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武器屋の勇者様 ~ 祝福を受けたハズの女子高生の空回り奮闘記  作者: 61
5章:王子様の道具 ~勇者にならないために~
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2人と1頭

--2人と1頭--


あらすじ:ドラゴンの部屋に閉じ込められた。

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「なあ、どうするよ。」


王子様が弱気な発言をする。


ブレスを吐くほど凶暴なドラゴンの居る部屋に閉じ込められたけど、ゆったりと相談できるのは女神様印の魔道具、神馬オラシオンのおかげだ。


パカラン、パカラン。


オラシオンは元気に走っている。


私の操作が良かったからかオラシオンのおかげか、いきなり突き上がって来た壁にぶつかることはなかった。


いや、どう考えてもオラシオンのおかげだよね。


止まろうとするとドラゴンが攻撃を仕掛けて来るので、ずっとオラシオンを走らせたままだ。


速足でドラゴンの周りをグルグル回っている。


その度にドラゴンが動いて首をこちらに向けては威嚇(いかく)してくる。


たまにブレスを吐きそうな構えをするけど、その時にはオラシオンを操って最短距離を逃げる。


目が回ってくれないかな。


くるくる回って目が回ってくれれば一番楽なんだけど。


パカラン、パカラン。


「どう考えても。逃げられないよね。」


扉を塞いだ壁は分厚くて簡単に壊れそうにない。


壊そうとしてもドラゴンンに後ろから攻撃されてしまいそうだ。


「戦って勝たなきゃならないのだよな。たった2人で。」


今までの攻略でほとんど戦闘に加わらなかった2人で。


「そうなるのよね。」


オラシオンが居るからしばらくは逃げていられるけど、そのうち彼の魔力も尽きてしまう。


いくら女神様印だとは言え、オラシオンは魔石を魔力に変えて走っているのだ。手持ちの魔石にも限りがある。


「勝ち目は有るのか?」


王子様がすがるような目で見てくる。


「いくつか考えていたけど、状況が変わったから安全とは言い切れないよ。」


話し合いで解決しようとしていたとはいえ、ドラゴン退治なんて面白そうな話があったのだ。


ベッドの中でどうやったら倒せるか考えてみていた。


1番有力だったのはこの部屋に爆弾を仕掛けて逃げる事だった。仕掛けたら入り口を閉じるか、転移の魔方陣で逃げる。広いとはいえ限りのある空間だ。爆発する力は逃げ場が無いので、この空間を蹂躙(じゅうりん)するだろう。


爆弾は試作を成功させていたし、この部屋から逃げてしまえば多少やり過ぎても安全は確保できる。爆弾はイザと言う時の為にオラシオンにも乗せてある。


転移の魔法陣で5階の村まで逃げればもっと安全だしね。


だけど、今この閉鎖空間で爆発させてしまえばドラゴンよりも先に逃げ場のない私達が死ぬかもしれない。


パカラン、パカラン。


爆発にオラシオンのバリアが持つのだろうか?女神様印がから大丈夫かもしれないけど、賭け事は出来れば最後の手段にしたい。


もう死にたく無いし。


「この間のカマイタチとやらはどうだ?」


「そうね、ダメ元でやって見ようか。そこの剣を取って。」


ドラゴンを刺激するのもどうかと思いまだ試していない。


『ぼくのかんがえたさいきょうのぶき』が王子様が邪魔で取れないのも有ったけど。


「おう、なんだ結構重いな。」


とか言いつつあまり重そうな仕草をしない。


オラシオンのお尻に(くく)り付けた大剣を、アッサリと手渡して来る。


座ったままだと力が入らないと思うのだけどね。


「意外と力持ちね。」


「意外とは余計だ。お前に負けるわけにはいかないだろう。」


素直に誉めたのに。


気を取り直してオラシオンをドラゴンに特攻させながら大剣の魔方陣を作動させる。ドラゴンもブレスを吐く構えを取る。


「カマイタチ!」


ズドン。


先制には成功したカマイタチは大きな音をさせたけれど、ドラゴンに当たる前に弾かれてしまった。


その後に吐き散らかされるドラゴンブレスはオラシオンの通った後を焦がすだけにとどまった。


パカラン、パカラン、パカラン。


ドラゴンの周りを周回するコースに戻る。


「オラシオンみたいにバリアを張っているのかな。直接当たらなかったよね?」


「インディジアの勇者がドラゴンを倒した時は弓矢が届く前に弾かれたと聞く。翼で風を送っていたと言う説が有力だったが、障壁を張っていたんだな。」


「早く言いなさいよ、そう言う情報は!どんな話よ!?」


「ん、知らんのか?その昔インディジアと言う国で女神から予言が成された。近い内にダンジョンが溢れ…。」


「要点だけで!」


したり顔で解説をしようとする王子様にイラッとした。長々と話している場合でも無いでしょ。


「せっかちだな。まあ、勇者が聖なる鎧、盾、剣を(まと)ってドラゴンを退治したと言う話だ。その鎧は霧を生み出し身を隠し、その盾はドラゴンのブレスから身を護り、その剣は炎を纏ってドラゴンの身を切り裂いた。その時、一緒に居たヤツ等が矢を射ったけど届きもしなかったって話だ。ドラゴンを恐れて射程の外から射かけたとか、ドラゴンの翼で風を起こしたとか、後になっての論争だ。」


「役に立たない情報ね。」


「他の国に伝わる昔話だからな。」


「んじゃ、その昔話通り次は切って見ましょう!」


「その大剣は聖剣なのか?炎を剣身に(まと)えるとか?」


「街の加治屋が打ったモノよ。他に無いでしょ?」


「いや、嘘だろ?」


「オラシオン!駆け足!」



王子様の言葉を無視してオラシオンを走らせた。



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次回:ぼくのかんがえた最強の『特攻』



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