試しに付き合って、最終日。
妹の友達の優梨と1週間試しに付き合う最終日の日、本来なら今日に返事を聞くはずだった、でもそれはきっとない…
「あの子を傷つけないようにフラれようと頑張ったはずなのに結局、傷つけちゃった…」
「あんたは不器用だからね、そうなるのがオチじゃないかと思ってたよ？」
「手厳しくない…？普通は慰めてくれると思うんだけど…？」
「だってあんたが望んでた通りになったんじゃん？現にフラれてるんだから成功でしょう？」
「そっそれはそうだけど…」
「多分、あんたが落ち込んでるのにはもっと別な理由があるんだよ。」
「別の理由…？」
「気づかないうちに本当に好きになってたんじゃない？その優梨って子をさ？」
「えっ…？」
「気持ちに素直になったら。」
「付き合ったらロリコンって思われるじゃん…」
「まぁね、ロリコン確定だね？」
「ゔっ、ほら…？」
「でも本当に好きならロリコンだって思われてもいいじゃん。」
「えっ…？」
「私は応援してやるよ。」
肩をポンと叩いてエールをくれた。
「凛ちゃん…」
−放課後−
「ただいま。」
「お帰り、お姉ちゃん。」
「優梨ちゃんは遊びに…来てるわけないよね…」
「来てるよ。」
「えっ！本当！」
私は慌てて階段を上がり、深呼吸してこないだとは違う覚悟を決めて部屋に入った。すると…
「お帰りなさい、明日香さん。」
「あっうん、ただいま。」
（ 抱きついては来ない…まだ怒ってるのかな…）
「あっあのさ…二日前はごめんね…？
傷つけるようなあんなひどいこと言って…」
「いいですよ。全然、気にしてませんから。」
「そっそう…？許してくれるの…？」
「はい。」
あれっ…？怒ってない…？
「だったらいつもみたいに抱きついてきていいんだよ…？」
「どうしてですか？」
「えっ…？どうしてって…？
今日が試しに付き合って最終日で…」
「私達、付き合ってませんよ。」
「えっ？」
「何を驚いてるんですか、明日香さんから言いましたよね？
私達、ちゃんと付き合ってるわけじゃないって。」
「うっうん、言った…でも私ね！」
「いいんですよ、ちゃんと理解しましたから。」
「理解した…？」
「確かによく考えたらお試しで付き合うって、遊びみたいなものですよね。
明日香さんはきっと小学生の私に少し相手してあげれば満足するだろうって思ってくれた。
要はその気遣いに気づかないで、はしゃいでた私が子供だっただけですから。」
「何それ…」
「明日香さんの優しさは十分、伝わりました。
私と今まで"恋人ごっこ"をしてくれてありがとうございます。
今からは付き合う前みたいに普通に仲良くして…」
「馬鹿みたいじゃん…」
「明日香さん？」
「それじゃあ、試しに付き合って優梨ちゃんが本当に好きになっちゃった私が馬鹿みたいじゃない！」
「えっ…？私を本当に好きになった…？」
「そうだよ！」
「嘘つかないで！この場をどうにかするためのうそに決まってます！
明日香さんはこのお試しの期間、私を好きだって素振り一切、見せてくれてないじゃないですか！」
「それは気持ちを出すのが恥ずかしかったからで…」
「言い訳なんか聞きたくありません！」
「お願い！聞いて！」
「信じられません！」
「わっわかった、だったらこれなら信じてくれる…？」
「えっ…？」
私は彼女の頬にキスをした。
「自分からしたよ、どうかな？」
「そのわからせ方はズルいですよ…」
優梨ちゃんは涙を流した。
「キス嫌だった？」
「嫌だと思いますか…？」
「その顔は思わないかな。」
「本当にズルいです…」
「優梨ちゃん。」
私は後ろから優梨ちゃんを抱きしめた。
「私を本当の彼女にしてくれるんですか…？」
「する。いや、私こそして欲しいかな。」
「してあげます…」
「ありがとう。」
そんな二人の様子を扉を少し開いて見ていた人物がいた。妹の未来だった。
「仲直りしたんだ、よかった。」
相変わらずの鈍感だった。
