。米は炊いてないので、少しだけ味見を……。おいしい。あとでお昼用に米は研いでおこう。


 食事を終え、お米も研いでから、自分の勉強机の前に行ったとき、現実が戻ってきた。

「……し、宿題…………。」

 色んなことがありすぎて、ってほどはなかったはずだが、すっからかんに忘れていた。バカだ。やり終えた内容は昨日の昼のまま。つまりほとんど終わっていない。

 だが、時を止められるという事実を知った今、僕はこの戦いの勝利を確信した。


 でも今のところ、まだよく分かっていない力を乱用するのもどうかと思ったので、そのまま黙々と宿題に取り組んでいる。理科の昨日……じゃない、おととい印刷した紙を見ながら、重要そうなところを色ペンで書いて、あとは資料を丸写し。ずらずらと文字を写す作業をこなしながら、いったい誰がこんなものを読みたいのかと思った。まあ、これで評価はB以上はもらえるはずなんだけど。

 ……首が痛い。時計を見ると十一半時過ぎを指している。約二時間か、がんばったな。


 休憩がてら、炊飯器のスイッチを押しに行き、それからふと思い出したので、ポケットからあの『石』を取り出した。何度見ても、まん丸でもないし、見た目は角が取れている以外なんの特徴もない。とことん『謎』な石だな、と思う。これは僕が小三の冬に、母さんから貰ったものだ。

 そして、小三の冬といえば、お父さんが倒れたときでもある。いや、倒れたというのは正確ではないが、他になんとも言えないのだ。原因不明なうえ、当時お父さんの近くにいて、いちばん有力な情報を持っているはずの僕が、どういう訳かそのことをさっぱり覚えていなかった。

 なので、今でもなにもできないままである。そのときから約四年間、お父さんは眠ったままだ。ちなみに今は母さんの勤める病院に入院している。

 ただ、いま考えると、あの時間に関する力が関わっているとしか思えない。その事件のあと、母さんは僕にあの石をくれた。その時たしか、肌身離さず持っていれば、いつかお父さんが倒れた理由が分かるかもしれない、と言われた。しかし、持っているだけで危ない目に遭う可能性もある、とも。だけど、僕は一瞬でその不思議な石に魅せられていたので、大切にすると、つまり、持つことを決めていた。そしてその時に、誰にも見せない、誰にも言わないと約束したのだった。

 そしてその石を狙う者か。ところで、結局石は何をしてくれたんだろう?

 あれ、いいにおいが……ご飯が炊けたみたい。早炊きってすごいね。



「ごちそうさまでした。」

 さっとカレーを温め、おいしく頂きました。食器を洗い、さて次は数学でも片付けようかな、と思ったときだった。


 人が意思を持ち、時の理に触れる間――それは一瞬だったが、確かに分かった。


 時が止められる!


 そう思ったときにはもう、辺りは例の静けさに包まれていた。

「あ、」

 気づくのが遅かったので、すでに後の祭りなのだが、僕が先に時を止めていれば、たぶんその主導権は僕にあったはずだ。

「……今更、だな。」

 そのうちひとり言に慣れてしまいそうだ。


蛇足感ある&動きのほとんどないつまらない回で すみません……

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