女流西山朋佳白玲が「棋士」の権利を得たのは「女性枠」なのか?
筆者:
本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。
今回は将棋の西山朋佳白玲(清麗・女流名人・女流王将)が通算5期獲得して「クイーン白玲」の称号を得ると同時に「棋士」の権利も獲得したものの、即答は避けられました。
https://www.sankei.com/article/20261010-7KPGF3N5XBO2PG2SION34Y3FW4/
西山白玲が女流からプロ棋士になることに制度的にも実力的にもどうなのか? につい将棋ウォーズに最近ログインすらしていないけどウォーズ2級の僕が個人的な意見を述べていこうと思います。
◇西山白玲の実力
質問者:
SNSでは西山さんがプロ棋士の権利を得たことについて「女性枠だ!」と言う声が非常に大きいんですけど、実際のところはどうなんですか?
筆者:
まずは、西山白玲の実力が男性と比べてもどの程度のものなのか? について話していこうと思います。
通常、「奨励会」と呼ばれる日本将棋連盟のプロ養成機関で昇級・昇段していき、「3段リーグ」と言うところで半年に2人ずつプロ棋士である四段に昇段(合格)していきます。
西山白玲は2015年12月に現行制度で女性2人目・最年少の20歳5カ月で3段になり、3段リーグに参加しています。
2020年前期の3段リーグでは惜しくも西山白玲を含む3人が14勝4敗で並ぶも前期の順位が高い2人が4段に昇段するため、西山白玲は3位の次点となりました。
※次点は2回で4段になれるものの西山白玲の次点はこの1回のみ。
奨励会には「年齢制限」と言うものがあり、26歳の時点で退会しなくてはなりません。西山白玲は年齢制限を前に奨励会を退会して21年度からは女流棋士に転向をしました。
このように「女性であるから差別された」わけでは無く、「正規のルートでは駄目だった」と言うのが現状なのです。
※3段リーグで優秀な成績を残し、申請すれば26歳以上でも在籍を延長でき、最長で満29歳のリーグ終了時まで在籍が可能な制度もあります。西山白玲は退会直前の3段リーグの成績は9勝9敗と微妙ではありました。
質問者:
筆者:
また、奨励会以外でも棋士になる方法はあります。
それは、公式戦で棋士に直近20戦で10勝以上、勝率で6割5分以上を記録すれば「編入試験」と言うのを受けることが出来るのです。
質問者:
え!? そもそも、一般の方でも棋士の方と対局できるのですか!?
筆者:
女流棋戦優勝者は各タイトル棋戦の1次予選トーナメントやNHK杯や朝日杯などのトーナメント戦に参加することが出来るんです。(その他アマ名人など認定アマ棋戦優勝者も各棋戦に参加可能)
西山白玲は女流トップランナーですから各棋戦の1回戦から参加ができ、2024年度にはその条件を満たし、棋士編入試験の資格を有しました。ここで5戦3勝すれば棋士になることが出来ます。
しかし、同年9月から始まった西山白玲の棋士編入試験では2勝3敗と本当にあと一歩のところでまたしても棋士になることが出来ませんでした。
※これまで現行制度では今泉5段、折田5段、小山4段がこの編入試験を突破。旧制度でも花村9段と瀬川6段が突破しています。
◇「女流」がレベルが低いのではないか? と言われている
質問者:
そこでもあと一歩だったんですね……。
ところで、「女流棋士」というのは専用のタイトル戦もあるみたいなんですけど、どれぐらいの実力の方が揃っているんですか?
筆者:
上位は奨励会3段リーグに在籍経験がある福間(旧姓里見)氏と中氏など4段に匹敵する実力はあると思いますが、その他に関しては「怪しい」と思います。
質問者:
筆者:
そうなんですよ。勿論、アマの2級では無く奨励会レベルの2級なのでアマ5段ぐらいの実力はあると思います。平手同士なら僕レベルだと50手ぐらいで投了に追い込まれるでしょう(笑)。
ですが、棋士の最低レベルが4段というのを考えると、それがプロとしてのレベルと言う意味ではどうなの? と言われても仕方がないことだと思います。
それらの方々に勝ち続ける事が棋士の称号に相応しいのか――これが今回「女子枠ではないか?」と疑問を呈されている大きな要因の一つなのです。
質問者:
なるほど……そもそもどうして女性のタイトルで棋士になれると言う規定になったんですか?
筆者:
こちら https://h1.nu/1A3Um の記事によると、
「白玲戦の賞金が1500万円から4千万円に増額され、棋戦価値が大幅に向上した。これを背景に、女流棋界で一定期間頂点に立ち続けた実績をフリークラス編入への新たなルートと位置付けるとともに、女流棋士を目指す女性へのインセンティブ創出とキャリア設計の多様化を図り、将棋界の活性化を目指す」
とあり、スポンサーが強力になったことが大きな要因としてあるようです。
しかし、スポンサーが強力になったことは女流棋士の実力が向上したこととは因果関係は無いと思います。
実際にこの「白玲戦通算5期で棋士資格」について、現在の棋界のトップである藤井聡太竜王・名人は当時の執行部を前にして「棋力の担保は取れているのでしょうか」と疑問を呈したとも言われています。
https://www.asagei.com/excerpt/343169
質問者:
藤井さんまで疑問を呈すると言われているのなら将棋ファンでも問題があるかも? と言われても仕方ないですね……。
◇西山白玲は「実力」で批判の声を跳ねのけるしかない
筆者:
現状、西山白玲は26年10月24日までの間に棋士になるかどうかを選ぶことが出来る権利を有しており、それを行使していません。
しかし、これまでの棋士になるため「あと一歩」が続いたために必ず申請をされると思います。
質問者:
ですが、西山さんはしっかりと規定を満たして棋士の資格を取ったのに、批判されているのは気の毒な気がします……。
筆者:
僕も「女子枠」が質を下げることは否めないと思うので基本的には反対なんですけど、現在も3段リーグ1位、2位と次点2回の方と言う3人以上が4段に昇段する可能性があるわけです。
※過去9回3人が4段に昇段したケースがあります。https://kishibetsu.com/sandan/itiran.html
フリークラスと年齢と言う「引退の規定」を満たさない限りは棋士と言うのは増えることは可能なので、そこまで質は低下しないのではないかと思います。
ですので、「棋士編入試験2勝は3段リーグ次点1回と同じ」と言う規定であれば、誰でも平等であり物議を醸すことなく西山白玲は棋士になることが出来たのではないかと思います。
質問者:
しかし、現実はそう言う規定では無いですよね……。西山さんはどうすれば良いのでしょうか?
筆者:
棋士になったからと言ってすぐさま3段リーグ戦を勝ち抜いた方と同じと言うわけではありません。
4段になってから10年以内に直近の対局が30局で20勝10敗(勝率0.667)。昇級規定となる「良い所取りで、30局以上の勝率が6割5分以上であること」を満たした場合に順位戦のC級2組に上がることが出来ます。
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2024/07/15/articles/20240715s000413F2262000c.html
※これは3人目の4段昇進者や編入試験合格者全員に共通。C級2組昇級とは4段昇段10年後以降も現役続行することが出来るという意味です。
C級2組にすんなりと上がれるかどうか? がこの制度を存続させるための絶対条件であると思います。つまり、実力で批判の声を封殺するしかないという事です。
質問者:
筆者:
何だかんだで男ばかりだと暑苦しくて、女性がいるだけで華やかになるというのが事実としてありますからね(笑)。
将棋界としても話題になりますのでそんな事ばかりではないと僕は思っています。




