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武器屋の勇者様 ~ 祝福を受けたハズの女子高生の空回り奮闘記  作者: 61
5章:王子様の道具 ~勇者にならないために~
75/93

対策会議

あらすじとサブタイトルを変えました。


昨日みたいな1話飛ばしじゃありません。

--対策会議--


あらすじ:21階に着いた。

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21階の吹雪は攻略班に任せた。その間に次の対策を立てなければならない。


砂嵐。


吹雪とは違い、砂嵐は途切れるのを見た事が無いと冒険者達は言っていた。


マスクで緩和(かんわ)出来るとは言え、吹雪の中での視界の悪さは改善出来なかった。白い闇の中をびくびくしながら進まなきゃならない。


次は22階の砂嵐の中で、今度は黄色い視界になってしまうだけだ。


そして、雪とは違って砂は痛そうだ。


砂を吹き付けてガラスに絵を書くなんて事が出来るからね。


そんな中で攻略隊のみんなはどう対処するのだろう。吹雪と同じ装備で大丈夫なのかな。


毛皮の装備で果たして砂を防げるのだろうか?


極寒の吹雪の中じゃないから暑いのではないのか?


少なくとも、もうちょっと広い視界が欲しい。


私にダンジョンの狩りを見せてくれた冒険者のミュハエルさんだって、相手が見えていたからギリギリで(かわ)せていたと思うんだよね。


目の前にいきなりモンスターが現れてしまったら、避ける暇もなく怪我を負ってしまうんじゃないかな。


今度こそオラシオンで駆け抜けるのが簡単かも知れない。いや、簡単だよね。


野営の時ほど広くはないけど、走っている時も風や雨を弾くバリアが働くし、視界が悪くてもフィオちゃんのナビが有ればオートで動かすことが出来る。


吹雪の中でもバリアは効いていたし、砂嵐でも有効なんじゃないかな。


速度も桁違いだしね。


ただ、なんと無く今の攻略班に進んで貰いたい気持ちもある。今まで頑張って来たのは彼らなのだから、手柄を横取りするような気分になってしまう。


「何を考え込んでいるんですの?」


21階の雪を落として着替えてきたヘランちゃんが、開発室に入って来るなり聞いてきた。


最近は誰もノックをしない。私がもらった開発室なのに。


「砂嵐の攻略をね。」


「もう次の階の事ですか?」


「数日後には到着すると思うから、今からじゃ遅いくらいよ。マスクがもう少し役に立つかと思っていたのだけど。」


「モンスターを探知する魔道具があるじゃ無いですか?視界が悪くても有利に進めますわ。」


「それは、そうだけど…。」


白い狼の遠くからの速攻や、()した白ウサギの奇襲でも、懐中電灯型の探知の魔道具が有れば雪の中でも有利に戦える。


砂嵐の中でも先にモンスターを見つけられれば先制できるだろう。


「オラシオンで早駆けするのが1番楽じゃ無いかと思うんですよね。」


ヘランちゃんに胸の内を打ち明けてみる。


「そうですわね。神馬様の力ならどうとでもなりそうですね。でも、もう少しゆっくり攻略しても良いんじゃ無いですか?ヴィッセル殿下も楽しそうですし、ユーハイムの街も豊かになりますし。私としてはもうしばらく殿下に居て頂いて、この5階の村を発展させたいですわ。せっかく王宮から補助金も出るんですから。」


ニンマリとヘランちゃんが笑う。


「それにアマネ様と、こうしてゆっくりしていられるのも攻略している間だけですものね。」


ヘランちゃんの笑顔が誘惑する小悪魔に見えた。


「邪魔するぞ。」


彼女の笑顔に返事をする前に、王子様とご子息様が入って来た事に少しホッとする。


この開発室がどんどん溜まり場になっている。ちゃんと会議室は他に作っていたはずだけど。


「どうなされました?」


「砂嵐の対策を相談にな、何か良いアイディアはないか?」


「殿下も、もう22階の事を考えていらっしゃるんですね。アマネ様もその事ばかりで、私は詰まらないですわ。」


ヘランちゃんが口を尖らせる。


「まあ、21階は実積が有るからな。そう時間はかからないだろう。」


「もう少し、ゆっくり攻略されても良いのでは無くて?食糧も休息も十分にとれるのだから急ぐ必要は無いのでしょう。アマネ様なんて、神馬様で走ればすぐに攻略できますよ、なんて言うのですよ。」


「神馬…オラシオン殿か。なるほど。いや、それでは…。」


王子様が考え込んでしまったので、あわてて付け加える。


「いえ、オラシオンで行ってしまっては頑張って攻略している皆さんに申し訳がたたないと言うか、なんと言うか…。」


「悪いが、出来ればもう少し我々の手でやらせて欲しい。散々魔道具に頼ってばかりで今更かも知れないが、楽しいんだ。他国との兼ね合いだとアマネを巻き込んだが、元から冒険者に憧れててな。最近ではあまりダンジョンに出れなくなってしまったが、毎日報告を聞くのが楽しみだったり、次の対策を練るのが楽しかったり。本当はもっと攻略班に付いていきたいんだが…。」


王子様が顔を真っ赤にしながら早口でまくし立てる。王都に居たときからダンジョンの話ばかりをしてきた。本当にダンジョンが好きなんだろう。


「今はアマネが居なくてもダンジョンの産物が定期的に手に入るようにしたいと言う下心も有る。いつまでも若いままじゃないからな。新しい素材が手に入れば産業も(うるお)うし、他国に対しても有利になる。出来れば我が国に有るダンジョン全てに転移の魔方陣を設置して欲しいし、人の手による攻略にも手を貸して欲しい。」


熱く語る王子様に、ホアード様とやっぱり血が繋がっているんだなと感心してしまった。


アプローチは違っても国のためを第1に考えている事は好感が持てる。


「ホアード様も貧富の差が大きいとこの国を(なげ)いていましたね。だから魔法をもっと使えるようにしたいと。」


「祖父がそんな事を?いつも道楽だとばかり言っていたが。」


「似ていますよ2人とも。それじゃ対策を考えますか!?」


「ありがとう。」


「さぁ、ヴィッセル殿下もいらしたことですし、お茶を淹れましょうか。」



対策会議はお茶を飲みながら、村おこしの話に変わっていた。


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次回:砂嵐の『22階』



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