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プロローグ。妹の友達に告白された女子高生。

「明日香さんのことが好きです!

 私と付き合ってください!」


「えっ!?」


それは突然だった。私、園咲明日香、15歳の女子高生はよく家に遊びに来ている小学5年生の妹の友達、萌田優梨ちゃんから告白された。


「駄目ですか!」


私の顔に寸前まで近づいた!


「ちょちょっと待って!一旦、ストップ!冷静に!」

「あっ…すみません…感情的になりすぎました…」

「優梨ちゃん…?今のってちゃんと意味分かってて言ってるのかな…?

 付き合うって、つまり恋人になるってことなんだよ…?」

「むぅぅ、そんなの分かってるに決まってるじゃないですか。」

「私達って女の子同士だよ…?」

「それが何ですか!好きならそんなの些細なことです!」


さらにグイグイくる!


「だっだとしても、私なんかのどこがいいの…?

 私って大して美人ってわけでもないし、優梨ちゃんってすっごく可愛くて良い子だから、ほかにもいい人が…」

「私は明日香さんをすっごく美人だと思ってます!」

「そっそうなんだね!ありがとう!」


私、さっきから明日香ちゃんの勢いに押されっぱなしだ!


「さぁ、返事を聞かせてください!」

「って言われても…?」


どう返事したらいいんだ…?付き合えないって言ったら、きっと彼女を傷つけることになるだろうし…

ましてや妹の友達…ここは穏便になるようにしなきゃ…考えろ、考えるんだ…


「あっあのさ…試しに付き合うとかはどうかな…?」

「試しに付き合うですか?」

「あっうん…期間は今日から一週間ぐらいで…?

きっと付き合ってみたら、私があなたに相応しくない女か、わかるはずだから…?」


とっさに思いついたにしてはいい案だ!

私は彼女に全力でフラれるように努力する!

それなら彼女が傷つくことはないはず!


「じゃあ、一週間過ぎても私が明日香さんを好きだったらそのまま付き合ってくれるってことですよね!」

「えっ!そっそれは…」


まさかそんな落とし穴があったとは、迂闊だった…


「違うんですか?」


これで違うって言ったら、話の辻褄が合わなくなるし…仕方ない…


「そうだね、付き合います…」


「やったぁ!それなら明日香さんの提案に乗ります!」

「そっそれはよかった…」


べつに彼女が嫌いで絶対に付き合いたくないわけではない、可愛くて良い子だし…

でも私は高校生で優梨ちゃんはまだ小学生、こんな年下の子に手を出したと周りに思われたら…ゴクリッ…想像しただけで、背筋が冷えてくる…


「明日香さん。」

「えっ?」


彼女は腕を組んで寄り添ってきた!


「なっなんで腕組んでくるの!?」

「だってお試しとはいえ、今日から恋人同士ですよ?このぐらい恋人同士だったら普通じゃないですか、違いますか?」

「そっそうだね…」

「うふふ、ずっとこうしてみたかったんです。」

「あはは…」


まさか初っ端からこんなに積極的に来るとは…?

もしかして私、まんまとこの子の手のひらで踊らされてるとかじゃないよね…?


「優梨ちゃん、お姉ちゃんー!

 お待ちどおさまー!クッキー出来たよー!」


するとバッドタイミングで妹が手作りクッキーを持って部屋に来た。


「あっえっとこれはね!」

「お姉ちゃん達、仲が良いんだね。」

「ふふん、そうだよ。」

「えっ?あっうん…」


そっそうか、ただ腕組してるだけだもんね…ただ仲良くしてるように見られたか、よかった…


「それよりクッキー食べて!」

「ありがとう。」

「頂くね…」


妹の未来は料理下手の私と違ってお菓子やご飯を作るのが得意なのだ。

というか、もっと早く作って持って来てよぉ…?


「どう?美味しい?」

「うん、美味しい!」

「よかった。お姉ちゃんはどう?」

「あっえっ!美味しいよ!」

「何〜?その慌てた表情は〜?

 本当に美味しいと思ってる?」

「本当に思ってるってば…」

「本当かなぁ?」

「未来ちゃんはきっと将来、素敵なお嫁さんになれるね。」

「えへへ、そうかな…」


そこまで褒めるならなぜ妹を選ばないんだ!と頭の中でツッコミした!すると!


「明日香さん。」

「えっ?」

「ほら。あ〜ん。」

「なっ何してるの!?」

「だって恋人同士ならあ〜んって食べさせてあげたりするんじゃないですか?」


わざわざ私の耳元で小声で話した。


「違いますか?」

「あっあの…こればっかりは…」


いくら何でも妹の前であ〜んは恥ずかしすぎる!

