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武器屋の勇者様 ~ 祝福を受けたハズの女子高生の空回り奮闘記  作者: 61
3章:魔法の道具 ~お店をするために~
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鹿のモンスター

--鹿のモンスター--


あらすじ:こいつ、いっつも失敗しているな。

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ミュハエルさんに時間を取らせてしまった事を謝って探索を開始する。


もちろんランタン型の探索の魔道具は使わないよ。


懐中電灯型の探索の魔道具が反応した方向に向かって歩いていく。


ランタン型とは違って、採取の時には一時的な安全しか確認できないだろうけど、狩りの時に当てもなく歩くよりは遥かに楽になる。


実際、ミュハエルさんは欲しがってくれたし。


予測通りの場所に鹿のモンスターが居た。


探索の魔道具は魔石に反応しているだけなので、どんなモンスターが居るかわからないのも欠点だね。


まぁ、今回は私が狩をするので、鹿のモンスターならリベンジとして最適だ。


前回、ブルーレアにしてしまったモンスターだからね。うっすらと笑みがこぼれる。


魔道具は野球のボール見たいな物を2種類使おうと思う。


念のために、威力調整スイッチを付けたスタンロッド(改)も持っている。次は焦がしたりしないようにしたい。


でも、弱すぎて気絶しなかった場合でも困ってしまう。そのまま突進されたら私の命が危ない。なにか良いテスト方法が有れば良いのだけど。


例えば、モンスターを生け捕りにして弱い威力から試してみるとか?モンスターの生け捕りなんて聞いたことも無いけどね。



ミュハエルさんに指導してもらいながら、鹿のモンスターに気付かれない位置まで近づく。前回の失敗の1つは近づき過ぎて気づかれたことだと思う。


ミュハエルさんみたいに避ける技能は無いし、モンスターより速く走る逃げ足も無い。


なら、近づかないのが正解だ。



シリコン製の耳栓を装着する。魔力で形を整えて、耳と耳栓の隙間が無くなるようにする。


耳栓のせいで心臓の音が大きく聞こえてきた。


サングラスをかける。シリコンが作れるんだから、同じSi素材のガラスだって作れた。色付けには苦労したけど。


1つ目のボールの安全ピンを抜く。これで魔法陣が刻まれた魔晶石とバッテリー代わりの魔石が繋がる。


大きく振りかぶって…、投げる。


ボールは真っ直ぐ鹿のモンスターに飛んでいく。


鹿のモンスターが風切り音に気づいて振り返るより早く、ボールがモンスターの足元に落ちる。


ポテン。


瞬間、爆音がして眩しい光が(あふ)れる。ダンジョンの中だからか、爆音が森で試した時より籠って聞こえる。


スタングレネード。


光と音で併称感覚(へいしょうかんかく)を麻痺させる非殺傷手りゅう弾のひとつを魔道具で再現してみた。


燃費が悪くて魔石は長持ちしないけど、目と耳はどんなモンスターだって鍛えることは出来ないだろう。


猪だろうと鹿だろうと、小さくても大きくても、同じ効果が出る事を期待している。


上手いこと鹿のモンスターにも効いている様でフラフラしている。


フラフラしているから近寄って行って倒すこともできるだろうけど、念のため…というかもう1つの魔道具の効果も試してみたいと思う。


事前に2人にも話してあるし。


2球目、安全ピンを抜く。ピッチャー振りかぶって投げた!モンスターがフラフラしているから脳内で実況を流しながら余裕を持って投げれる。


ストライク!


鹿のモンスターの横腹にボールが当たって、感電して倒れる。


スタンボール。


スタンロッドを投げやすい形にして、投げる前に威力を調整できるようにした。これでわざわざモンスターの近くまで行って効果を試すような事をしなくて済むね。


作ったものが全部スタン○○〇でややこしいのも問題だけど。


鹿のモンスターに近づいてショートソードで止めを刺す。ナンマイダブ。


「な、なんなんですか?」


エキシナさんが詰め寄ってくる。


安全の為に、ミュハエルさんとエキシナさんには事前に説明してあるし、シリコンの耳栓とサングラスも付けて貰っている。


そして私が魔道具を投げた時には後ろを向くように指示しておいた。


「スタングレネードに、スタンボールだよ。」


森での実験の時はジーナス隊長も同じものを見ているはずだし。連絡不足なんじゃないかな。まぁ、あの時はウサギを獲っただけだけど。


「大きな音と光が出るって聞いていましたけど、想像以上です!音と光で混乱させて、雷の力で倒したって言いましたけど、雷の力を分解できるのですか?」


「え?別だよ。あ、そうか、普通の雷は光ってから音が鳴って落ちるって事なのね。まあ、分解したみたいなもので良いよ。」


雷のような(まばゆ)い光と、雷のような轟音(ごうおん)と、雷のような威力の攻撃。全部、雷のようなで説明できるのか。実際には違うけど説明が面倒なので全部、雷の力にした。


「別に分けた理由は何ですか?」


「普段は、別々に使う予定なの。光と音は緊急の時に逃げるために使う目的だったんだよ。雷の力はモンスターを気絶させるため。ってあれ?両方似たような効果じゃん。ま、まぁ、うん、2つの効果を試したかったんだよ。うん。ボールを探さなきゃ。」


効果が似ていたことに今更ながらに気が付いて、頬が赤くなるのを自覚する。ボールを回収している間に赤みが取れてくれれば良かったんだけど、目立つ色にしていたから直ぐに見つかってしまった。


「オーイ。何があった?でかい音が聞こえたんだが。」


近くで狩りをしていた冒険者が集まってきた。そうだね、広いとは言えダンジョンの様な閉鎖空間じゃ音は迷惑だよね。森だと気にしなかったけど。人が近くに居たら最悪、鼓膜が破けていたかもしれない。


この後、心配して見に来てくれた冒険者を誤魔化すのがとても面倒くさかった。



そして、今回は血抜きには成功したけれど、お肉は美味しくなくなっていた。前回と同じように魔石が無くなっていたので、魔石が壊れるとお肉が美味しくなくなるのだろう。


電撃でスタンさせると、モンスターの持っている魔石を壊してしまうみたいだ。


魔石が壊れるとお肉が美味しく無くなるなんて…。うう、踏んだり蹴ったりだ。



失敗続きで冬は過ぎて行った。そろそろ雪解け。領主様が街に戻って来る。



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次回:新章/もうすぐ春『雪解けの始まり』



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