ボンベ
--ボンベ--
あらすじ:気圧の実験をした。
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ボンベ、それは空気を圧縮してスチール缶に詰めたもの。単純な物だ。
問題はボンベから空気を出して口に一定の圧力で送り出す仕組みだ。さっぱり解らない。
風船を膨らませて口を開けば勢い良く空気が流れてしまう。最後の方は勢いが弱くなってしまう。
口を小さくするだけで出来るかな?
いや、風の魔法で操れればもっと簡単かも。
と言うか、風の魔法で空気を産み出したりできるのかな?
土の魔法は近くに素となる物質が必要だったけど、水の魔法は気にした事がないな。
風の魔法で空気が作れれば、魔道具をマスクに組み込むだけですむからで楽なんだけどな。
とりあえず実験しよう。
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すみません、生意気言いました簡単じゃ無かったです。作れませんでした。ボンベ。
ゴルドさんが作ったボンベに風の魔道具で空気を入れると、あちこちから空気が漏れてしまった。
土の魔法で漏れた所を1つずつ穴埋めしていったんだけど、最後はボカン!爆発しました。
技術格差って凄い。
ボンベを作るための平たい鉄板を丸めるのも一苦労だし、もちろん球形にもできなかった。
スッゴい苦労したのに。加治屋のゴルドさんが。
トンテンカン、トンテンカンと金槌を古い続け、出来た物を大きな炉に入れて土の魔法でくっつけて。ゴルドさんが頑張っていた。
せっかくミル君も活躍したのに。残念。
ちなみに、最近の空いた時間にミル君はゴルドさんに鍛治を教わっている。忘れ去られているけど、『猫の帽子屋』にはコレットさんの旦那さんの小さな工房がくっついている。そこを再開できるように頑張っているのだ。
一生懸命に金槌を振るミル君は見てて飽きない。ミル君の汗が飛んでキラキラ光ってるの。汗が炉に飛んでジュワッとか言うんだよ。ジュワッ。
見ているだけで、元気になれるんだよ。
さて、次に試したのが魔道具で空気を生み出させることだ。
ボンベは空気をたくさん詰めて圧力をかけて爆発したんだから、少しずつ空気を発生させてしまえば、圧力がかからないから革袋でもなんとかなると思ったんだ。
結果として、5階の村で試した時は上手く行ったけど、24階では効率が悪くなった。
やっぱり、素材となる空気が少ないと効率が悪くなるみたいだ。
1人か2人だと良いけれど、2つの班で30人近い兵士と冒険者の数がいるとちょっと足りない気がする。
24階で使うと、いつもより早く息が切れてしまう。
思い付きで風の結界の魔道具を作ってみた。
10階で空気を切り球状に切り取って、そのまま転移の魔法陣で24階に行く。
丸いボールに人が入った感じかな。
上手く行った。
やっぱりこの世界の魔法の神様は中二病だと思う。
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風の魔法を試している時に、もう2つ魔道具を作った。どちらも風の魔法を使っている。
ひとつは、2段ジャンプの靴の改良。
2段ジャンプとは言うけれど、実は何段でも飛べる。魔力を流した時だけ足元の空気を操作して、体を押し上げるという形をとっているからだ。
3段4段と飛んでも良いんだけど、飛び上がったら落ちるだけなんだよね。落下ダメージ無効とか無いと怖くて出来ない。
背の高いオラシオンにカッコよく乗るために作った魔道具だったんだけど、最近オラシオンに乗る機会が増えたので、靴にはめている魔石がよく魔力切れしてしまうようになった。
魔石の魔力が切れて、オラシオンによじ登るのはカッコ悪いので、魔石を3つの魔晶石に変えて魔力が切れにくくした。魔晶石の方が魔力がたくさん詰まっているんだ。
もうひとつは、攻撃魔法の杖が出来た。
真空衝撃波。通称カマイタチ。
何で、思いつかなかったのかな、これなら大きな力は要らなかった。ちょっと殺傷能力が高すぎるけど。
カマイタチの杖とスタンロッドの杖と合わせて、やっと、『ぼくのかんがえたさいきょうのぶき』が完成した。
名付けて、『風雷剣』…ありきたりかな。
『嵐の大剣』…雨が無い。
よし、電撃が通りやすいように、塩水をばらまけるようにしよう。
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私が風の結解の魔道具を作っている間にも、24階には兵士の人が駐在していた。
オラシオンのバリアの中で、拠点を作ったりモンスターを観察したりしてる。
見通しが良いので望遠鏡と双眼鏡を作って渡してある。ガラスが自在に作れるからね。簡単だった。
「これが、ボンベか?」
「ボンベは作れなかったので、風の結解の魔道具を作りました。」
「結解?」
王子様に渡したのは、もっと改良を加えた物だった。活動時間が短かったので空気生成の魔道具と組み合わせてみた。
形は迷ったけど、ウエストポーチ型にした。体の前後に動かせるし、ここが一番邪魔にならなくて、魔石の交換が楽なんだよね。
「ええ、体のまわりに球状の結界が張られます。オラシオンのバリア見たいな感じですね。ただ、オラシオンのものより性能は悪くて、風の影響を受けやすかったり、モンスターが入ってきたりしてしまいます。」
21階の吹雪の中で風の結界の魔道具を作動させたら面白いように飛んで行った。バビューンだ。
帰るのに苦労した。
吹雪の中で独り寂しく穴を掘って吹雪をやり過ごし、3日くらいさ迷った。
21階の攻略が楽になるかな、程度の気楽な考えでテストしてしまったのでロクな装備も無かったし。魔法が無ければ死んでいた。
いつも通り、雪で作ったオクサレ様も反応しなかったし。
モンスターが入って来る仕様は狩りの時には楽だった。イチイチ結界を解除しなくていい。雪狼はいろいろ使えて便利だった。あんまり美味しくなかったけど。
「21階の話は聞いている。大変だったな。」
「ありがとう。腰に巻いてスイッチを入れてください。魔力結晶の魔力を使いだすので2時間ほど動きます。」
「皆、解ったな。24階は1時間半交代を基本とする。1時間進んだら、30分で仮設基地を作り交代だ。」
いつもながらに攻略の時は慎重なんだよね。
「おう!」
これから向かう24階はゴツゴツした岩場になっている。
今までのように馬車やソリが使えない。転移の魔方陣は御神輿のように担いで進む。それが2基。
駐在していた兵士の人によって鳥型とトカゲのモンスターなんかが確認されている。
見通しの良い24階では1班も2班も鳥のモンスターの攻撃対象になりやすいので、攻略班の人数が増えている。
空気が薄いからか、寒い。
皆が毛皮の装備を身に付けている。
「行くぞ!」
「おお!」
兵士の人も冒険者の人も一丸となって24階を進んでいく。
今度は置いて行くなよ。
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次回:今日も長閑な『戦闘準備』




