二人の冒険者
ある冒険者パーティの話。
~某日、ダンジョン内~
「ダブルスラ~ッシュ!」
緑色に変色した死体を素早く二回斬り付ける。
切り裂かれたことなど意にも介さずそれは大きく振りかぶって反撃をしてきた。
その攻撃を左手に装備しているスモールシールドでガードをする。
「あっれ~思ったよりしぶとい…」
「炎の弾丸よ、敵を貫け…ファイアボール!」
構えた杖からスイカほどの大きさの炎の玉が放たれる。
「グオオオ」
命中した死体は断末魔をあげながら、地面に倒れた。
「さんきゅ~!やっぱ魔法職のほうが火力出るのかな~」
「ははは、火力はそうかもね。でも前衛がヘイトかってくれてるから安心して呪文使えてるんだよ」
「役割分担ってことですな~…おぉ?こりゃなんだ」
倒れた死体を漁っていると、緑色の宝石がはめ込まれたペンダントが出てきた。淡く輝いている。
「お、レアドロップだね。鑑定スキルがないから効果は分からないけど…付けてみたら?」
「死体が持ち歩いてたアクセサリーって呪われてたりしてないよな…まあ付けてみるけど」
そう言うと、男はペンダントを首から下げた。
「お、いいじゃん似合ってる似合ってる。よし、じゃあ先に進もうか」
「あいよ~。結構深くまできたな~」
「そうだね、地図によるとそろそろボス部屋だけど。」
「ボス戦か~たぎるぜ」
「うちのパーティ、ヒーラーがいないから被弾には気を付けてね。ポーションもここに来るまでに結構使ってあと1つしかないし」
「おーらいおーらい任せなさい~!俺にはこのペンダントもあるしね~」
「効果も分かってないけどね」
そんな軽口を叩きながら二人は奥へと向かった。
数十分後。二人の前に巨大な両開きの扉が現れた。
青白い炎のたいまつが扉を照らしている。
「ここみたいだね。準備はいい?」
「もちろん。いっちょやったりますか。」
手で扉を軽く押すと、音を立ててドアが開きだした。
二人は緊張した面持ちで中に入る。
暗かった室内を照らすように壁に設置されていたたいまつが一つずつ点火していく。
そして、部屋の奥のたいまつが最後についたとき、そいつは表れた。
「王冠をかぶった骸骨…スケルトンキングってところかな」
「王様か…そいつはいいもんドロップしそうだぜ」
玉座に座っていた骸骨、「スケルトンキング」はゆっくりと立ち上がり、こちらをみた。
そしてその両の手に、巨大な剣が顕現する。
「んじゃま、とりあえずいつものパターンでよろしく!」
「了解!」
いつものパターンとは、前衛でヘイトを取っている間に魔法をぶち込む、単純明快なフォーメーションである。
「ファストスラッシュ!」
骸骨を素早く斬り付ける。
命中はしたものの、ダメージはあまり無さそうだ。
「く~力が欲しいぜ!」
素早くバックステップで距離をとる。
今度はこちらの番だと言わんばかりに骸骨は巨大な剣を振りかざす。
「おいおいさすがにその距離じゃ当たらな…ってうおお!!」
降り降ろされた剣から斬撃が飛ぶ。
紙一重で避けることはできた。後ろに立っていた石の柱をスパッと切断していた。
当たっていたら、と思うと背筋が凍る。
(こりゃ位置取り考えないと後ろが巻き添え食らっちまうな)
「炎の弾丸よ、敵を貫け。ファイアボール!」
ボウっと音を立て火の玉が飛んでいく。
命中するか、と思われたが巨大な剣で弾かれてしまった。
「火力担当さん~!?」
「ファイアボールは速度がいまいちだからね…
でも弾いたってことはおそらくそれなりに効くはずからまずは弱らせて!」
「なるほど了解!ダブルスラ~ッシュ!」
敵の後ろに回り込み、二度斬り付ける。
先ほどよりは深く切り付けられたものの、切断までは至らない。
骨がやけに硬い。カルシウムのおかげ…ではなく、魔力で強化しているのだ。
切り付けられた骸骨はこちらを振りむきながら剣を振り下ろしてきた。
先ほどと違い近すぎるため回避は間に合わない。
あの大きさの剣はちときつそうだが、仕方ないとスモールシールドで迎え撃つ姿勢をとって衝撃に備える。
そして剣が盾と当たる瞬間。
パリィン!
