爛々疾病
もうよるだ、
いたい、いたい、シンクの銀。
欺瞞の月光、
あわく、あわく、めを焦がしてく。
真っ暗いせかいに、
くすりは、
あまりにもしろい。
しろく、しろく、
虚ろなかおいろ。
呑んでも、呑んでも、
オブラートは息を止め、
あがいても、あがいても、
うつくしい漆黒。
《二時十四分
缶詰のミカンが
しみる
さみしい
ひとり》
の走り書き。
鬱屈とした高揚感。
いいかえれば、
くるしく、たのしい。
にがくて、あまい。
なぜだろう、
病めるまえより
四肢がかるくて。
あつい、さむい、
さむく、あつくて、
体温計が鳴っている。
軽率すぎる、
電子音のしらべ。