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武器屋の勇者様 ~ 祝福を受けたハズの女子高生の空回り奮闘記  作者: 61
5章:王子様の道具 ~勇者にならないために~
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逃亡

サブタイトルを『逃亡』に替えました。

--逃亡--


オクサレ様にオラシオンを貰った。

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オラシオンに乗って王都からユーハイムの街に逃げ帰って来た。


『猫の帽子屋』に戻った私は久しぶりのミル君を堪能する。抱っこしてハグをする。


ああん、久しぶりなんだから逃げないで♪



いや、だって、あれだけ大勢のお貴族様の前で、女神様が出てきて大騒ぎになっているんだよ。絶対、王都から離れられなくなるじゃん。


ホアード様でも、王様でも、捕まったら…『猫の帽子屋』に帰って来れなくなりそうだし、何だったら『猫の帽子屋』ごと王都に連れていかれそうじゃない。


正直、もう面倒なお貴族様の庇護なんて要らない気がする。他の貴族とか商人からのアプローチを考えれば必要なのかもしれないけど、ホアード様の相手をする方が疲れる気がするのよ。


ホント、あのおじいちゃん、めんどうくさいんだよね。


『猫の帽子屋』の立て直しも王様からの謝礼金で今はかなり(うるお)っている。


戦争に使われるかも知れないから魔道具を広めたくないなんて事も考えなくて良くなった。魔導書『グリグリ』が有ればドラゴン語が広がる心配がない。今度からは魔道具も売ってお金にすれば良いじゃない。


ホアード様の庇護があると、今度は自由に商売できないのよね。新しい商品を作るたびに魔法談義をさせられるんじゃないのかな。


めんどうくさい。


オクサレ様も『猫の帽子屋』を優先して良いって言ってたし。


布教って点でも、王様の前まで行ってオクサレ様の名前を広めたのだから、後は勝手に広まるんじゃないかな。


だから最初のオクサレ様の要望は応えたと思うんだよね。


馬のオラシオンをくれたのは、その機動力を使ってもっと広めろって事なんだろうけど、魔道具を作って売っていればそのうち広がるでしょ。


わざわざあちこちへ出向いて行って布教なんてめんどうくさい。


もうあとは、ユーハイムの街で、ミル君とゆっくり異世界を楽しんで生活していれば良いじゃない。


腐教?マリアンちゃんがしてくれるんじゃないかな。



夜の闇に紛れてオラシオンに乗って、ユーハイムの街まで走った。王都へ行くのに2週間以上かかった行程が、2日で帰って来ることが出来た。


オラシオンと呼ばれていた馬は意外と快適で、揺れも少ないので踏ん張らずに済む。向かい風も雨も関係なく走れて、乗馬経験が無くても一声かけるだけで目的地まで着く。かしこい。


最高速度は怖くて出せなかったけど。女神様の技術ってすごい。


取説に書いてあった通り、地上を旅する分には万能な馬だった。


特にオクサレ様が説明書きを面倒くさがって書いていなかった部分、7つの便利機能が付いている。


ウォーターウォーク。ライト。タンデム。ウインチ。マキビシ。バリア。フィオちゃん。


大地を飛ぶような速さで走り、小さな川程度なら駆け抜けてしまう。


夜間走行のためのライトが付いていて、2人乗りが出来るように鞍が可変式になっている。


険しい崖をウインチを使って登れたり、厄介な敵からはマキビシを使って逃げる事が出来る。


野営をするためにバリアも張れて、ナビゲーションしてくれる小さな精霊みたいなのまで付いている。


このナビゲーションしてくれる精霊みたいなの、フィオちゃんと言う名前なのだけど、がかわいいのよ。


小さな体をオラシオンの頭の上で浮かせて、一生懸命方向を指さしてくれたり、移動に飽きたりすると歌まで歌ってくれる。


燃費が悪いのが玉にキズだけど。


とにかく、オラシオンと言う馬は地上を移動する事に関しては、とても優れている。


けど、どうせなら車が良かった!ずっと同じ態勢で寄りかかれないのはツライ。


私達の文化を知っているのなら、オクサレ様も車ぐらい知っているハズよね。全自動の車で、後部座席でふんぞり返りながら帰って来たかった。



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そんな考えで逃げ帰って来たんだけど、2つほどやりたいことがある。


1つはダンジョンで使える魔道具の開発。


オクサレ様が「ダンジョン内でならアイテムボックスが使えるかもしれない。」と言っていたのがずっと気になっている。ダンジョンの中だけでもアイテムボックスが使えれば楽になるんじゃないかな。


各階の中では冒険者ギルドの人が馬車で冒険者が獲った獲物を回収しているんだけど、階段の所では手作業で運んでたりするのよね。


なにより、夢のアイテムだから作ってみたい。


それに転移の魔方陣が『猫の帽子屋』の部屋での実験で動かなかったのも、ダンジョンの外だからと言う理由なら、ダンジョンの中で実験すれば成功するかも知れない。


2つ目は武器の開発。


こっちの方が重要。


『猫の帽子屋』は武器屋なのに、武器を売らないで他の物ばかりを売っている。ホットドッグとか猫耳カチューシャとか冷蔵庫の魔道具とか。クロスボウは売れなかったし。


『猫の帽子屋』の経営にも余裕が出てきたし、ミル君は武器屋を続けたいみたいなので、新しい武器を考えてみたいと思う。


ファンシーショップが嫌って男の子だよね。


それに、勇者だと言う事が貴族様にバレてしまったので、いざという時に使える武器が欲しい。モンスターの討伐や戦争なんかに呼ばれても圧倒できる武器とか威圧できる武器とか。


何に巻き込まれるか判ったモノじゃない。


もっと武器が必要だと感じる事が、もう一つある。


オクサレ様対策。


このままだとオクサレ様のために製紙機械とか印刷機とかだけを開発させられるようになってしまうかもしれない。腐教の為に。


あのオクサレ様を制圧できる武器を、今の内に考えておく必要が有ると思うのよ。


3回も振り回されたし。



まぁ、色々言ってはいるけど結局のところ、せっかく魔道具をなんて物を作れるのだから『ぼくのかんがえたさいきょうのぶき』を作ってみたいのよね。


男の子の夢かも知れないけど、私が作ってみても良いよね。



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次回:ぼくのかんがえた『さいきょうのぶき』



活動報告に新作の話を少し書きました。

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