というか流石にそんなことしたら怪しまれるってば!


「グスッ、ひどい、私からあ〜んってされるのは嫌ですか?」


うるうるな瞳で問いかけてきた。


「そっそういうわけじゃなくて…?」

「じゃあ。」

「でっでも…?」

「べつにいいじゃん。食べさせてあげたいって言ってるんだし、させてあげなよ。」

「えっ!?未来、あんた意味わかって言っているの!?」

「食べさせてあげたいぐらい優梨ちゃんはお姉ちゃんが大好きなんでしょ?

 そんなに二人が仲が良かったなんて知らなかったけど妹として嬉しい限りだよ。」


あっそうだった、すっかり忘れてた…

この子は超がつくほど鈍感だったや…


「ありがとう。未来ちゃん。やらせてくれますか?」

「わっわかったよ…」

「やったぁ。それじゃあ、あ〜ん。」


もうなるようになれ!と近づいてきたクッキーをパクッと食べた!


「美味しいですか?」

「さっきも言ったじゃん…美味しいってば…」

「お姉ちゃんってば、照れちゃって可愛い。」

「うっうるさい!」


何のこの恥ずかしい状況は〜!穴があったら入りたい気分だよぉ〜!


「じゃあ、次は明日香さんお願い出来ますか?」

「まっまさか?」

「今度は私にあ〜んをしてくれたらさらに嬉しいなぁ。」

「一度だけね…?」

「はーい。」

「あっあーん…」


私は彼女にクッキーを食べさせた。


「さっきより美味しく感じます。」

「それはよかったね…」

「そうなの?私もあ〜んして、お姉ちゃん!」

「はいはい。」

「駄目ですっ!!」

「えっ!」

「それは私達だけの特別にしてください?いいですね?」

「でっでも妹だし…?」

「妹でも駄目です!特別は特別なんです!」

「わかったよ…」


まさか妹に食べせてあげようとしただけでも嫉妬してくるとは…?


「本当に二人って仲が良いね。」

「まぁね。」

「あはは…」


あの未来さん…?あんたはどうしてここまで見てて、気づかないんだ…?

鈍感すぎるにもほどがあるでしょ…?

しかしだ、未来が来てくれて助かった。お菓子を食べた後は雑談をしたり、テレビゲームを一緒にやったりして三人で遊んだから、優梨ちゃんはさっきみたいな過激な要求はして来なかったからだ。まぁ、腕組みはずっとしてたんだけどね…?そして時間が過ぎて…


「あっもう門限の時間だ、帰らなくちゃ。」

「お母さんが今日も家に送ってくれるって言ってたよ。」

「ありがとう、いつもわるいね。」

「いいってことよ。

 お母さん呼んでくるからちょっと待っててね。」

「はーい。」


未来は部屋を出てお母さんを呼びに行った。


(ふぅ…やっと解放される…)


「明日香さん。」

「なっ何?」

「今日は本当にありがとうございました。

 私の人生史上、最高の一日になりました。」

「あっうん…?」


優梨ちゃんって純粋で良い子なんだよね…少しでも小悪魔だと思ったのは気のせいかな…?


「それで帰る前に。」

「えっ?」

「ここに帰りのチュウしてくれてもいいんですよ?」


優梨ちゃんは自分の唇に人差し指を向けた。


「なっなっなっ何を言ってるの!子供にキスは早いでしょ!」

「むぅぅ、また子供扱いして、それだったら手にならどうですか?」

「手になら…」


私は目を瞑り、彼女の手の甲に軽くキスをした。


「満足した…?」

「はい…そしてこれで…」

「なっ!」


私がキスをした所にキスをした。


「これで間接キス…なんちゃって…」


かっ可愛いと思ってしまった…


「優梨ちゃんー!送るから降りてきてー!」


下の階から未来が呼んでいた。


「はーい!それじゃあ、明日も遊びに来ますから。」

「うっうん…」


彼女は微笑んだら部屋を出た。


「明日もか…って!何、少しときめいてるの私!

 そうじゃないでしょ!フラれるために試しに付き合ったはずなのに!

 こっこれじゃあ、本末転倒だよぉ〜!」


フラれるために試しに付き合って、最初の一日目。

まだ始まったばかりなのに前途多難を感じた。


「私、どうなっちゃうの〜!」




女子高生と小学生の女の子の百合です。お楽しみください。

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