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武器屋の勇者様 ~ 祝福を受けたハズの女子高生の空回り奮闘記  作者: 61
5章:王子様の道具 ~勇者にならないために~
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攻略開始


--攻略開始--


あらすじ:宴会になった。

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あの日から私は『猫の帽子屋』へ帰って寝ている。


宴会も最初の日だけだったようだ。そりゃ、王子様に付いてくるような兵隊さんだもんね。きっちりしている。


毎日通いで5階の村に行って、攻略隊のために転移の魔方陣を4つ作った。


王子様は班を3つに分けて、2つをダンジョンの攻略にあてている。


1班目を先頭に立たせて、警戒をしながらモンスターと戦って迷宮を進む。


2班目は1班目の後方を着いていって、1班目が疲れたら2班目と交代する。


それに、現地採用が簡単になったので21階まで行った冒険者をアドバイザーとして付けている。


冒険者たちも21階の探索に興味があるようだし、新しい仕事を作らないと大猿だけじゃ儲けられなくなる。


20階に転移の魔法陣が出来てしまったら、大猿の毛皮の値段が暴落するかも知れないからね。


転移の魔方陣は、それぞれの班が1つずつ運んでいる。1つが壊れても、もう1つの魔方陣で帰って来れる様に。


そして3つ目の班が夜に見張りだけしている。


オクサレ様に貰ったオラシオンも3つ目の班に組み込まれている。


布教の旅の間でも安全で楽に野営ができるようにと、バリアを張れるようにしてくれているのだ。


利用しない手は無いよね。


だから、3班目は全員で見張りをしないで、3つに分けて、ダンジョンで見張りをする人。5階の村でイザという時の準備をする人、仮眠をとる人に分かれている。


その上で、転移の魔方陣の片方はバリアの中に入れて、もう片方は少し離れた場所で強固に作った軍用の馬車の中に入れてある。


同じ場所に置いて有ったら万が一の場合が有るかも知れないなんて考えすぎだよね。


なんにせよ、魔方陣が壊れたら彼等は帰って来られなくなる。正に命綱。


3つ目4つ目の魔法陣は、これまたイザというときのために5階の村に置いてある。


万が一ダンジョン攻略隊の魔法陣が作動しなくなった時に備えて、2つの魔法陣と領主様の兵隊を使って救出作戦が出来るようになっている。


慎重に慎重を重ねて魔方陣を優先させている。


そこまで慎重になれるのに、なんで王子様は暴走したのだろうか?


そこまで外国に譲歩しているのか。あるいは、単に自分が優位に立ちたいだけなのだろうか。考えても仕方ない。


ご子息様の方は1度領主様の館に帰って行った。冒険者ギルドからの報告で、すぐにお迎えが来た。


領主様は事情を聴いて怒っただけで、直ぐにご子息様を派遣し直したけど。


ダンジョンのある街を治めている領主様としては、王子様と勇者だけに手柄を渡すわけにはいかないよね。


王子様とご子息様の護衛兵だけだった攻略隊も、領主軍の兵士が参加するようになり、攻略隊でも望めば休日まで取れるようになった。福利厚生が良くなっている。


と言うか、王子様のための立派な邸宅が凄いスピードで建築中である。ダンジョンの中なのに。


何だろう?このコレじゃ無い感。


山登りに来て6時間歩いた先の山頂に立派なホテルが有ったような違和感がある。


マグカップがティーセットになって、メイドさんがお茶を淹れてくれる。まぁ、便利だから良いんだけどさ。



ダンジョンの5階の粗末な小屋の前で、護衛が付いてメイドさんが付いて、立派なティーカップでお茶を飲みながらマスクを開発している。


強化ガラスは簡単に作れた。さすが伝説の勇者が使ったというクリスタルの魔法だよ。


大きな岩を強化ガラスの上に落としても割れない物が出来た。


治癒の魔法が有るけれど、なるべくなら怪我なんてしたくないし、割れないようにガンガンに堅くした。


頭をすっぽりとおおう革の袋に、木の枠にはめ込んだガラス窓を付けている。返しを付けたり布で隙間をふさいだり、砂嵐の中でも砂が入らないように工夫している。


最初のマスクのイメージは海女さんが使う水中メガネだったのだけど、ゴムが無いので意外と固定が難しい。


最新の物は、革と木とガラスとで出来ているのでかなり重い。プラスチックが欲しい。


木工屋『山鹿の角工房』のサイモンさん、革細工屋『三匹の猪工房』のモスさん、ついでに鍛冶屋のゴルドさんに協力をしてもらっている。


革細工屋のモスさんは猫耳・猫尻尾で凄くお世話になっている人なのよ。


今もメイドさんに淹れてもらったお茶を飲みながら、私の隣で問題点を解決するために会議をしている。


「もうちょっとここを薄く出来ないか?」


「薄くは出来るが大して軽く成らないぞ。それより肩か背中に力を分散させて見るのはどうだ?」


「それだと首が回らなくなるだろう?」


「いや、いっそのこと3方向にガラスを取り付けてしまえば良いんじゃないか?視界も良くなるし。」


「コストがかかり過ぎるだろう!」


「どうせアマネ以外には作れないんだ。気にするほどじゃなかろう。」


口が挟めないほど議論が白熱してる。


先ほどの袋をかぶるような形の最新型も彼らがいつの間にか作っていた。


机の上の図面はすでに真っ黒になって、新しい板には角張った宇宙服が書かれている。


宇宙服の頭には、バケツをひっくり返してかぶせて、目の所に窓を付けたような形になっている。


「あの~、もう少し動きやすい方が良いかな~。ほら、戦ったりするし。」


「やはり、金属はやめとけ。吹雪の中じゃ凍傷になるわ。」


「ならオレを呼ぶなよ。金属を使わなきゃオレが居る意味がない。」


「デザインだけでも巻き込まれろよ。」


「金にならん。」


「王子様案件だぜ、褒美くらい出るだろ。」


聞いていない。まるで私の入る余地がない。



出来上がるには、まだまだかかりそうだ。



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次回:攻略から『1ヶ月後』



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