表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
武器屋の勇者様 ~ 祝福を受けたハズの女子高生の空回り奮闘記  作者: 61
4章:女神様の道具 ~名前を広めるために~
60/93

婚約者

--婚約者--


あらすじ:ホアード様のお屋敷は変な場所に有った。

--------------------------------------------------



ホアード様のお屋敷にお世話になって数日が経った。


最初は珍しかったここでの生活も退屈になってきた。せっかく王都まで来たのに街に行けない。


まあ、貴族様がブラブラ街を散歩するなんて思えないし、貴族様が子供のころコッソリ街に抜け出して…、なんて乙女小説の中なら良くある話だし。私はお貴族様じゃないんだけど…。


最初の数日は忙しかったんだよ。


謁見の為にドレスを作り、打ち合わせをした。


ユーハイムの街でもドレスを作ったのに。謁見用は別になるらしい。もったいない。そんなお金があるなら食べ物にして持って帰りたい。


そして、ホアード様から魔法と女神様と異世界の事についての問い詰めの日々。


クソイケメンからもダンジョンの事についてよく聞かれる。


疲れる。


ヒマついでにクリスタルの魔法でナイフを作る練習をした。


この前のクソイケメンの為じゃないよ。違うイケメンが現れた時にプレゼント出来るように…。


きらきら光る七色のナイフ。これで相手のハートを射止めてあげる。


濃い青と薄いピンクのマーブルナイフ。これでクソイケメンの心臓を射抜いてあげる。


違うって。


森やダンジョンに行ったときにナイフを持たなかったり、手放してしまっても良いようになるんだよ。


意外とナイフの使用頻度は多いから有ると便利なんだよ。そう思ったんだよ。


そうだよ、私はミル君一筋なのだ。



嘘じゃないって。



--------------------------------------------------



今日はホワード様も、クソイケメンも居ないので静かだ。居るとうるさい。


ヒマつぶしに作っていたナイフも10本になってしまった。


練習に作っては材料として使い回しをしているんだけど、それでも気に入った物は手元に残してしまう。


たくさん作ってもクリスタルのナイフは実用品としては使い勝手が悪いことが解ったので、武器屋では観賞用にしか売れないだろう。持って帰るにしても荷物になってしまう。


クリスタルのナイフは研ぎ難いし、割れやすい。


そもそも、強い武器になるなら石器時代から鉄器時代になって無いよね。


魔導書『グリグリ』の研究も魔石が手元に無いので出来ないし。ヒマつぶしにテレビやパソコンが欲しい。


無駄に動画サイトを(なが)めていたい。



コンコン。


「昼食のご用意が出来ました。」


メイドさんが、お昼ごはんに迎えに来てくれた。良いね。メイドさんにかしずかれるのって。


「解りました、今行きます。」


ナイフを片付けて身支度を確認する。マナーの先生はいないけど、謁見の時にボロが出ないように口うるさく注意されている。


まあ、普通は女の子として気にしておくべきところだけどね。


今日はホワード様もクソイケメンも居ないので、独りで昼食かと思っていたのだけど、食堂に行ったらマリアナちゃんが居た。クソイケメンの許嫁さんだ。


「ごきげんよう。アマネ。今日はホワード様もヴィルも居ないから、私が昼食の相手をしてあげますわよ。」


いや、良いです。


久しぶりに独り静かにゆっくりと食べたいです。自由で解放されていないといけないんだよ。


ホワード様が居るとすぐに魔法の話になって、食事をしにくくなっちゃうんだよ。


そして、クソイケメンが相手だと、いつもダンジョンの話になる。最初は楽しかったけど、冒険者のオジサンから聞いた話も終わって、すでにネタがない。


しかもマリアナちゃんが隣で(にら)んでくるオプション付き。


せっかくお貴族様の手の込んだ食事なんだからゆっくり静かに味わって食べたい。


そんなわけで、今日はチャンスだと思っていたんだけど。


まぁ、女の子相手だから、楽しい時間を過ごせるかも…ってマリアナちゃんは、いつも通り(にら)んでくるんだけど…。


「ありがとうございます。今日は独り寂しい食事になると思っていましたので。嬉しいですわ。」


一応、お礼を言っておく。


「あら、尻尾を振る相手が居なくて悪かったわね。」


なんだか、今日はいつもよりトゲが有る気がする。


「そんなことは、ありませんわ。女の子同士、楽しい時間を過ごせると良いですね。」


「そうね。今日は貴女の為に特別な料理を用意いたしましたわ。」


「あら、それは楽しみです。いったいどんなお料理なのでしょう?」


「大聖女様が食されたそうですわ。貴女も元の世界で食べたと聞いたものですから用意させました。もう、持ってきて良いわよ。」


メイドさんに合図をすると運ばれてきたのは、白いお皿に一匹の魚。


(さば)かれていない何の変哲もない魚。


「あの、これが料理なのでしょうか?」


「大聖女様も貴女も、魚を生のまま食べると聞きましたわ。違いまして?」


いや、食べるけどさ、お刺身とか。でも丸まんま(うろこ)も取って無いのはちょっと…。


「いえ、お話が上手く伝わっていなかったようですわね。少し手を加えてもよろしいですか?」


「あら、そのままかぶりつくのではなっくて?」


いや、そんな事誰だってしないだろう。クマでも無ければ。


「さすがに私の口には大きすぎますわ。では失礼して。」


魔道具のロッドを使ってクリスタルの魔法を使う。まな板とナイフをちょっとオシャレに、オーロラ水晶で作った。


ドレスの袖をまくり上げて、クリスタルを操って袖止(そでど)めをする。


ちょっとはしたないけれど、魚を手で押さえて(うろこ)()いでいく。


お魚は新鮮でお肉に弾力がある。つぶらな瞳もきれいで美味しそう。


(うろこ)が飛び散らないように風の魔法を操る。


皮を剥いで、見よう見まねの、三枚おろし。


何とかなるものだ。


ウサギよりは楽だと思う。


三枚におろした魚を一口サイズに切り分けて、皿に盛りつけてあげる。


浄化の魔法をかけて手と魚と使った道具を綺麗にする。寄生虫も浄化の魔法で怖くない。便利だ。


仕上げにドレスのポケットからお醤油を取り出す。シリコンで作った魚型のタレビン。


小皿を借りて、お醤油を垂らして、出来上がり!


ワサビが無いのが残念だ。



「それでは、いただきますね。」


何事もなかったような顔をして、一切れつまむ。


お醤油をつけて口に運ぶと、ぷりぷりとした噛み応えと、新鮮な魚の味が広がる。


「新鮮で美味しいですわ。ありがとうございます。」


マリアナちゃんの目と口が丸くなっていた。



人間の顔って面白いね。



--------------------------------------------------

次回:ちょっとかわいい『悪役令嬢』



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