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武器屋の勇者様 ~ 祝福を受けたハズの女子高生の空回り奮闘記  作者: 61
4章:女神様の道具 ~名前を広めるために~
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『グリグリ』

--『グリグリ』--


あらすじ:女神様が腐っている事が良く分かった。

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「で、もうひとつの私が困って居るっ事って?」


お金か?お金をくれるのか?


「魔法よ。魔法が有るから魔道具が否定されやすい。魔道具より魔法を優先させたがる。コピーされる危険性を(はら)んでしまうわ。幸いにして(ほこら)で神格が少し上がったし、お礼をひとつあげるわ。」


「アイテムボックスが欲しい!」


異世界チート御用達の1つ、大量のアイテムを保管&運搬できる。在ったらものすごく便利な道具だ。少なくとも商業で無双出来る。


「アイテムボックスなんて、この世界に無いわ。ダンジョンの中なら作れるかも知れないけど…。基本的に物理法則の方が強い性質を持つ世界なのよね。ほら、魔法を使っても重力に負けて落ちてしまうでしょう?突然、亜空間に質量を入れてバランスが崩れれば物理の持つエネルギーへの反動が大きすぎるのよ。最悪、惑星の軌道が変わるわ。」


「ソコをなんとかするのが女神様でしょう!?」


「私の神格じゃ無理ね。」


バッサリと切られてしまった。


「じゃあ、転移魔法や、時間魔法は?」


「同じく物理的な力に負けるわ。」


「私は召喚されたじゃ無いですか!?」


「魂だけよ。肉体はこちらで作ったから。」


ああ、私はクローンだったのか。


オリジナルは既に居ないし、魂は同じだから良いけど。


気にしちゃ駄目だ。


「じゃあ、鑑定魔法とか?」


対象に鑑定魔法を発動させれば、物や人の価値や能力が解る優れたチート。これも定番だ。人間やモンスターの能力や弱点が解る。有れば便利。


「あなた独りの為に、そんな価値の変動するアーカイブを持った魔法を作りたくないわ。めんどうくさい。価値の変化は激しすぎるし、能力だって組合せや劣化で変わりすぎるもの。」


「じゃあ、どんなモノをくれるの?」


他に定番チートが思い付かなくなった。強化系なんて要らないし。女神様がくれる物も決めているみたいだし。


「魔法をアイコン化できる魔導書『グリグリ』よ。この世界では強いわよ。まあ、ドラゴンも似たようなものを作っているし、劣化版なら人間にでも作れると思うけど。」


そう言って、女神様は1冊の本を渡してくれた。A4サイズのハードカバーの本で図鑑ほどの厚みがある。魔導書と言われて納得するような風体だった。


「魔法のアイコン化?それってどんな物?」


「今のところ身近にあるのは浄化の魔法や、治癒の魔法ね。聖女経由で神様が人間与えたヤツね。本体の魔方陣は別のところに有って、アイコンからアクセスすれば本体の魔方陣が動いて適切な魔法をアイコンから出力するのよ。」


なるほど、浄化の魔法のシンボルマークはそんな理由が有ったのか。


解読出来ないから、さっぱりだったけど納得できた。


「アイコン化は複雑な魔法が簡単に使えるように魔法の神様が産み出した技よ。本来の浄化の魔法なんて100階建てのビルくらいの積層型魔方陣なのよ。それをこの魔導書は簡単に使えるように出来てるわ。」


「でもA4サイズなら頑張れば魔法でも出来るんじゃないかな?」


かなりの集中力と補助にスクロールと紙に書いた魔方陣を用意すれば出来そうな気がする。


「セキュリティに使えるでしょ?量産も楽になるし、魔導書の書き換えも簡単よ。魔晶石の組み換えなんて、せせこましい努力をしなくて済むわ。」


あ、なるほど、浄化の魔法のように解析が出来なくなるわけだ。売った魔道具にはアイコンだけしか描かれていないから新しいドラゴン語を見せないで済む。


そして、原典を使えば悪用された時にも魔導書の魔方陣を変えれば魔道具が動かなくなる。


で、魔晶石にはアイコンだけ描けば良いのか。確かに楽だね。


「でも、その魔方陣は魔法でも簡単に再現できるようになるんでしょ?」


「魔導書の魔方陣の中に魔石か魔晶石を動力源にする1文を組み込めば良いのよ。魔法を使うときにも『我が魔力に従って』とか記述されてるでしょうソコを『魔晶石に流れる意志に沿って』って風に限定条件に組み替えるのよ、」


「なるほど、それならできそうね。もう1つ質問。魔法の神様とかが居て、他の人に同じような魔導書を人間に与える可能性ってあるの?」


「それは…無いとは言えないわね。ただ、魔法の神様は謹慎中だし、魔道具を与えるほどのきっかけを作るのも今の神様ルールでは難しいわ。時間は有ると思う。私も神格を上げて貰ったお礼として、こじつけて渡すんだもの。」


「魔法の神様はなにやってるんですか!?」


「生命の神様と死の神様と手を組んで浄化と治癒の魔法を大々的に広めてしまったわ。しかも2回もね。お陰で祈りが少くなった神々から大パッシングを受けて謹慎処分に…。」


嗚呼、便利過ぎる魔法の裏側にそんなスキャンダルが…。神様も大変だ。


「一応、この魔導書もグレーゾーンになるから扱いは慎重にして欲しいわ。」


「解ったわ、もうポンコツ様なんて呼べないわね…。オクサレ様。」


「いや、オクサレ呼ばわりもどうかと思うけどね。最初に名前を名乗ったでしょ?」


「いや、覚えてないし。長い名前なんて、出会い頭に1度で覚えられないわ!」


こうして、私は女神様と仲直りをした。



もう一度教えられた名前は、覚えなかった。



でも、待てよ、この本があるなら、冬の間の苦労が水の泡になるんじゃないかな。


魔道具を作って、理解して、文字を広めないように工夫して、魔道具の広め方について領主様と直接交渉もした。


文字を組み替え易くして、新しい呪文を生み出しやすくもした。


いちいち魔晶石を作って、新しい文字を入れるたびに魔道具を作り直して…。


それって、この本だけで解決できるんじゃないかな…。



やっぱりポンコツ様でも良いかもしれない…。



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次回:村人の為の『魔法使いの嘆き』



活動報告で書いた通り本日は2話投稿予定です。


ご注意ください。


2本目はお昼頃を予定しています。

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