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武器屋の勇者様 ~ 祝福を受けたハズの女子高生の空回り奮闘記  作者: 61
5章:王子様の道具 ~勇者にならないために~
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1ヶ月後

--1ヶ月後--


あらすじ:攻略も開発も他の人が頑張っていた。。

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初夏。


蝉が鳴いている。


最近ダンジョンが騒がしい。


王子様の屋敷は1ヶ月もかからずに完成した。シンプルな上に基礎工事や電気・ガス・水道のライフラインを作らなくて良いとは言え驚異的な早さだ。


領主様の奥様とヘランちゃんが屋敷に入りびたっている。名目は王子様のお相手だとか言っているけど、いつも私がもらった部屋で寛いでいる。


立派な部屋だ。20畳ほど有るかな?畳のサイズなんて覚えていないから適当だけど。王子様がこの部屋を魔道具開発室として私にくれた。隣に仮眠室まで付けてくれている。


現在は開発室とは名ばかりになって、奥様とヘランちゃんの手によって立派なソファーが置かれていて、簡易キッチンにメイドさんが駐在してくれていてお茶を淹れてくれる。


水の魔法とスライムで十分作れる、水回りの工事が簡単だから出来るんだろうけど。


そもそもの原因は私なんだよね。


暑いから仕方ない。


現代人の暑さ耐性の低さを舐めたらいけない。


ダンジョン5階の村はさほど暑くは無いけど、『猫の帽子屋』を涼しくしたら、この部屋も涼しくしたくなった。


魔道具を駆使して冷房モドキを作るのにさほどかからなかった。冷蔵庫の魔道具で冷気を出しているんだよ。温度設定と風量だけ変えればすぐに出来上がってしまう。


王子様に挨拶に来たヘランちゃんに見つかるのはもっと簡単だった。


王子様の次に私に挨拶に来てくれたから。


そして、そのまま居着いた。


先生までダンジョンに呼んで、この部屋で習い事をする始末。


マナーの先生は呼ばないで下さい。


奥様もここで有力者の人とお茶会を開かないで下さい。


機密事項っぽいのがダダ漏れです。モーマン子爵の奥様へのお仕置きとか聴いてないです。そんなにニンマリ笑わないで下さい。


屋敷の外にも人が増えた。


加治屋が炉を開いて、武器屋も中に入ってきた。私の補助という名目でミル君も入れて貰えた。12歳になって無いので特例だ。王子様の権力だね。


一仕事終えたミル君が私の部屋でダランとする。可愛い。


ヘランちゃん。物欲しそうな顔をしても譲らないからね。そこは権力に徹底抗戦するよ。


まぁ、兵士の人が戦ったら武器は傷つく。武器が傷付けばメンテナンスが必用だ。代わりの武器の購入も検討される。


最初は兵士の人の方が街まで行ってたけれど、だんだん面倒になった王子様が鍛冶屋さんを呼んだのをきっかけに、街の人がダンジョンに入って来た。


今までみたいに1日がかりて来るような所でもなくなったしね。


転移の魔法陣に乗ればすぐなので、私みたいに通いでくる人が多くなっていく。


王子様のダンジョンの攻略で、今まで希少だった10階~20階のモンスターの素材が沢山取れるようになった。


今までは危険なモンスターもいて日帰り出来ない場所だったし、持ち運べる量が決まっていたのでよほどの事が無い限り捨てられていたんだよね。


必要な物がある場合は冒険者ギルドに依頼をして専門の冒険者を雇って希望の素材だけを手に入れる事が出来た。


だけど、今は転移の魔法陣で持って帰って来れる。


最初は冒険者ギルドのおネェさんに言われた通り、1班がモンスターと戦った後、手の空いている2班の兵士が持ち帰って来て、5階の村の使用料に使用料に使っていたんだけど、転移の魔法陣おかげで全部持ち帰って来ることが出来るのよね。


余ってしまった。


だけど、冒険者ギルドから話を聞いた商人がすぐに5階の村へとやってくるようになった。


普段はダンジョンに来ないような商人でも、転移の魔法陣ですぐに来れるしね。


そうすると、ダンジョンの中でお肉に替えてしまおうと、お肉屋さんを呼んだ。


革も出るから革職人さんも呼んだ。


ダンジョンから持ち出せば良いだけなのに、王子様は呼んじゃったのよね。迷惑な話だけど。


まぁ、不要な部分はダンジョンに捨てて行った方が軽くなるので、便利なんだけど。


これに危機感を覚えたのか、あるいはチャンスと思ったのか、呼ばれていないお肉屋さんや革職人さんたちも仕事を取りに来るようになって活気が出てきた。


活気が出てくると違う業種の人も来るようになった。


次に来たのは薬剤師さんと錬金術師さんで、人が多くて安全になったのなら街で作るより新鮮な材料が使えるからと5階の村に来た。


転移の魔法陣が出来て、5階の村の宿屋のお客さんが少なくなるだろうと思っていたのに、昼間に使うお客さんが増えて行った。


そして、荷物を置くために借りっぱなしになっている宿もある。錬金術師の大釜なんて持ち運びが大変だしね。


お金が出来たのでダンジョン攻略班の装備も段々と良くなる。


たった1ヶ月ほどの間でどんどん村が大きくなっていった。


最初はダンジョン攻略をしていた王子様とご子息様も、最近はお屋敷に(こも)ってお仕事してる。


冒険者ギルドと一緒に5階の村の開発計画とか、20階までの各階に転移の魔方陣を設置する計画とか。


だから、この転移の魔方陣はダンジョン限定なので王都までは無理です!

何度言っても聞いてくれない。



ダンジョンは今日も賑やかだった。



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次回:吹雪と『マスク』



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