謁見
--謁見--
やっと王様と謁見ができる日が来た。
さっさと終わらせてミル君の元に帰りたい。
マリアナちゃんやヘランちゃんと遊ぶのは楽しかったけど、やっぱり寂しい。
ホアード様のお屋敷から王城まで、崖の下から上まで馬車で登っていく。
護衛としてジーナスさんが付いてきてくれてるし、王城にはヘレナちゃんが案内役として待っててくれるはずだ。
王様に冷蔵の魔道具をプレゼントして、ご褒美とホアード様に保護される事を認めて貰うこと、そして出来れば領主様に贈った冷蔵の魔道具を返してもらうのが今回の謁見の目的になる。
領主様に贈った冷蔵庫の魔道具は、魔法陣がドラゴン語で書かれているので回収したいのだけど、王城からは分解してしまったので返せないと、返事は着ている。でも、どうにか出来ないかな。
謁見のために綺麗なドレスを着てきた。わざわざこの街に来てから作ったヤツだ。
なんか、私を待たせる言い訳のように作られていたような気もする。だって、冬から何度でも予定を作るタイミングは有ったはずだもの。
でも、待たせる理由も解らないんだけどね。
一応は王都で流行りのモデルって事だけど、ユーハイムの街でドレスを着る所なんて領主邸くらいしか思いつかない。一般の人でもドレスとか着るのかな?。
コンセプトは『猫の帽子屋』でお馴染みの、黒い猫耳が付いた真っ赤な鍔広トンガリ帽子に似合う、赤を主体としたドレス。
真っ赤は勇気がいるよね。でも猫耳帽子はトレードマークになっているので、できるだけ帽子を被って宣伝したいと思うのよ。
ついでに王都に猫耳が流行れば儲けモノ。ユーハイムの街での実績もあるので期待できる。
尻尾も付けた。腰におしゃれな感じに尻尾を巻くのに少し苦労した。
城門を通り抜けてエントランスに入ると、ヘレナちゃんとマナーの先生が待っていてくれた。
エントランス部分だけでも広くて、ホテルのロビーのようにお茶をするスペースがある。こんな所で待ち合わせをする人も居るんだね。まぁ、私達もここで待ち合わせをしていたのだけど。
「ごきげんよう、アマネ様。お待ちしていましたわ。」
「ごきげんよう、ヘラン様。お待たせしてしまって申し訳ありません。」
「それでね、言い難いんだけど、その帽子は少し大きすぎるわ。そんなに大きいと王様とお話しする時に目線が合わなくなってしまうわ。」
帽子は没収されてしまった。王様に会う時に大きな被り物はよろしくないらしい。大きな鍔が王様と話す時に邪魔になってしまうし、完全に目線を隠せると何かよからぬ合図をしているのではないかと勘繰られてしまう。
早々に計画は頓挫した。わざわざ真っ赤なドレスにしたのに。これじゃ赤っ恥だ。
ちゃんとした理由もあるので強行するわけにもいかない。
スカートから猫耳カチューシャを取り出して着用する。これなら頭飾りで抜けられるんじゃないかな。
「これならどうですか?ヘラン様」
「どこから出したんですか!?と言うか、どこまでも猫耳にはこだわるんですね?」
「一応、『猫の帽子屋』のトレードマークになっていますし、ヒット商品でもありますからね。」
「売るおつもりなのですか?」
「これなら、あまり嵩張らずに商人に運んでもらえるんじゃないでしょうか?」
猫耳がピコピコと動く。
王都にご当地グッズのお土産ものが無いのなら、ユーハイムの街のご当地グッズを作ってしまえばいい。
「商魂たくましいのですね。見習いたいものですわ。」
ヘレナちゃんの先導で豪華な飾りつけをしてある廊下を進み、待合室に案内される。
けど、人とすれ違う事がない。
「来客用の通路だからですわ。」
王宮で働いている人たちはこの廊下を通らないらしい。来客…外国の使節の人や、王様に謁見に来る人に威圧感を与えて有利にする。
そして、至る所に監視できるような覗き穴が有って、来た人の人となりを観察することが出来るようにしているらしい。
やっぱり、お貴族様って怖いよ。
「アマネ様の場合。すでにホアード様の屋敷で観察されていましたからね。私も聴取されましたし。今更気取っても無意味ですわ。」
「どんな評価になっているんですか?」
「私やマリアンナ様とイタズラして遊ぶような娘となっているんじゃないですかね。」
「あんまり、いい評判じゃなさそうですわね。」
「そうでも無くてよ。マリアンナ様を手なずけたのですから、良い評価だと思います。」
マリアンナちゃんの評価が気になる。
謁見待機室へと案内された。ここからはヘランちゃんと別れて独りで行かなければならない。
大きな扉の前に立って、深呼吸をひとつすると、謁見の間のドアが開く。
「おお。」
室内がざわめく。
室内には兵士も含めて100人以上の人が並んでいる。
事前にリストをもらっているけど、写真もないので誰が誰だかさっぱりわからない。
猫耳が話題になっていてコソコソ話している声が聞こえてくる。
「アレが聖女か?」
「獣憑きか!?」
「獣が付いているなんぞ、やはり聖女ではないのではないのか。」
せっかくの猫耳が悪い方に噂になってる。魔道具にして猫耳が噂に反応してピクピク動くのも悪かったみたいだ。失敗した。
玉座の前に膝間付き|頭を下げて王様を待つ。
「城主アンストン・ウェブ・モノトーンズ様のが登場です。」
兵士の人のアナウンスで謁見の間が静まり返り、人の足音が木霊する。
「アマネ嬢、顔を上げてください。」
微妙に聞き覚えのある王様の声に顔を上げると『ドッキリ大成功!』と言ったドヤ顔のホアード様一家が居た。
「はじめまして、この城の主アンストンと言います。」
王様はホアード様の息子だったよ。
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次回:嫌な予感しかしない『祭壇』




