試しに付き合って、四日目。
妹の友達の優梨ちゃんと試しに付き合い始めて今日で4日目、昨日も昨日で頬についたケーキのクリームを舐めてとってほしいとかお願いされたり(未来もいたし流石にやらなかったけど。)後ろからハグして欲しいって頼まれたり、フラれるために頑張るどころか翻弄されてばかりだな、もうほとんど優梨ちゃんの独壇場だよ…マジで小悪魔すぎる…
「たっただいま…」
「お帰り、お姉ちゃん。」
「優梨ちゃんはもう来てるの?」
「お姉ちゃんったら、今日は優梨ちゃんは家族とお出掛けする約束してたから遊びに来れないって、昨日、言ってたじゃん。」
「あっ、そうだったね…」
(つい癖で聞いちゃった…)
「お姉ちゃんは本当に優梨ちゃんが大好きなんだね。」
「なっ何で?」
「だって遊びに来ないって分かったら、寂しそうな表情してたよ?」
「私が寂しそうな表情をした…?」
私はそう聞いて戸惑った。
一時的とはいえ、やっとあの子から自由になれたのに私、寂しいと思った…?どうして…?
そんなモヤモヤを誤魔化すように机に向かって、今日習った授業のおさらいを始めた、でもなぜか集中出来ない…
あの子が遊びに来てないだけでいつもより、部屋が静かに感じる…
前はこんなこと考えたこともなかったのに…
「はぁぁ、私、どうしちゃったの…?」
なぜか何のやる気も出ずに腑抜けになっている私はベッドに倒れ込んだ。
「もういい、少し寝よう…」
そしていつの間にか眠ったらしく、私は不思議な夢を見た。
色んな種類の花が綺麗に咲き誇る丘で、遠くから一人の少女が手を振りながら私の名前を呼んでいる。
近づいたらその子は優梨ちゃんだった。
彼女は私の手を握って尋ねた"ずっと恋人で居てくれますか?"と、私はそれに笑顔で…
「お姉ちゃんー!」
「ふにゃっ!?」
「寝てたの?さっきから呼んでたのに?」
「なっ何、どうしたの…?」
「優梨ちゃんから電話来たの。家族と出掛ける前にお姉ちゃんと話がしたいんだってさ。」
「そっそうなんだ、わかった…?」
私は未来からスマホを受け取って電話に出た。
「もしもし…?」
《明日香さんの声だ。》
「あっ当たり前でしょう…? 私が出てるんだから…?」
《聞けて嬉しいです。せっかく恋人関係になれてるのに会えないってすごく寂しかったから。》
「優梨ちゃんも寂しかったんだ…?」
《えっ!それってもしかして明日香さんも!》
「あっいや!今のは!」
《もし私に会えないで寂しいと思ってくれたならこれほど嬉しいことはないです。》
「優梨ちゃん…」
《優梨〜?そろそろ行くわよ〜?》
電話越しから未来ちゃんのお母さんが呼んでるのが聞こえた。
《すみません、もう出掛けるので電話はこのぐらいにしておきます。》
「楽しんで来てね…」
《はい。明日は遊びに行きますから。》
「うん、それじゃあ…」
《あっ待ってください!》
「んっ?何?」
《大事な事をまだ伝えてなかったです!》
「大事な事?」
《明日香さん、大好きです。》
「なっ…」
《電話越しから伝えるの、やってみたかったんです。》
「そっそっか…」
《では。》
電話が切れてスマホは何の音もしてなかったのに私はスマホにずっと握っていた。
「電話終わったの?」
「あっうん、スマホありがとうね。」
「お姉ちゃん、なんか嬉しそうだね。」
「そっそう?」
「さっきとは違って声に元気がある。」
「私的はわからないかな…」
「そうなの?」
そうは言いつつ、不思議と納得している自分がいた。
「まっいっか。お菓子作ったから持ってきてあげるね。」
「あっうん。」
明日香は部屋を出て一階に降りて行った。
「明日香さん、大好きです。か…」