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武器屋の勇者様 ~ 祝福を受けたハズの女子高生の空回り奮闘記  作者: 61
4章:女神様の道具 ~名前を広めるために~
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クリスタルの魔法

--クリスタルの魔法--


あらすじ:いつの間にか王都に行くことになった。

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いざ、王都へ!!!


とは、なりませんよ。


女の子の身支度には時間がかかる。

当たり前じゃ無いですか、やだー。



とりあえず、2週間ほど猶予(ゆうよ)ができた。


領主様は公務で忙しいので王都へは娘さんのヘランちゃん(16)が一緒に行ってくれることになった。この間、領主様の横に居たお嬢様だね。


流石に、私独りで王宮まで行ってこいなんて言われなかった。良かった。独りで行かされたら王宮の前で不審者扱いされるよ。普段の姿は村娘Aだしね。


まぁ、女の子の身支度は私のじゃなくてヘランちゃんの身支度だね。


そして、準備中に王宮に連絡を取って王都側の準備もしてもらうとか。



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王様に謁見するので贈り物を作ろうと思う。付け届けは大事だよね。賄賂とも言う。


領主様に献上したのは木製の飾り気の無い冷蔵庫の魔道具だった。一応、少し良い木を使って痛い出費になった物だけど。王様に同じものを渡すわけにはいかないでしょ。


冷蔵の魔道具の豪華バージョン。


木工屋のサイモンさんに依頼したら泣いて喜んでた。


「2週間で王族向けの物が作れるか!」


まあ、高々箱なんだから、どうにかしてくれるだろう。今度は冷凍庫付きにするけど。


「馬鹿か!?彫り物入れろとか、彫金入れろとか、職人の同期をとるだけでも、そんくらいかかるんだよ!」


「え?だって木を削って組み立てるだけでしょ?ワゴンの時だってそんなにかからなかったじゃない。金具だって後から付けるだけで良いじゃん。ただの箱だよ?」


「あのな。オマエのワゴンとは木が違うんだよ。材料の買い付けから入れば、職人が加工できる時間なんて1日か良くても2日になっちまうし、そもそも材料の入手に手間取れば加工の時間が消し飛ぶわ!」


メチャクチャ怒られて。妥協させられた。王様に良いものを贈ればポイントになりそうなのに。


でも、出来ないものは仕方ないね。言い訳を考えておこう。


出来れば、「新しい方が立派ですよ。交換してください。」って言って、王都にある前に贈ったドラゴン語を使っている冷蔵庫の魔道具を回収したかったんだけど。


あんまり上手くいく気がしない。



ついでに、リバーシを10セット作るように依頼した。白と黒の陣取り合戦のあれだ。


貴族ときたらお茶会だろう。有閑ゆうかんでマダムな人達との話題作りに使おうと思う。


誰かにお呼ばれされてしまった時に、お土産にして難しい話から逃げる作戦だ。クッキーを手土産にするわけにもいかないしね。


冬の間にコレットさんとミル君はかなり楽しんで居たので御貴族様でも通用するだろう。


サイモンさんも「鬼か!」と喜んでくれた。やったね、目指せ!貴族御用達だよ。


「いや、オマエ、他の客からの仕事も有るんだぜ。そんな細かいの、やってられねーよ。」


…作って貰えなかった。簡単そうに見えるのに。


仕方ないので、クリスタルの魔法で作ることにする。


最近、このクリスタルの魔法にハマっている。シリコンからガラスまで幅広い応用を効かせてくれるこの魔法はモノ作りにはとっても便利だ。


そして、流石(さすが)に女神様から「強いよ。」と言われて貰った魔導書『グリグリ』。


これのお陰で魔道具の開発が一気に楽になった。


魔導書はアイコンと魔方陣を(つい)にして魔力で書き込む仕様。登録した魔法陣を消すことも出来る。魔導書から削除された魔方陣は魔道具の方も動かなくなる。


今までのように1文字間違えたら、魔晶石から作り直しなんて事も無い。


オクサレ様は漫画だけじゃなくて、パソコンゲームにまで手を出していたかも知れない。魔導書は、ノートよりパソコンに近い感じで使える。かなり使いやすい。


失くさないように、専用の革のバックを作って腰の後ろに取り付けられるようにした。



クリスタルの魔法と魔導書を駆使(くし)してリバーシを作る。


黒と白のリバーシの石が、アメジストの様な綺麗な紫と、透明なピンクのツートンカラーになった。濃緑色の縁飾りをした透明な盤上に紫とピンクの石が並ぶ。すべてクリスタル。まさに、宝石の遊具。ゴージャス!


色が変えられるってすごいよ。細工にも凝ったりして、どハマりした。()り出すと変な物を作ってみたくなるもので、オクサレ様の像を作った。


ただの像では面白く無いので、魔力を与えるとくるくる回る様にした。魔道具の女神様だし。像の内部にも細工をして光を反射しやすいように改良した。像の中を自由に加工できる魔法って便利だね。


回るたびにキラキラ光って神々しい。オクサレ様なのに。


残念ながら、精密なシリンダーと、音階を出す櫛歯(くしば)は2週間では作れなかったので、オルゴールは付けられなかった。そして鍛冶屋のゴルドさんに当然のように怒られたけど。


でも、このオクサレ様像も、お貴族様にプレゼントすれば布教活動に一役勝手くれるよね。


オクサレ様の趣味は布教しないよ。魔道具の女神様としての布教だよ。私は腐って無いからね。この間は久しぶりの文化にちょっとテンションが上がっただけだよ!話が解るのは女の子の(たしな)みよ!多分。



ついでに魔道具の部分は魔道具工房のシュラン爺さんに頼んだ。


量産するようになれば私1人で作るわけにもいかなくなる。その練習も兼ねてるのよね。


シュラン爺さんはやる気満々で三男を店を継がせる為に家に戻した。長男と次男は今のお仕事が順調で戻れなかったらしい。


長男と次男からは散々嫌味を言われたけど、お孫さんにも会えるようになったって言って感謝してくれていた。オクサレ様の(ほこら)にも、ご利益って有ったんだね。



王都に行く前に、パン屋姉妹に朝のホットドッグ売りの引き継ぎをした。もっとやっていたかったけど、街から居なくなるのだから仕方がない。『変わりゆく泉亭』も人手を増やしていたので助かった。


ほんとはダンジョンにも行きたかった。


女神様が漏らした「ダンジョンならアイテムボックスが出来るかも。」を実験してみたかった。



2週間は短かった。あっという間に過ぎた。



行きたくない。


オクサレ様のクリスタル像なんて、ただの現実逃避の賜物(たまもの)だ。


ハイ、この2週間は王様への謁見と貴族とのお茶会とか会合の為にドレスの採寸と、礼儀作法をみっちり仕込まれてました。


領主様の館で毎日々々。マナーの先生が怖い。



未だ出来る気がしない。



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次回:久しぶりに海を見る。王都までの『道程』




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