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武器屋の勇者様 ~ 祝福を受けたハズの女子高生の空回り奮闘記  作者: 61
5章:王子様の道具 ~勇者にならないために~
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戦闘準備

--戦闘準備--


あらすじ:風の魔法が使い勝手が良かった。

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いつも通り、『猫の帽子屋』で朝を迎える。すでに秋になりかけている。


毛皮のベッドから出て浄化の魔法を使うのも慣れた。


最近はトイレに行くのが億劫(おっくう)で困る。そもそも、なんでトイレが有るのだろう?とまで思ってしまう。


「魔法が有ればトイレ要らなくない?」


「スライムが森や畑の恵みを豊かにしてくれるんだよ。」


朝食の時にミル君に聞いてみると諭された。さすがミル君。


そう言えば森に行ってた時は良くスライムに、おまじないをしてたっけ。


「森の恵が増えますように」ってね。


リビングに降りるとコレットさんが朝食の準備をしている。私達がダンジョンに行くようになっても安定してて、毎日のコレットさんの行動には変わりがない。


例のコレットさんファンとも相変わらずだけどね。


朝ごはんを作って、店番をして、昼を食べたら仕入れと買い出しに行く。どこかでティータイムを楽しんだら、夕飯を作って優しく迎え入れてくれる。


私とミル君がバタバタとダンジョンに来ているから安定したコレットさんが居ると安心する。


ただ、そこに、必ず居る安心感。なんか、お母さんみたいだ。


お母さんなんだけどね。ミル君の。


パンとスープの朝ごはんを食べると、ミル君と大きな荷物を持ってダンジョンに向かう。


冒険者ギルドのおねぇさんとホットドックを売っているパン屋姉妹に挨拶してダンジョンに入ると、年間パスポートを使って転移の魔方陣を通る。代金は王子様が出してくれている。


「おっはよーございまーす!『猫の帽子屋』でーす!武器の修理や、備品の補充は有りませんかー!」


5階の村の広場に着くと大声で一言かける。広場には準備体操をしたり、装備の確認をしている人がチラホラ居て挨拶を返してくれる。


最初の頃は、しばらく営業とかしていたけれど、駐在する人たちとはだいたい顔見知りなったので、最初の1声だけかけて王子様のお屋敷に直行する。


必要なら後から声がかけられるし、あまり何度も大声を出すと、王子様から「うるさい」と怒られる。


ミル君は、昨日預かった武器を持って配達に行くので、しばらくお別れだ。


彼は兵士や冒険者から武器や防具を預かって、手入れや補修をする。


店番をコレットさんと交代するまでの時間が空けば、加治屋のゴルドさんの手伝いをしながら鍛治を教えてもらっている。


がんばり屋さんだ。


「おはようございます。矢の追加持ってきましたよ。」


開発室に入ると王子様とご子息様が居る。最近は入り(びた)っている。


なんのために会議室を作ったんだろう。


「おはよう。助かる。」


「おはよう。空を飛ぶ敵にはやっぱり弓矢だね。1班の誰かに伝えてくれ。」


ご子息様が部屋に居た侍女さんに声をかけると、侍女さんはとたとたと駆けていく。


ダンジョン24階の階段の守護者は大鷲(おおわし)だった。


昨日の内に発見されて作戦会議が開かれている。


今回は特に大した対策が無い。


何せダンジョンの空には限りが有るからね、矢の届く範囲の1.5倍くらいの高さに天井がある。


だから大鷲はせっかくの羽根をフル活用できないので、逃げ場が少ない。


矢が届かなくなっても大鷲を見失う事が無くなるからね。


砂のトンネルをあちこちに設置してトンネルの影から矢を仕掛ける作戦だ。降りてきたら皆で一斉攻撃をする予定。


ちなみに、私が持って来た矢はコレットさん製で、彼女が店番をしながらチマチマ組み立ててくれている。


「次はどんな階だろうね?」


「わからん。だが、そろそろ王都に戻らねばならん。そろそろ終わってくれれば良いのだが。」


「帰るんだ?」


「冬になるからな。流石に新年の会には出ねばなるまい。


何だかんだで半年以上が過ぎている。王子様の仕事とか大丈夫だろうか?


「僕も家族総出で王都に行かなきゃね。」


そう言えば、領主様ご家族は去年も秋祭りが終わってから王都に出掛けて行ったっけ。


税金を徴収(ちょうしゅう)して、王都に持って行って、王様に新年の挨拶をする。


そして、社交界がある。


「冬の間はダンジョンの攻略はお休み?」


「そうなるな。と言うか、お前も行くんだよ。オヤジから呼び出しがかかってる。」


「聞いてないよ!私が行っても意味ないじゃん。」


「今言った。冬の社交界で貴族と外国の奴等が集まるから、そこでおまえを紹介したいんだとよ。招待状が昨日届いた。ダンジョンを攻略するための魔道具の実績あるし、オマエにとっても顔(つな)ぎになるから利は有るんじゃないか?」


「ホアード様が全部断ってくれれば良いんだけど。正直、面倒くさい。マナーなんて覚えきれないよ。」


「マナーなんて覚えてたのか?」


最近は王子様相手でも、丁寧な言葉はぜんぜん使っていない。


王子様に笑われているとノックの後に、扉が開いて隊長さんが入ってきた。


「ご歓談中失礼します。殿下、そろそろ出発の号令をよろしいですか?。」


「ん、もう集まっていたのか。悪いな。行くぞ!」


「はい。」


朝礼の時間だ。今日は大鷲退治で気合いも入る。



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次回:『大鷲』退治の観戦



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