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始まりの召喚

 眠りから覚めるような感覚で、僕はゆっくりと目を瞬く。


 ……ここ、どこだろう。整った顔立ちの男たちが半円状に座り僕に相対していた。


 意味がわからない。僕の脳裏を様々な言葉がよぎった。誘拐、内蔵売買、拉致……いや拉致はないか。ゴツいおじさんじゃなくてイケメンだもん。


 ゴホン、と中央に座るイケメンがわざとらしく咳をした。


「さて、これで契約は成立だね」


「え?」


「いや、よかったよかった」


「これで世界は安泰だ」


 周囲の男たちがわざとらしい棒読みで追従している。


 あたりを見回してみても目に映るのは黒いモヤだけだ。


 意味がわからない。


「えっと、なんのことですか?」


 なんとなく、なんとなくだけど嫌な予感がして来た僕は愛想笑いを維持しながら聞いてみたら。


「君の同意の元転生させまーす」


「は?」


 転生ってあの?あれですか?賢い者の孫になってアルティメットマジシャンズとか言ってヘラヘラしてるだけで富と名誉が入ってくるあれ? 


「そうそう。その転生だよ」


 語尾にハートマークが付きそうな声もイケメンがやると魅力的に見えるから世の中不公平だ。


 もし僕が同じことをしたらファブリーズをかけられること請け合い。


「あの、理由を聞いてもいいでしょうか」


「ああ!そうだね僕としたことが忘れていたよ」


 芝居がかっていて気持ちの悪い男の仕草も顔により「気持ち悪い」から「恐ろしい」にランクアップする。頼むから、イケメン、禿げろ。


 口々に側の男たちが話し始める。


「神々が召喚した勇者達のせいで世界からは負のエネルギーが減るばかり。我々の信徒である人間や魔族も数を減らすばかりだ」


 勇者、異世界、信徒、魔族……ふむふむ。


 すると他のイケメンも口を開く。


「魔王がちょと強いからって裏技つかいすぎ!」


「この世界の人間を使うならともかく、異世界人はずるいだろ!チートは使い過ぎるとつまんないだけだ!」


「この世界のバランスをなんだと思ってるんだ!」


 ふむふむ素晴らしい。全く意味がわからない。


 じっとりとした汗が背中を流れている気分だった。残念ながら僕の背中は現在感覚がないので実際に流すことはできないけど。感覚ないのかよ。


「それで?」


 答えるのは先ほどのイケメンだ。


 ものすごいドヤァ顔。ドヤではなくドヤァだ。控えめに言って殴りたくなる。


「ゆえに我々邪神も召喚をすることにしたのだ!」


「君には瘴気を撒き散らし、負の感情を増やすことで、我々に協力してほしい。」


 あっ邪神だったのね。って流させないぞ。通りで怪しい顔つきだと思った。


 協力して欲しいと言われてはいそうですか、と承諾すると本気で思っているのか。


 ストックホルム症候群になるには拘束時間が短すぎる。


「つまり何をしろと?」


 反感を胸に抱きつつも、咄嗟に口をついたのは拒否ではなく疑問。情けない言葉だった。


「取り敢えず、生きてるだけで瘴気は溜まるから死なない事を第一目標に強くなってくれ」


 最初に話していなかった邪神が答えた。


 取り敢えずってなんだよ取り敢えずって。気楽に転生させてんじゃねぇよ。


「まぁ記憶は戻るようにしておくし、ある程度の知識は与えるから」


「と言う訳なのでまぁとりあえず頑張れ」


 邪神がそう言うと、手を振り始める。

それに伴い、僕の意識は沈んで行った。


「いや、ちょおーい!」





「いやー行ったな」


 召喚した男が消えると邪神達は話を再開した。


「どーなるかな?」

「ていうかあいつ生きられるの?」


 モブ邪神と呼ばれた邪神達の疑問に、リーダー邪神が答える。


「元の性格はどうあれ、あの憎しみはホンモノだ」


「あれなあれは良かったわー」


「心地いい憎しみだったな。」


 それに、とリーダー邪神は続ける。


「はっきり言って加護は与えたけど、呼んだのも、恩恵も、神の魔力を流用したから、いいんじゃね?別に」


「悪いなお前」


「最低だ」


「よせよお前ら照れるだろ?」


 そう、彼らは邪神である。

 だから悪い、最低と言った言葉はむしろ褒め言葉なのだ。

 つくづく業の深いやつらである。

 脱線しかけた話を戻すように、モブ邪神の一人が口を開く。


「いや、でも神と俺らの恩恵を、全てあれに回すとわ思い切ったなー」


「それな!初手で死んだら大損じゃん」


 その言葉を受けてリーダー邪神が言った。


「仕方ないだろ、あいつら神(笑)の召喚した勇者(笑)に対抗するには、それしかないだから!」


「それもそうだな、結局少し見ているしかないか。」


「ま、楽しみにするしかないか!」


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