痛みを覚悟したはずが体は無事で、あろうことか巨大な剣をはじき返していた。
その反動で骸骨は大きく態勢を崩している。
「あれっ!?なんか知らんがチャンス!!!ダブルスラッシュ!」
先ほどと同じ場所へ斬り付ける。先ほどの攻撃と合わせて、あと少しで切断できそうだ。
「雷よ、降り注げ…ライトニング!」
ダメージを負い膝をついている骸骨へ、雷の追撃が命中する。
その一撃で片腕が破壊され、剣とともに床に落ちる。
「ヴウウ…」
苦しそうなうめき声をあげる。
「ナ~イス!このまま畳みかけるよ~ん!」
「了解!次詠唱ちょっと長いよ!」
「あいよ~!ダブルスラ…おぉっと」
片腕を落として戦力を削いだかと思われたが、どうやらそうではないらしい。
剣が1本になり身軽になった骸骨は素早い連撃を繰り出し始める。
「こりゃ隙がさっきよりないぜ~
さっきの盾で弾く奴…もう一回やってみるか」
敵の連撃を遠すぎず近すぎずの距離で回避に専念し、タイミングを図る。
そして、骸骨が強力な一撃を放とうと剣を振り上げた。
「今でしょ!」
足を止め、中腰になり盾を構える。
さあ来いっと思い剣が振り下ろされるのを今かと待つ。が、しかし。
バギィ!と嫌な音を立ててスモールシールドが破壊されてしまった。
「いだぁ!!」
盾が緩衝材となったが、左腕に巨大な剣の振り下ろしが直撃してしまった。
服で見えはしないが、おそらく紫色に変色しているだろう。
「ってぇえ~…発動条件があるのか…?っと、そろそろかな」
考えるのは後にして、今はいったん骸骨から距離をとる。
骸骨も連撃し、さらに大技を繰り出したせいか若干隙ができている。
その隙を逃すほどうちの魔法使いは甘くない。
「地獄の炎よ、その業火で敵を打ち滅ぼせ…インフェルノ!!」
骸骨の足元の地面が赤く光りだし、下から巨大な火柱が立ち上った。
ドオーン!と轟音が響く。これ、天井崩れてきたりしないだろうな…
火柱が消えると、黒く焦げた骸骨が現れた。
まだ動くか?と一瞬緊張が走ったが間もなく音を立てて頭蓋骨から崩れだした。
「ふぅ、さすがにダンジョンボス…手ごわかったな~…あいてて」
剣を鞘にしまう際の少しの振動で左腕が痛んだ。
「大丈夫?うわあ痛そう…はい、最後のポーション」
うちの火力担当様が後ろから駆け寄ってくる。
「さんきゅ~。な~に唾つけときゃ治りますよ」
そういいながらポーションの瓶を開け、左腕にかける。
少しだけ痛みがマシになる。すぐに全快とはいかないが、これで数十分もすれば元通りだ。
「ポーションも付けてるけどね。
そういえばさっき骸骨の剣を弾いたあれって、もしかしてペンダントの?」
「おそらく。なぜか2回目は失敗しちゃって御覧のとおりだけど…
回数制限付きとかかな~?」
「うーんどうだろ。まだペンダントから魔力は感じるから効果自体は生きてそうだけど…
ま、それも鑑定士に聞いてみよう。」
「だね。さてさて…お楽しみのダンジョンボス漁りだ!」
分かりやすい文章を心がけています。
かっこよくごつごつとした文章も憧れますが、自分にはハードルが高い…。




