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武器屋の勇者様 ~ 祝福を受けたハズの女子高生の空回り奮闘記  作者: 61
3章:魔法の道具 ~お店をするために~
39/93

護衛

--護衛--


あらすじ:代官様にお小遣いをもらった。

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「初めまして。今日から護衛をさせていただきます。隊長のジーナス・ブリックです。よろしくお願いします。」


「隊員、ウェイルエ・ウエッツェル」「同じくエキシナ・エックセスです。」


次の日に私を護るためと称して女性兵士の格好をした人が来た。さすが代官様3人も居る。


「護衛なんて必要ないですよ。」


「そんな訳にはいきません。女神様と言葉を交えた人物。しかも新しいドラゴン語を使えるかもしれないとなると、どのような(やから)が近づいてくるかわかりません。」


「今までも十分に平和に暮らして来てたんですよ。今更変わりませんよ。」


女神様に召喚されてからずっとコレットさんとミル君と3人で暮らしてきたのだ。がんばって来たんだ。護衛とか言ってずっと貼り付いていられるのも気が休まりそうにない。


「代官様の命令です。少なくとも領主様が帰ってくるまでは、この命令は変わらないでしょう。もっとも、私が領主様だったとして、命令を変えるとは思いませんが。」


冷蔵庫の魔道具を献上したので、何かしら変わるかも知れないと思っていたけど、まさか3人も護衛に来るとは驚きだ。


「どうしてもと言うなら1人居れば十分でしょう。」


「我々に休むなと申しますか?」


1人がずっと私の(そば)で護衛をして、もう1人が少し離れた場所でバックアップになる。バックアップの人は護衛の人の食事の時とかに交代して、緊急時でも最低1人は護衛対象から離れないようにするらしい。んで、最後の1人は完全に護衛から外れる。


3人が交代で護衛やバックアップに付いて、護衛やバックアップから外れた時に書類仕事や訓練をする。休暇も交代要員の時に取るらしい。要職の人の護衛の場合はこの倍以上の人が付くと言うから驚きだ。


3人だと本当に最低限しか出来ないらしい。それでも絶対に護衛対象を逃がさない構成だ。自由な時間が欲しい私には嬉しくない。


特にミル君とのデートの時や、魔道具作りの時間は隠れてしていたい。『南の国の王様』の魔法なんかを作るときは。


何とかしてお引き取り願いたい。


「みんな女性の方の様だけど、それで護衛が務まるの?」


「護衛に求められるのは強さだけではありませんよ。それとも殿方と同じ寝室になる方がよろしいのですか?」


ジーナスさんはニヤリと笑う。


う、それは嫌だ。ミル君に誤解されたくない。


万が一の時は(そば)で護衛していた人が私を護って、バックアップの人が応援を呼びに行く。だから、なるべく離れなくても済む同性の人が選ばれた。護衛は強くなくても良い。時間さえ稼げればいいと。


ちょっと殺伐(さつばつ)としている。


ちなみに、さっきの寝室の話は冗談だったらしい。夜間は廊下で入り口を見張っているって。


「夜まで貼り付かなくても、日中だけとか出歩く時だけで十分でしょ。」


「夜こそ人目を忍んでくるには最適でしょう。」


「仕事の邪魔よ!」


私達が働いている隣で護衛をしてもらっても困る。護衛が貼り付いている村娘から物を買いたいと思う?じっと周囲を警戒している人が(そば)居るとお客さんも買い物をしにくいんじゃないかな。


「代官の方から補償が出ます。」


いや、補償が欲しい訳じゃないんだ。今はワゴンで販売してきた信頼関係を無くす方が怖い。


例えば、毎日売りに行っているから買ってくれるって思うんだ。1日空けてしまって、次の日からお客さんだった人がお弁当を持参してしまったら…。売れ残りが出るのは必至だろう。それだけで済まないかも知れない。今は少しでもお客さんとの信頼関係を保っていたい。


「一時の補償が欲しいわけじゃ無いんです。商売って人との信頼関係でしょう?」


「『7歳児に瞬殺された人』と言う噂が有るのです。誘拐なんて簡単だと思われても仕方ないでしょう。あきらめてください。」


うっ言葉に詰まる。考えてなかったのだ。最近はそれなりに強くなっている自覚がある。早々に負けたりしないだろう。模擬戦しか戦ったことないけど。


だけど、私が弱いという噂が残っているのは事実だ。その話だけを聞いて誘拐を実行する、というのは有り得そうな話だ。


私が勇者だって喧伝(けんでん)したらどうだろう?


勇者だから強いんだ。どんな人が来ても負けたりしないんだって。そうだね、領主の兵士さん相手に戦いを挑んでみるとか…負けそうだね。



「お姉ちゃんたち、お茶が入ったよ。中で話をしたら?」


「ミル君からも帰るように言ってよ。」


「なんで?せっかく代官様が付けてくれたんだよ。にぎやかになって良いじゃない。」


ニッコリと笑う。かわいい。じゃなくて、ミル君は気にしていないみたいだ。


「護衛って言ってお店をうろつかれても邪魔じゃない。」


「人が居るから安心して入ってきやすくなるんじゃない?ほら、アマネェちゃんが言ってた、(おとり)のお客さん?護衛だって店の前で立ってるだけじゃなくても良いんじゃない。」


う、そんな話をしたような気がする。コンビニで本棚が外側に向けられている理由。立ち読みしている人が居れば店に入りやすいとか言うヤツだ。立ち読みできるくらい(ゆる)やかな雰囲気の店内なら多少の失敗をしても許されそうな気がするよね。逆に店番も誰も居ない店内に入るのだって意外と勇気がいる事だしね。


知らないお店に入って、ガンコおやじとか出てきたら面倒だし。


それと同じで、武器屋でも他にお客さんが、居れば入りやすいんじゃないかって話をしたことが有る。でも、いつも同じ人がお客さんとしているのもおかしいよね。


「せめて従業員の真似事でもしていて下さい。こんな小さな店に大行(おおぎょう)に護衛が居ても邪魔なだけです。」


とりあえず、護衛の人に従業員の制服だと言って猫耳猫尻尾を着けさせた。



次の日に隊長のジーナスさんと、いつもの様にホットドックを売りに行った。


猫耳猫尻尾を付けてもらって。


ホットドッグのワゴンの周りに人が集まった。飛ぶように売れる。



ちくしょう。



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次回:『靴』よりスニーカーが欲しい。



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