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第一話 決意

第一話です。ちょっと前より長いかもです

前略、お父様、お母様。ぼくはどうやら、桃太郎になってしまったみたいです。


川で拾われてから、5年の時が過ぎた。

元の世界に戻りたいが、赤ちゃんだとどうにもならなかったのでとりあえず二度目の人生を謳歌している最中である。

人があまり住んでいない小さな村ではあるけど、一応友達もできた。向こうでは友達ゼロだった俺にも、ちゃんと友達ができて嬉しい今日このごろ。

そして、今日はその友達と山で遊ぶ予定なのだ。

「おっと、おじいちゃんに報告しなきゃ」

慌てておじいちゃんを探す。この家は宿をやっていて、結構家が広く、さがすのがちょっと大変だった。


おじいちゃんは、外で木刀を降っていた。

御年72歳だというのに、随分とまぁ元気なことである。

というか、元気なのはおじいちゃんだけではない。

この村の男衆は、やけにムキムキなのである。

ボディビルダーかよお前ら、ってくらいムキムキなのである。おっと、今はそんなことを考えてる場合じゃなかった。「おじいちゃん!今日は山に行って友達と遊んでくるね!」フッフッフ、俺のショタムーブもだいぶ板についてきた頃だろう。

「ダメだ!」


怒られた。ぴえん。

なかなか大声を出さない人なのでちょっとビクッとしてしまった。

恐る恐る聞いてみる。「ど…どうして?」

「山は危ないんじゃ。」おじいちゃんは厳格にそう答える。「他にいいところがある。友達とはそこで遊ぶといい。」と、おじいちゃんは俺を川に連れて行った。

その川はとてもキレイで、友達と楽しくちゃぷちゃぷして遊んだ。

その日の帰り道。友達ロリを家に送っていった俺は、あるものを目撃してしまった。友達の家の庭で、その子のお父さんが奇々怪々な動きをしているのである。

岩を頭の上に掲げ、肘と膝を曲げながらバネのように縦に伸び縮みしている。

「な…何してるんですか…?」と聞くと、まさかの答えが帰ってきた。

「あぁ、ッシュッ! これかい?こうする事で ッシュッ!体を鍛えているんだッシュッ!」

途中の意味不な声は、おじさんが発する掛け声である。

ちょっと耳を疑うようなことだったので、現代で行われている筋トレのやり方を教えてあげた。

すると、「な…なんて素晴らしいやり方なんだ!ぜひ、明日の村集会で男衆に教えてやってくれ!」と、懇願されてしまった。

とりあえずokしたが、ちょっとめんどくさいなぁと思った。

しかし、転生してから初の現代知識無双が筋トレとは…ちょっとやだな。


次の日。男衆に筋トレのやり方を教えた俺は、完全にやらかしたことを理解した。

男衆はなんと、俺を村公式の筋トレ講師に任命してしまったのである。

必死に断ったが、押し寄せるムキムキのプレッシャーに耐えられず、つい承諾してしまった。




そして、筋トレに励み続けた結果。

16歳の夏、俺はムキムキになっていた。


11年筋トレを続けるのはキツかった。本当の本当にキツかった。しかし、筋肉に愛着が湧いたのも事実である。今日は大腿四頭筋の調子がいいな、とか考えていたある日。


下宿に来ていた人が、こんなことを言っていた。


「近頃、都で『鬼』が暴れているらしい…都の宝も、ほとんど略奪されてしまったそうだ。」

そんな話を聞き、俺は自分が桃太郎であることを思い出した。

その日の夜。俺はじいちゃんとばぁちゃんにこんな話をした。

「じいちゃん、ばぁちゃん。俺は都を荒らし、人々を傷つける鬼が許せない。退治してくるよ。」その話を聞いた二人は、涙を流し、俺を称えてくれた。

じいちゃんは家宝の武具を取ってくるといい、

ばぁちゃんはきび団子を作っておくと言ってくれた。 俺は旅の食料を取らないとな、と思い、魚を釣りに行く準備をして寝た。

翌朝。俺は、釣りをしに川へ来ていた。


さて、ここで一つ質問がある。

現代育ちの若者が、たとえムキムキになったとはいえ屈強な鬼の大群を相手に畜生三匹を引き連れたところで勝てると思いますか?


答えはNOである。


と、いうわけで俺には最初から鬼退治に行く考えはないのである。

きびだんごをもらったら、動物たちとまったりと日本中を旅しようと思っている。

理由は一つ。筋トレ地獄に嫌気が差したからである。

「魚いっぱい釣れたし、そろそろ帰るか。」

そう思い、村の方に体を向けたとき立った。

村から、何本もの煙の柱が立っていた。

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