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武器屋の勇者様 ~ 祝福を受けたハズの女子高生の空回り奮闘記  作者: 61
3章:魔法の道具 ~お店をするために~
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冒険者の狩り

--冒険者の狩り--


あらすじ:コタツが出来た。

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靴が出来た。


クッション性を良くする為に靴底をくり()いて柔らかい麦藁を編んで詰めた。ベットに使われていた麦藁を編まずに入れると、柔らかすぎて潰れてしまったので草履(ぞうり)を思い出して編んでみた。編み方は適当だ。


革袋を作って中に圧縮空気を詰めるなんて芸当は出来なかったよ。


少し厚底になっているけれど、歩き心地は良くなっている。元の革の靴に比べればね。



他にも魔道具をいくつか作ってダンジョンに来た。


今日のパーティーは護衛の人の内の1人、猫耳猫尻尾装備のエキシナさんと、雇われ冒険者のおじさんのミュハエルさん。パン屋姉妹は新しい食堂を作るのに忙しそうで断られてしまった。


冒険者と言っても本当に冒険をしている人は少ない、名前は昔のダンジョンの開拓期の名残らしい。


ミュハエルさんは普段は狩りをして肉や皮を獲ってくる事を専門にしている人だ。ダンジョン10階までの危険なモンスターが少ない場所で、美味しいお肉を獲ってきて生計を立てている。冒険者の8割以上が狩りを専門にしている。


今も10階以降を探索している人もいる。彼らの目当ては21階の白い大猿。純白の長い毛が立派なのでお貴族様の間で使われているらしい。そんなダンジョンは現在22階まで攻略されている。


今回は職業冒険者の狩りを見せて貰う予定だ。武器屋として冒険者の武器の使い方を知りたいと言うのが目的だ。狩りの仕方は人によってまちまちだから、狩りの仕方を見られたくない人も居る。


でも、参考にはなるよね。


ついでに靴と新しい魔道具のテストもしたい。そして5階の村にも泊まってみるつもりだ。この世界に来て初めての外泊だからドキドキする。


ミュハエルさんには魔道具の事を打ち明けているけど、口止めをするつもりだ。


狩りを見せて貰って、魔道具の事を秘密にして貰うのは都合が良いとは思うけど。まあ、お互いに秘密の見せあいっこって事で、オーケーして貰った。


その代わり、エキシナさんを逆指名されたのはご愛嬌(あいきょう)だ。愛しのあの娘とお泊りデート(お邪魔虫付き)


エキシナさんにはナイショにしておこう。



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今日の格好はパン屋姉妹とダンジョンに来た時と同じ、村娘ズボンスタイル。赤い猫耳帽子とケープはやっぱり却下されるよね。


その代わりカチューシャタイプの猫耳は着けてきた。なぜならエキシナさんにも着けさせるためだ。ミュハエルさんもこう言うのは好きかな?と言うイタズラ心が(おさ)えられなかった。しょうがないね。


エキシナさんにも似た格好をしてもらっている。護衛だからって普段から鉄の鎧を着ているワケでも無いしね。


クロスボウは重たいので置いてきた。ショートソードと背中のリュックサックには予備の靴と、新しい魔道具と昼ごはんやらの食料品。水は魔法で出すのでコップだけ持って来ている。一泊するけど着替えは無い。荷物になるので浄化の魔法で済ませてしまう。


ダンジョンの中では雨は降らない。少し暗い、曇りの日の様な感じが続くので傘とかの雨具は必要ない。


食料品も持たないで狩りと採取で(まかな)うって人も居るからこの世界の旅って武器以外の荷物が少なくて良いね。武器屋が売れる物も少なくなってしまうけど。



「ここら辺からモンスターが、多くなる。注意してくれ。」


ダンジョンの4階、木の多い森の中を新しい靴底を付けた靴の感触を確かめながら歩いて居ると、狩り場に着いたらしい。


新しい魔道具。探査の魔道具を使ってみる。これは光の出ない懐中電灯の様な形をしている。


モンスターしか持たない魔石に反応して魔晶石が赤く光る様にしている。ソナーみたいなものなのかな?指向性の不可視光線を出して、魔石が有れば反射して魔晶石を光らせる。みたいな。まぁ、そんなイメージだ。


欠点は魔道具を向けた方向にしか効果が無い事。モンスターじゃなくても魔石が有れば反応してしまう事。


狩場についてからミュハエルさんとエキシナさんも警戒を強くしている。エキシナさんに着けた魔道具の猫耳が警戒してピコピコ動きが慌ただしくなる。かわいい。


あちこちに探査の魔道具を向けながら歩いていると、エキシナさんの猫耳が人ピンっと立った。連動して猫尻尾もピンっと立った。かわいい。これは良いものだ。


ミュハエルさんもすでに息を殺して一方を(にら)みつけている。


探査の魔道具を向けて見ると赤く反応した。人間の感覚の方が優れていたらしい。1方向しか調べられないのも問題だよね。


「狩るぞ。2人とも木の影に居てくれ。」


ミュハエルさんが小さく指示をくれる。


彼の武器は弓と短槍だ。私達が物陰に隠れると、彼は短槍を構えて獲物を探し始めた。


そのまま30歩ほど歩くと腰を落として短槍を手近に置いて、弓に持ち替えて矢をつがえる。


獲物を発見したようだ。


さっと狙いを付けて矢を射る。


すごく滑らかで迷いが一切ない。


矢の飛んで行った先から猪の化け物の様なモンスターが飛び出して来る。でっかい。モンスターはミュハエルさんを見つけると2度3度前足をかいて、それこそ猪の様に突進してきた。


ミュハエルさんは冷静に弓を放り投げて短槍を構える。


ぶつかる!と思った瞬間にミュハエルさんは短槍を空中に置くようにして手放すと、ひらりと横に回避する。まるで闘牛だ。


短槍は見事に首筋に突き刺さり、モンスターは短槍が刺さったまま駆け抜けて木にぶつかる。短槍はぶつかった衝撃で余計に深くモンスターの首に突き刺さってしまった。


すごい。


ミュハエルさんは腰に下げていたショートソードを構えてゆっくりと近づくと、心臓のある場所に止めを刺す。モンスターが断末魔を上げて動かなくなる。そしてしっかり周囲を警戒してから笑いかけてくれた。


「どうだ。参考になったか?」


一瞬の事だった。どうして短槍が刺さったのかもよくわからない。短槍を投げていたわけでもないよね。


身の(こな)しも私なんかと全然比べ物にならない。



さすが職業冒険者。毎日狩りをしている人はすごかった。



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次回:『5階の村』に泊まろう。



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