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武器屋の勇者様 ~ 祝福を受けたハズの女子高生の空回り奮闘記  作者: 61
3章:魔法の道具 ~お店をするために~
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『変わりゆく泉亭』

--『変わりゆく泉亭』--


あらすじ:お肉を捨てなければならなかった。もったいない。

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パン屋『うつろわない雲工房』からちょっと行ったところに近い場所に『変わりゆく泉亭』と言う食堂ができた。


20席ほどで、この辺では割と大きなお店になっていた。パン屋姉妹のお店だ。


『うつろわない雲工房』に対抗意識がありそうな名前だけど、なにかあるのかな。


「どうせパン屋はデーツが相続するんだから、私達が自由に出来る場所が欲しいのよ。」


「嫁に入ったって自由は無いわ。今こそチャンスよ!」


ドリアちゃんもミリアちゃんもヤル気満々である。とても13歳と12歳に思えない。


もちろん資金源はアズリさん夫妻だろうけど。


パン屋の長女のカズリちゃんはパン屋の手伝いから逃れられなくて泣いていた。あの娘はいつも貧乏くじを引いてるよね。井戸端で聞いたパン屋の娘の悲恋のヒロインも彼女だった。


しばらくのメイン料理はホットドッグとジャムサンドそして、新商品の照り焼きサンド。


テイクアウト主体のメニューで、最初は工房だけの予定だったけど、ぽろっとこぼしたレシピのお陰で将来的には食堂を開けるサイズになってしまった。


スパゲティ。罪深い子。


ナポリタンもミートソースも恋しいし、なんとかなるだろう。ならなければうどんでも作ろう。あれなら小麦粉と水と塩だけだし。まだ鰹節と昆布は見かけてないけれど。川魚でもダシってとれるのかしら?


川魚で作った味噌汁はあまり好評ではなかったから不安だよ。


しばらくはパンを買って、『移ろわない雲工房』と『猫の帽子屋』に加工した商品を卸しつつ、自分達も手押し車での販売をして過ごすらしい。


その間に農家と契約してトマトを作ってもらって、新しいレシピを修得する予定だ。


かなりアクロバティック。ギャンブルが過ぎる気がするけど大丈夫だろうか。


だけど、今の時期は流通が少ないのでトマトが足りないと言ったら、ダンジョンでトマトを栽培してきた。それくらい彼女たちは力を入れている。


ダンジョンまでは1日がかりで行かなければならないので簡単には栽培出来ないだろうけど、どうやったんだろう?


すでに『うつろわない雲工房』にパン作りの手伝いの人も雇っている。


どんどん逃げられなくなる気がする。


失敗したら私のせいになるのかな?



胃が痛い。



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お店の新商品になるミートパスタの試食会をすることになった。ミル君と一緒に新しいお店に行く。


建物を用意する前に料理の試作くらいしようよ。まぁ、気が付いたらお店が建っていたんだけど。


パスタ用の麦は小麦と違うという事は知っていた。少し黄色いよね。私はそれしか知らなかったけど、市場にはスープに入れるための乾燥パスタが売っていた。今日使うのは小さな貝殻みたいなやつだね。


「私が食べたパスタは細長くいてフォークで巻いて食べていたんだけど、」


「パスタの形を変える事で違いって出るの?」


「このパスタだとソースが絡まりすぎて味が濃くなるかな。でも、このパスタで提供している場所も有ったと思う。」


「ソースが多く絡んでしまうとトマトが多く必要になってしまうわね。ソースは少ない方が良いわ。細長いパスタにしましょう!」


「ソースを薄味にしたらいいんじゃないの?」


「味付けを変えて調味料を減らすことは出来るかもしれないけど、絡みやすくするためにはそれなりの量のトマトを必要とするんじゃない。」


パスタマシーンが作られることになった。トコロテン方式で押し出せば作れるかな。パン屋さんにはすでに石臼を自動で回す魔道具もあるし、もう1つくらい魔道具が増えたっていいだろう。


挽き肉を作る。細かく切ったお肉をミル君が2本の包丁で叩きまくる。手間がかかる。


「毎日、肉を叩くのは面倒よね。何か良い方法は無い?」


「ミンサーって言う挽肉作りの道具が有るんだけど…。そう言えばソーセージを作るときにはどうしているの?」


「今のやり方と同じよ。細切れにして、ひたすら叩くのよ。ソーセージも自分で作るなら、相当な量の挽肉を作らなきゃならないわね。」


ミンサーも作ることにしよう。パスタマシーンより複雑だと思うけど、これから先この店を手伝う事もあるかもしれない。楽に料理できるに越したことはない。


それにオリジナルソーセージのホットドックは売り文句としては魅力的だよね。ハーブ入りソーセージとか味変も簡単に出来るようになるんじゃないかな。


挽き肉を軽く炒めて、湯剥きしたダンジョン産の新鮮なトマトを入れる。冬なのに新鮮なトマトが食べられるってすごいね。


玉ねぎとセロリ、ニンジン、果物をみじん切りにして入れる。全部みじん切りだ。


フードプロセッサを作る決意をする。


弱火でかき混ぜながらじっくりコトコト煮込む。会話が弾む。


「この混ぜるのも魔道具でできたりする?」


もう、なにも考えない。全部魔道具にしてしまえ!



ミリアちゃんが加治屋のゴルドさんを連れてきた。


「また、変なもの考えおって。作るのは誰だと思ってやがる!」


「私は料理を作っていただけですってば~!」


「嘘つけ!料理を作るのになんで鍛冶屋が必要になるんだよ!」


会話が白熱する。ミートソースが焦げなかったのは幸いだ。


パスタを湯がいて植物オイルをまぶした物にミートソースを掛ける。


香辛料が足りないせいか物足りないけど、まぁまぁ食べれる味。少し懐かしい味。


「ケチャップとはまた違う味になるんですね。美味しいわ。」


「肉の味が出ていて美味いな。これの為なら少し頑張ってやるか。」



ソレなりに好評だった。良かった。



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次回:『新年』と、ちょっと前。



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