試しに付き合って、二日目。
「未来ちゃんの友達の女の子から告白された!?」
「そうなんだよ…」
妹の友達の優梨ちゃんに告白された次の日の朝。
私は学校で中学の頃から仲良くしている同級生の秋葉凛ちゃんに昨日の出来事を話した。
「それで告白してきたその子を傷つけないように
一週間試しに付き合うことにして、自分がその子にフラれるように頑張ることにしたと…?」
「今よく考えたら、ミスった気がするよぉ…」
「本当にあんたらしいね…?自業自得ってやつだな、こりゃ…?」
「ぐっ、確かにそうだけど、相変わらず手厳しいね?」
「それで付き合い始めて、その子とは何か恋人らしいことでもしたの?」
「手厳しい上にいきなり際どい事聞いてくるね…?」
「元はと言えばあんたから相談してきたんでしょ?教えなさいよ?」
「どうせ話したら、引いたり、からかったりするんでしょ?」
「しないっつーの。」
「本当かな…?」
「いいから?」
「わかったよ…昨日したのは腕組んだり、お互いにお菓子をあーんとか…」
「ふーん、腕組みにお互いお菓子をあーんか。」
「あまり驚かないね…?」
「まぁ、仲いい友達とか家族とかならあり得るんじゃ?」
「そっそうかな?」
「ほかは何もしてないの?」
「あとは彼女の手の甲にキスしたりとか…?」
「なるほどね?」
「それも驚かない…?」
「外国の挨拶とかではあるんじゃない?知らないけど?」
「でっでもその後に私がキスした所にキスしたんだよ!それはどうよ!」
「なっなぜ威張る?」
「だって驚いてくれないから!」
「うーん、確かにそんなことするのは見たことないな?」
「でっでしょう!」
「まぁ、それだけその子が本気だって事じゃ?」
「うっうん、それもそうだね…?」
「あんたが提案したんだし、その一週間の内にフラれるようにしっかり頑張るんだね?」
「わかってるよぉ…というか、同性から告白されたって言っても凛ちゃんってあんまり驚かないんだね?」
「べつに今の世の中だったらあるちゃある話じゃない?」
「そっかな…?これから一週間、どうしたものか、ハァ…」
−放課後−
「ただいま。」
「お帰り、お姉ちゃん。」
「優梨ちゃんは遊びに来てるの…?」
「来てるよ。私はお菓子作るからいつもみたいに先に部屋に行ってもらってる。」
「そっか…」
「まだ出来上がるまで時間かかるから、お姉ちゃん、優梨ちゃんの相手してあげてね。」
「うっうん…」
私は部屋に恐る恐る入った、すると…
「お帰りなさい!」
「ひゃっ!」
彼女は私に抱きついてきた!
「今日もお邪魔してます!」
「いっいらっしゃい…?優梨ちゃんって会う時に抱きついてくる子だったっけ…?」
「恋人同士なら抱きつくぐらいするじゃないですか?」
「昨日、付き合ったばかりなのにすでに距離感がバグりすぎな気がするんだけど…?」
「気にしすぎですよ。さぁ、こっちに来てください?」
「あっはい…」
いつの間にか腕を組まれながら私は彼女に言われるがまま座布団に座った。
(このままだと昨日と同じく彼女に手のひらで踊らされることになっちゃう…何とか空気を変えなきゃ…)
「あっあの、優梨ちゃん…?」
「明日香さん、お願いがあるんですけど。」
「なっ何かな…?」
「手を繋いでもいいですか?」
「ほえっ?いいけど?」
なんだ手を握るだけか、またキスでも要求されるかと思った…?
「わぁい、嬉しい。憧れだった明日香さんと恋人繋ぎが出来る。」
「こっ恋人繋ぎ!?」
「何をそんなに驚いてるんです?
恋人同士で手を繋ぐって言ったら恋人繋ぎですよね?」
「わっわかったよ…」
「やったぁ。ありがとうございます。」
(この子の勢いに完全に押されてる傾向にあるな…私…)
私は彼女と恋人繋ぎをした。
(これやば…恋人繋ぎって…変に意識するようになる…)
「明日香さん、また緊張してますか?」
「どっどうして?」
「顔が赤いですよ。恋人繋ぎぐらいでそんなに緊張することないじゃないですか。」
「だっだって恋人繋ぎなんて初めてだし…それに…」
「それに?」
「思ったよりドキドキする…」
「明日香さん…」
「だっ駄目だー!」
私の羞恥心は限界を超え恋人繋ぎを解いた!
「今日はこれぐらいで勘弁してください…」
「仕方ないですね。今日は初めて繋いだってこともありますから次する時は慣れてくださいね?」
「うっうん…努力するよ…」
あれっ、あれれ、なんか違くない!努力するって何!
私は彼女にフラれるために頑張るじゃなかったの!
「お待ちどおさまー!
今日はカップケーキ作ったよー!」
そして未来、あんたは相変わらず来るのが遅すぎる〜!
もっと早くお菓子作って持ってきてよ〜!
「明日香さん。今日もいいですか。」
「もしかして今日も食べさせ合いっこするの…?」
「そうです。」
「そうですか…」
今日もすっかり彼女の手のひらで踊らされた私だった…
「お姉ちゃん達は本当に仲良しだねぇ。」