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武器屋の勇者様 ~ 祝福を受けたハズの女子高生の空回り奮闘記  作者: 61
3章:魔法の道具 ~お店をするために~
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--靴--


あらすじ:私より護衛の人の方が良いのか。チクショウ。

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ジーナスさんの話によると、領主様は雪解けの頃にならないと戻って来ないそうだ。それまでは現状維持が続いてしまう。代官様に冷蔵庫の魔道具や他の魔道具も売らないように言われてしまった。


冬の間に魔道具を作って行商人にアピールする計画が無くなってしまった。そのために急いでいたんだけど。


まぁ、売りはしなくても生活を便利にするために作るけどね。ヒマが出来たわけだし。


雪が降り始める頃から解けるまでずっと王都に居るそうだ。


雪掻(ゆきか)きしなくて良いのが(うらや)ましい。毎日積もる雪をどかすのはすごい重労働だ。スコップ一杯でもかなりの重さが有る。


2Lペットボトルで重さが2kgなので、スコップ一杯山積みにするとペットボトルより重いんじゃないかな。今じゃ比べる事も出来ないけど。それを何十回も横にどかせば、すぐに筋肉痛になる。最近の悩みのタネだ。


筋肉痛には治癒の魔法が効きにくいのよね。


それに、雪を魔法で除去できればいいのだけど、氷、つまり固まった水は上手く動かせないらしい。


まぁ、領主様なんて雪の降る街に居ても、雪掻(ゆきか)きなんてしないで良いのだろうけど。



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ミル君との市場調査を終えて部屋に(こも)る。


「ジーナスさん。そこはトマト畑だったからあまり雪を盛らないでおいて。土が硬くなっちゃう。」


「わかった。こっちなら良いか。」


寒い中、護衛隊長のジーナスさんはミル君と雪掻きしている。きゃいきゃい騒いで居るのが聞こえる。ちょっと寂しい。


今までは寝る前に、皮の布団にくるまって魔道具の開発をしていたのだけど、最近の私の部屋に誰かしら護衛の人が居るようになった。


最初は廊下で護衛をするとか言っていたけど、さすがに申し訳ないので、部屋の中に入ってもらっている。火もない冬の寒い廊下で、女の人に護衛なんてしてもらったら、気になって眠れない。男の人だったら廊下でも良いってわけじゃないけど。


夜中にずっと隣に居られるのも本当は嫌なんだけど。一人部屋が長いから気兼ねするんだ。


一応、隣にベッドを入れて、いっしょに寝るようにしてもらっている。ずっと起きて居られると困るしね。


そうすると今度は魔道具の開発が出来なくなった。護衛の人にドラゴン語を何種類も使えるとバレたくない。見ていても何を作っているか解らないだろうけど、領主様には連絡は入ってしまうよね。


自在に何種類もの見たことのない文字を使っていたとか。尾ヒレが付くのも嫌だし。


相手の方針が判らないので隠して置きたいのよ。気にしすぎかもしれないけど、領主様の館に監禁されるような事態にはなりたくない。拷問されて吐き出せなんて言われるなんて、ごめんだ。


人間はロクでもないかもしれない。


そんな訳で、サラさんとのお茶会だった時間を魔道具の開発にあてる事にした。種類も少ない魔道具の作り方は1通り教わったので、最近は本当にお茶会になっていたしね。



猫耳が売れて資金も出来たので魔石や材料にも余裕が出来てきた。代官様から貰ったお小遣いも有るし。


それにテリヤキサンドの味を覚えたパン屋姉妹が食堂として独立することになったので、レシピを出して協力している。レシピ代をすべて魔石に変えた。


今は小山サイズでも手が届くような値段だけど、魔道具が売れれば魔石の値段が上がるだろうと思っての先行投資だ。どうせ、魔道具作りでも使うしね。



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今日、作ろうと思っているのはダンジョン探索用の物。靴だ。魔道具じゃないけどね。


転移の魔法とかアイテムボックスの魔法は失敗した。異世界チートの代表だから是非とも欲しかったのに。


転移の魔法陣は、ダンジョンにある帰還の魔方陣が使えるのではないかと思い写してみたけど作動しなかった。ダンジョンに行った1番の目的だったのに。何か条件が有るかも知れない。


アイテムボックスって言うのは、大きさに関係なく何でも入れられて時間も止められて、しかも重くもない。チートで便利な道具だ。5つくらい転移モノを読んだら3つくらいに使われているんじゃないかな。そんな気がする。


アイテムボックスの作り方なんて全く解らないので適当な言葉を組み合わせてみた。まぁ、無駄だった。


生活用品の魔道具は少しずつ作っている。例えばドライヤーとか。浄化や水の魔法が有効なこの世界では乾かすのには必要ないけど、髪型を作るのに使用している。


コレットさんの薄紅色の髪がふわふわになった。かわいい。


意外と手軽に出来る家電と言うのが思いつかなくて、不便に思った時に少しずつ作っている。



さて、靴だ。


この前、パン屋姉妹と行ったダンジョン探索で欲しかったんだ。


魔法とは関係ないけれど、変なものを作るからと言ってサイモンさんに聖女認定されていたのだ。気を付けるのに越したこともないだろう。


今履いているのは、街の靴屋さんが作った革と木でできた靴なんだけど、長い時間歩くには向いていない。スニーカーに慣れた脚にはちょっとキツイ。


木と革を貼り合わせた靴底はダイレクトに体に衝撃を与えてくれる。前の世界の革靴で歩くよりも歩きにくい。


スニーカーとは言わないけれど、少し靴底を柔らかくして、歩きやすくしたモノが欲しい。


厚底にして中をくりぬいて詰め物をしたらどうにかならないかな?



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試行錯誤している間に日が傾いて、作業中だけど寒くなってきた。私の部屋には暖房器具なんてない。というかお店かキッチンの暖炉くらいしか暖房なんて無い。夜は毛皮の布団にくるまって暖を取るのよ。


今日は厚着をして部屋に閉じこもっていたのだけど、それだけじゃ足りなくなってきた。今の時間から毛皮の布団にくるまるのもなんなので、ドライヤーを改良して暖房器具を作った。熱さ調整はドライヤーの時に散々やったのでお手のものだ。


作った暖房はちょっと熱量が弱かったらしい。試しに机の回りに毛皮を巻き付けて中に暖房を入れて潜り込む。


今日も色々試行錯誤して頑張った。



お陰でコタツが出来た。



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次回:『冒険者の狩り』を見せてもらおう。



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