俺と養父との絆の物語(前編)
俺は実は母の連れ子として4歳の時に、今は亡くなって18年余り経つ俺の人生における二人目の大恩人である今でも
大好きで尊敬する養父のもとに養子と
してもらわれた。
俺の実父というのはとんでもない極悪人で、毎日ろくに働きもせずに、競馬、競輪、競艇等、ありとあらゆるギャンブルに手を出し大敗を喫しては
さらにむきになり大金をつぎ込んでは
事如く負け続け、酒に溺れ酒乱になり
その当時俺を身籠っている母にさえも
必要最低限の食事すら与えず、もう少しで危うく俺の命まで奪われ兼ねなかった、正に真の極悪人である。
俺はこの話を小学校低学年の時に初めて聞いたが、その当時はただ俺の本当
の親父がとんでもない悪い奴だったんだなぁくらいにしか考えられなかった
その時の俺はあまりにも幼過ぎてほぼ
世の中の事なんてさっぱり分からなかった。
しかし、この話を聞いて今になって思うと俺は良く中絶されもせずに、この世に生まれてこれたものだと自分で自分自身の事が不思議で仕方ない、だってそうだろう普通に考えて、もし俺の実父のような極悪人の子供を妊娠して
しまったと分かった瞬間、自分自身の事だけど、もし俺が母の立場だったとしたら、もし俺なら即行で中絶していたと思う、所詮俺とはそう言う奴である。だが、しかし、俺のお袋はそんな
冷たい考えとは、明らかに違っていた
冷静に考えて恐らく10人いたら9人は
間違いなく俺の考えたように中絶する事を選ぶ筈である。しかし、俺のお袋
はあろう事かこんな曰く付きな子供(
俺)の事を何の戸惑いもなく、何の偏見もせず、何の差別などもしないで、この俺を貴女の長男としてこの世に生んでくれた、貴女の愛する家族として、
俺の事を迎え入れてくれた、その事実は一生俺の頭からは消えないだろう。